各駅の表示をチェック! 日本大通り~元町・中華街
5つ目の駅は、日本大通り駅。書体は、やはりゴシック体だ。
最後は終点、元町・中華街駅。
あれ? 明朝体だ!
馬車道駅の表示と同一書体ではないし、英語表記はゴシック体だが、この駅も漢字部分は明朝体で表示されている。
6駅のうち、4駅がゴシック体、2駅が明朝体。
この違いはいったいなんなんだろうか。悪く言えば、全体での統一感が損なわれていることになるが……。
駅によって異なる書体の真相は
その謎を解くため、みなとみらい線を運営している、株式会社横浜高速鉄道に取材を申し込んだ。インタビューに応じてくれたのは、経営管理部の鶴岡さんと佐藤さんのお二人。
まず質問したのは、馬車道駅(と元町・中華街駅)の表示が明朝体なのは意図的なものなのか、という点。当然と言えば当然だが、答えはYES。駅のデザインの一部ととらえ、あの書体が選ばれたそうだ。
実は、東横線と共用の横浜駅以外の「みなとみらい線5駅は、すべて別のデザイナーによって設計されている」のだ。
例えば、件の馬車道駅をデザインしたのは、建築家として著名な内藤廣氏。数々の美術館や商業施設のほか、高知駅などのデザインにも携わっている人物だ。
そして、駅(建物)のデザイナーとは別に、駅名サインを決める業者も存在し、その際に馬車道駅の雰囲気などから勘案して明朝体が選ばれたそうだ。元町・中華街駅の漢字部分に明朝体を使っているのも、同じ理由 。
つまり、凝ったデザインの駅を作るというコンセプトを、駅名の書体に当てはめた結果が、あの風情ある明朝体というわけだ。
電車を待つだけではない駅を
言い換えれば、路線全体の統一感よりも一駅一駅の個性を重視しているわけだが、なぜそういった発想に至ったのだろうか。
佐藤さんによれば「貴重な都市空間を使って、単なる移動施設を作るのではなく、市民が集まってくるような施設を作ろう」というのがスタートだったとのこと。
確かに言われてみれば、みなとみらい線の各駅は、それぞれに雰囲気が違う。
馬車道駅のレンガ張りもそうだし、みなとみらい駅のクイーンズスクエアを臨める大きな吹き抜けも特徴的な造りで、簡素な「電車を待つための場所」といった感じとは一線を画している。
最近では増えてきているものの、当時としては鉄道駅に建築デザインを取り入れるのは新しい試みで、他社からの視察もあったそうだ。
取材を終えて
駅を「オシャレな空間にする」というアイデアから生まれていた、今回のキニナル。意識して見ると、各駅の違いはハッキリ見える。壁や天井、床に柱はもちろん、駅によってベンチの形まで違う。
6つの駅で降りて雰囲気の違いを味わってみるのも、みなとみらい線の楽しみ方のひとつなのだ。今は節電中で各駅の照明がちょっと暗くなっているが、それはそれで趣があるかも。
各駅のコンセプトは公式サイト上にも掲載されているので、ぜひチェックしてみてはいかがだろうか。
※本記事は2011年8月の「はまれぽ」記事を再掲載したものです。
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