【家電コンサルのお得な話・142】防災の日である9月1日、政府の「内閣感染症危機管理統括庁(以下、統括庁)」が発足した。統括庁の説明では「感染危機に係る各省庁等の対応を、各省庁から一段高い立場で統括し、政府全体の見地から迅速かつ的確に対応するための司令塔組織として設置された」となっている。感染症への迅速な対応が期待される。
内閣官房に設置して「縦割り行政」の解消へ
感染症対策では「スピード」や「正確な情報」、「迅速・的確な対応」などが求められる。これらを実現するため、統括庁は内閣官房に置かれ、感染症に対して官邸主導で臨むようにしたのである。
新型コロナのような感染症への対応は、国民の健康を守ることに加え、デジタル行政やインフラなどへの対応も重要になる。そのため、関係する省庁は厚生労働省をはじめ、デジタル庁や国土交通省など複数にわたってしまう。そこで心配されるのが、従来から言われている省庁による縦割り行政である。
生命にかかわる問題で「あーでもない、こーでもない」と責任をなすりつけあったり、たらいまわしたりしている時間はない。統括庁の説明にあるように、「各省庁から一段高い立場で統括」することで縦割り行政の不都合を解消し、迅速に対応することが狙いとなっている。
「ワクチン被害」や「医療機関の補助金不正受給」も解消?
ただ、指示権限の強化は、それを行使する者の能力によって結果が大きく左右してしまう。特に新型コロナへの対応では、初動が遅れたことだけではなく、「ワクチン被害」や「医療機関の補助金不正受給」、「半強制的ワクチン接種」など、国への不信の声が多く上がっていたのは記憶に新しいところである。
特に、補助金を不正受給していた病院も多かったうえ、「発覚しても返還して、謝れば終わり」といった風潮は、「専門家による医療機関への利益誘導」という意見も生んだ。
またワクチン接種では、「打つ」・「打たない」だけでなく、アレルギーなどで「打てない」という方もいる。接種を促進させるため、全国旅行支援の条件にワクチン接種が組み込まれたことは議論を二分した。
統括庁が発足して感染症への迅速な対応を促進することは望ましいことである。しかし、外交政策に負けてのワクチンの過剰購入や強制接種などにつながらないよう、国民の方をしっかりと見て、国民のための行政を担ってもらえればと思う。(堀田経営コンサルタント事務所・堀田泰希)
堀田泰希
1962年生まれ。大手家電量販企業に幹部職として勤務。2007年11月、堀田経営コンサルティング事務所を個人創業。大手家電メーカー、専門メーカー、家電量販企業で実施している社内研修はその実戦的内容から評価が高い。