連続ドラマW‐30「アオハライド Season1」

 Netflixシリーズ「舞妓さんちのまかないさん」では主人公の戸来すみれ、TBS系火曜ドラマ「18/40~ふたりなら夢も恋も~」では西村世奈役を務めるなど、俳優としての活躍が光る出口夏希。9月22日からWOWOWで放送・配信される、連続ドラマW‐30「アオハライド Season1」では、櫻井海音とともにW主演を務める。ネクストブレークとして注目される出口に、本作の見どころや撮影時のエピソード、さらには演じることへの思いや将来の夢などを聞いた。

-咲坂伊緒さんの大ヒット漫画を初めて連続ドラマ化した作品になります。高校生たちの恋と友情が描かれた本作ですが、最初に台本を読んだときは、どんな感想を持ちましたか。

 中学生の頃に原作の漫画が大好きで読んでいたのですが、その漫画を台本にするとどうなるんだろうと思っていたので、すごく客観的に「こんな感じになるんだ、なるほど」というのが最初の印象でした(笑)。台本も原作に忠実で一人一人のキャラクターもしっかり描かれていました。

-原作のどんなところが好きなんですか。

 当時は、高校生に対しての憧れがすごく強くて、「うらやましいな、こんな青春したいな」と思いながら読んでいました。

-実際に高校生になって、憧れたシチュエーションは体験できましたか。

 青春できたと思います! 漫画のように楽しい学校生活を送れました。小中高と一緒だった、昔からの友達がいるのですが、今もすごく仲がいいんですよ。なので、今もまだ青春が続いています。

-出口さんが演じる吉岡双葉が、高校1年生の終わりに、中学時代に転校してしまった初恋の人・田中洸と再会し、そこから物語が動いていきます。双葉はどういう女の子だと考えて演じましたか。

 中学時代にいじめにあったことで、高校になったら友達から嫌われないようにしようと行動している、繊細で一生懸命な女の子だと思います。友情にも恋にも一生懸命。

-そんな双葉と似ているところはありましたか。

 似ているというよりは、一生懸命な姿を見て、こうなりたいなって思いました。行動力があって、積極的なところは、うらやましいです。ただ、元気なところは学生時代の私と似ているところもあるのかもしれません。実際に演じるとなると、その元気さをうまく出せなくて、難しかったのですが…。

-演じる上で、特に苦労したのは、どんなところですか。

 元気さというのもそうなんですが、少女漫画で読んだときにドキドキしたシーンを、いざ生身の人間がやると、なんだか違和感があったんですよ。漫画の“ドキドキする空気”をどう伝えたらいいんだろうというのが悩んだところでもあり、苦労したところでもありました。監督とは、本読みの段階から話し合いを続けて、監督が思う双葉と私の思う双葉をすり合わせて撮影していました。

-出口さんからみて、洸はどんなところが魅力的ですか。

 漫画を読んでいたときは、洸の無口なところがかっこいいと思っていたんですが、実際にこうして映像化されてもそこはかっこいいなと思います。私の好きなタイプです。クールなたたずまいにドキドキします(笑)。

-では、そんな洸を演じた櫻井さんの印象は? 櫻井さんが演じる洸については、どう感じましたか。

 最初はすごく無口な方だと感じていたんですが、何カ月も一緒に撮影していくうちに、少年のようでおちゃめな性格をしているなと思いました。現場での櫻井さんは特にパーマをかけたら、見た目も洸そのもので。クールな目つきなどは、漫画のそのままだなと思いました。

-撮影現場には同年代の俳優が多かったと思います。現場の雰囲気はどうでしたか。

 私自身、同世代がこれほど集まって、ワチャワチャできる現場は初めての体験でした。最初は人見知りをしてしまったのですが、すぐにみんなと仲良くなれて、本当に青春していしているような気持ちでした。実際の学校をお借りして撮影をしていたのですが、お昼ご飯に、給食が出たんですよ。みんなで机をつけて食べたのが思い出に残っています。それから、プールでの撮影。実は、クリスマス当日に撮影したので、とにかく寒くて(笑)。みんなで即席の足湯で暖まったり…すごく楽しい思い出がたくさんあります。

-タイトル通り、青春真っ盛りのキラキラと輝く学生生活が描かれた本作ですが、今作の中で、出口さんが特に“エモい”と思ったシーンは?

 洸と2人になった後の屋上のシーンです。本当に日が昇る時間に撮影したので、朝日がすごくきれいでした。感動するほどきれいで…青春だなと思いました。リーダーズ研修でお泊まりをしたというシーンだったので、修学旅行を思い出して懐かしかったです。

-修学旅行でも朝日を見たんですか。

 朝日を見たわけではないんですが、帰るのが嫌で、みんなで朝まで「話そうよ」って言って最初に寝てしまったり(笑)。学生時代は行事が大好きでした。

-劇中で双葉は、すぐに匂いを嗅いでしまう癖がありますが、出口さんは人にあまり言えない癖やフェチはありますか。

 今回の撮影で、匂いが気になるのはちょっと分かるなとは思いました。匂いで思い出すことってありますよね? 櫻井さんが撮影期間中、ずっと同じ香水をつけていたので、その匂いがすると撮影を思い出すんですよ。今日、取材でお会いしたら、すごく懐かしい気持ちになりました。

-では、出口さんがキュンを感じる瞬間は?

 中学校のときに好きな人がいて、目が合っただけでキュンとなっていました(笑)。ただ好きだと思っているだけで良かったので、目が合うだけでもドキドキで…青春ですね。

-気になる男性のしぐさは?

 好きだったら目が合うだけでドキってなるので、しぐさは特にないと思います。好きな人だったら、どんな姿もかっこよく見えちゃう。逆に好きな人じゃなかったら、同じしぐさをしていてもキュンとはならないのかもしれないです(笑)。

-憧れの恋愛シチュエーションは?

 「アオハライド」の中に、帰り道に偶然会って、2人で帰るというシーンがあるのですが、それは憧れます。青春だなと思います。

-ところで、出口さんはどんな経緯で俳優を目指そうと思ったんですか。

 高校1年生の時に今の事務所の方にスカウトされて、1年くらいずっと声をかけ続けてくれて、ちょうど高校2年生になった時に何かやりたいことを見つけたいと思ったタイミングだったので、やってみようかなとそれがきっかけでした。

-モデルとしても活躍されていますが、演じることについてはどう感じていますか。

 最初はモデルのお仕事だけと思っていて、俳優業をやるとは思っていなかったのですが、今は前向きに楽しんでいます。もちろん、毎回、苦戦していますし、難しいと思うことも多いのですが、見てくださった方たちや周りの方たちに評価をしていただいたときにやっていてよかったと思えるので、それで続けているのかなと思います。

-出口さんにとってのターニングポイントは?

 (2022年公開の)映画『沈黙のパレード』と、(Netflixで配信されたドラマ)「舞妓さんちのまかないさん」です。この作品に出合ってから、お芝居が楽しくなりました。どちらの作品も初めて監督とたくさんお話をさせていただきながら、分からないところも時間をかけて丁寧に教えてくださったので、特に印象に残っています。自分自身も頑張ったと思える作品です。

-俳優としての目標は?

 先の目標を持つというよりは、今、決まっているお仕事を一つ一つ丁寧に、一生懸命向き合っていきたいと思います。

(取材・文/嶋田真己)

 連続ドラマW‐30「アオハライド Season1」は、9月22日23時からWOWOWにて放送・配信。TVerでは、最新話を見逃し配信。WOWOWオンデマンドでは、第1話放送終了後、全8話一挙配信。