NHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」やNetflixオリジナルドラマ「今際の国のアリス」シーズン2などで激しいアクションシーンをこなし、注目を集める山本千尋が、25日から放送されるドラマストリーム「埼玉のホスト」で主演を果たす。本作で山本が演じるのは、数々の飲食店の経営を立て直してきた、超優秀なコンサルタント・荒牧ゆりか。埼玉のホストクラブを再建することになったゆりかが、ホストたちとぶつかり合い、時に励まし合い、絆を深め合う姿を描く。山本に本作の見どころを聞いた。
-これまでとはまた違った役柄での主演となります。改めて、出演が決まった時の心境を教えてください。
今まではありがたいことに、アクションありきの役が多かったのですが、今回はある意味では文化系です。これほど長いせりふを与えられたのも初めてだったので、挑戦でもありました。何といっても、私は関西出身なのに、埼玉が舞台です。埼玉はこれまで数回しか訪れたことがなかったので、この作品の主演を任せてもらえたことがすごくうれしかったです。年下の俳優さんが多い現場でしたが、みんなと一緒になって成長することができたと思います。それから、スタッフの皆さんも若い方が多くて、フレッシュで熱意があって、いいものを撮りたいという思いが強く、話し合える現場でもあったので、とても恵まれていると思いましたし、そうした方たちと出会えたこともうれしかったです。
-ゆりかという役を演じるにあたってどんなことを意識しましたか。
ゆりかは、人間味はあるけれど、淡々としていて、言葉の一つ一つに間違いがない人です。なので、言葉に説得力を持たせるためにどう振る舞えばいいんだろうと考え、まず、その知識を持とうと勉強するところから始めました。それから、スーツを着てピンヒールを履くというビジュアルだったので、その場に立っているだけでバリキャリなんだと感じてもらえるように、些細な仕気を付けて付けていました。
-ホストクラブの再建を描いたドラマだけに、本作を通してホストについても新たに知り得たことが多かったのでは?
今回、初めてホストクラブに行かせていただいて勉強をさせてもらいました。実際にホストクラブに行ってみたら、まるで百貨店で接客されているような心地よさがあって、皆さんすごく丁寧で楽しくさせてくれる場所で、女の子たちがまた行きたくなる気持ちが分かりました。いい意味で、今回の脚本に出てくるホストたちと違ったので、これに影響されないように演じようとは思いました。私自身、ホストへの愛着は実際に体験したことで湧きましたし、良い作品を届けたいという思いも強くなりました。
-タイトルにもある通り、埼玉を舞台にしたドラマです。この作品に携わることで埼玉のイメージは変わりましたか。
私は兵庫県出身なので、埼玉のイメージとしてよく言われているものが、そもそもピンとこないんですよね。ただ、ところどころに“十万石まんじゅう”や“コバトン”といった埼玉名物が出てきた時に、これはあるあるなんだろうなと思いました(笑)。私の出身地の兵庫にも地元ならではのグッズがあって、私もそれに愛着を持って身につけたりしているので。なので、そうした名物は大事にしたいという思いはありました。
-ホスト役の福本大晴さんと楽駆さんの印象は?
福本くんは、同じ関西出身で、繊細でお芝居に対してすごく真面目。誰よりもまっすぐで、彼の姿勢から学ぶことがたくさんありました。お芝居以外の時は、関西バリバリの男の子で、現場が明るくなりました。私は、彼が演じた岩槻キセキこそがこの作品のヒロインだと思っていますし、新しい風を吹かせてくれたのは彼だと思っています。
楽駆さんは、大人な方です。ゆりかにとっても人生を支えてくれるような存在で、大事なキャラだったので、楽駆さんの落ち着いたお芝居に安心感をもらえました。ゆりかというキャラの思いを引き寄せてくださる方で、ご一緒できてよかったです。
-本作はラブストーリー&青春コメディーということですが、コメディー作品への出演については、どんな思いがありますか。
“面白い”を狙ったら面白くなくなってしまうので、コメディーはアクションと同じくらい難しいと思います。その辺りは男性キャスト陣がすばらしい才能を持っていて、シーンを盛り上げてくださっています。今回、撮影前にリハーサルの時間をとっていただけたのですが、その期間中にキャスト同士の仲が深められたのもこうした作品を作る上で、とても良かったと思います。
-山本さんが演じるゆりかは、「人を信用しない女」というキャラクターです。山本さんは、人のどんなところを見て信用できる、できないを判断していますか。
そもそもですが、こちらが信用しなければ、相手から信用してもらえないと思っています。私はこれまで年下の子たちと接することが少なかったので、今回、年下の男の子が多い現場で、女性は私一人きりだったので、どうやって仲を深めるかが私の1番の課題でした。そんな思いがあったので、現場では場を盛り上げるためにも、率先してボケるようにしていました(笑)。それがよかったのか、「女優さんなのに気を遣わずにいられてよかった」と言ってもらえたので、課題をひとつクリアできたなとうれしかったです。ボケていたのは信用とはまた違うのかもしれませんが、そうやってこちらから心を開いていけばきっと相手も開いてくれると思っています。
(取材・文・写真/嶋田真己)
ドラマストリーム「埼玉のホスト」は、7月25日から毎週火曜深夜25時にTBS系で放送。