鈴木優磨(鹿島アントラーズ) (C)J.LEAGUE

1か月半前はよもや優勝戦線に割って入ろうとは思いもよらなかっただろう。無理もない。7月8日『明治安田生命J1リーグ』第20節でサンフレッチェ広島と引き分けた鹿島アントラーズは3試合足踏みが余儀なくされた。残り14試合で首位横浜F・マリノスに勝点13差を付けられる6位に甘んじていた。

だが、8月に入って潮目は変わる。第23節・名古屋グランパス戦は0-1で痛い星を落としたが、ほかの4試合で攻めては10得点、守っては2失点と4勝をマーク。その手腕が認められて岩政大樹監督は『明治安田生命Jリーグ月間優秀監督賞(8月度)』を初受賞した。

第26節・湘南ベルマーレ戦では終了間際に途中出場のアルトゥール・カイキがPKを決めて2-2で勝点1を持ち帰ると、前節は4位セレッソ大阪と対峙。13分最終ラインでのボール回しを狙っていたFW鈴木優磨が隙を見付けるとボールを強奪、冷静にゴールネットを揺らしたものの、 25分にボランチのディエゴ・ピトゥカが一発退場で数的不利に陥る。それでも守備に人数を割いた鹿島は最終ラインが身体を張り、GK早川友基も好守を見せてC大阪にゴールを許さず。防戦一方ではなく、55・78・83分と決定機を作った。追加点には至らなかったが、5バックで守り切った鹿島が1-0でホーム4連勝を飾ったのだった。

試合後、岩政監督は「僕のチーム作りが遅れたこともあり、シーズン頭にいろんなことが起こった。そこからよく立て直してくれた。『ルヴァンカップ』で最後の時間での失点を2試合続けて、選手たちはすごく苦しかったと思う。今日はここを乗り越えてほしいと伝えながら送り出した。乗り越え、チームとして準備したものをしっかりと出し、素晴らしい試合だった」と選手たちを称えた。『JリーグYBCルヴァンカップ』準々決勝・名古屋戦では高い代償を払ったが、『明治安田J1』では首位ヴィッセル神戸には勝点6差、2位横浜FMに5差の3位まで順位を上げてきた。

一方、横浜FMは負のスパイラルにハマった。6連勝が止まった第20節・名古屋戦以降は2勝3分3敗。その上『ルヴァンカップ』で4強入りし、9月19日には『AFCチャンピオンズリーグ』もスタートした。その『ACL』初戦では仁川(韓国)に2度追い付きながら、後半に2-4と突き放された。過密日程の中、悪い流れを断ち切れるのは容易ではない。

リーグ戦での直接対決通算成績は鹿島が34勝8分25敗と勝ち越すものの、ここ最近は横浜FMが3連勝中。だが、それ以前の5試合はと言うと鹿島が計16得点で5連勝している。

果たして、鹿島がホーム5連勝でV戦線を混戦に持ち込むのか、横浜FMが1993年から唯一続くオリジナル10対決で悪い流れを断つのか。『明治安田J1』第28節は9月24日(日)・県立カシマサッカースタジアムにてキックオフ。チケットは鹿チケ(Jリーグチケット)にて発売中。試合の模様はDAZNにて生中継。