「イエンセン」のパン

代々木界隈のパン屋案内をするとき、必ずコースに入れるのが小田急線・代々木八幡駅から徒歩2分ほどの「イエンセン」さん。デンマーク大使館御用達のお店です。

「イエンセン」外観

この数年でこのあたりには新しいパン屋が続々とオープンしています。どのお店も美味しいのはもちろん見た目も凝っていてお洒落で、お客様はそれに惹かれて訪れたりします。

それに比べると「イエンセン」のパンはデンマークで修業したそのままの味を東京で再現しているため、色みは少なく派手な装飾もありません。でも、そのこだわりやお店の方の控えめながらもいつも変わらない接客に「また来たい、食べたい」と思わせてくれる大好きなお店なのです。

今回はパンめぐの企画で伺ったので、お忙しいところを店主の和田シェフもわざわざ店頭に顔を出してくださりご挨拶することができました。好きなお店のシェフに会えると、パンの味とシェフの人柄が重なり合ってさらに美味しく感じます。

目黒区にある自宅を改装したパン屋「ワルン・ロティ」を営んでいる大和田聡子氏の著書『世界のパン図鑑224』は、パン素人の私がカタカナ名のパンの素材や傾向を読み解く際に必読しているバイブルです。

『世界のパン図鑑224』

以前からデンマークのページにあるパンと「イエンセン」のパンの商品名が同じだなあと思っていたのでシェフの奥様に聞いてみたところ、「このページに掲載されているパンはうちのパンを使っているんですよ」と教えてくださいました。好きな本と好きなお店がつながったことで、もう好きが止まらなくなっています(笑)。

店内は写真撮影禁止のため、買ったパンを自宅で撮影。

「イエンセン」のパン

この日はバイブルも持参していたので、今まで食べたことのなかったパンもいくつか購入。色みは控えめですが形は様々。他店では見たことないようなものもありますよね。

朝食時などに食べる“ギフラ”。

“ギフラ”
“ギフラ”

ロールパンのような形をしていますが、表面は型崩れしない程度にしっかり、中はみっちり。バターや添加物不使用なため、デンマークのお母さんたちは赤ちゃんのおしゃぶり代わりにこのパンを与えるそうです(大和田氏の著書より)。

お店お薦めの、上下に半分にカットしてバター、チーズなどを載せてトーストしてみました。

食べてみたら、外側はクラッカーのような食感、内側はややふんわりでバターの染み込みがいいです。

そのパンに合った食べ方をすることって大事。そして、それを知るにはお店の方と話してお薦めを聞くなどすることが一番ですね。そんな楽しみもパン屋巡りで感じてもらえたらいいなあ。

初めて買った“ティビアキス”。

“ティビアキス”
“ティビアキス”

表面にはたっぷりの白いけしの実。大和田氏の著書によると「デンマークを代表するデニッシュの基本中の基本」だそうです。

買う時から層のすきまにバターが溢れているのが見え、軽くリベイクしたらパチパチシュワシュワとバターが動き出す。サクサクの層には砂糖の甘みがあり、甘くないと勝手に思っていたので一口目は驚きましたが、シンプルな構成は飽きずにまた食べたくなる美味しさ。