2月27日(木)から3月3日(月)の5日にわたって映画ファンの熱気に包まれ、前年を上回る13,886人を動員する大成功で終幕した「ゆうばり国際ファンタスティック映画祭2014」。
24回を数えたこの北国の映画祭に、メガホンをとった『サクライロ』(’12)の監督、オフシアター・コンペティション部門の審査員として参加した俳優の斎藤工を現地で直撃!
映画祭を振り返るとともに、映画のあり方や自身の今後に続いて熱く語った彼の言葉は、物を作ることや何かを表現したい人はもちろん、次世代を担う人たちの心に響くに違いない。
斎藤工は連続ドラマ『僕のいた時間』や『劇場版 仮面ティーチャー』(’14)、などの話題作に出演する俳優にして、筋金入りの映画通としても実は知られている。
昨年に続いて参加した“ゆうばり”の審査員を務めたのもスムーズな流れのような気がするが、本人は「最初に話をうかがったときは、審査員という立場はないと思った。どちらかと言うと、役者は審査される側なので」と振り返る。それではなぜ最終的には受けたのか? その答えを聞くところから、映画に情熱を傾ける斎藤工の熱いトークは始まった。
審査はその人の「次の作品が観たいか」が重要だった
「でも、いろいろ考えて、同じ審査員の根岸吉太郎監督などの作り手の目線とは違う、現場を経験している役者の目線で作品にスポットを当てられればいいなと思って、お引き受けしたんです」
その真摯で誠実なスタンスは、11本のノミネート作品の審査方法にも表れている。
「事前にいただいた作品のDVDを観てきて、審査をする映画祭もありますが、今回は”ゆうばり”で一般のお客さんと一緒にすべての作品と初めて向き合うことが重要だと思ったんです。自宅でメモを取りながら観る環境は最悪だし、どの作品がいちばん劇場の空間を支配したのか? は、お客さんと一緒に観ないと分からない。
この映画祭ではそれができたのがよかったです。後に観る作品が不利にならないよう、根岸監督の提案で3、4本観るごとに審査員同士がコミュニケーションをとったので平等な審査ができました」
その結果、31歳の女性監督・竹葉リサの『さまよう小指』がグランプリに輝き、光武蔵人監督の『女体銃 ガン・ウーマン』が審査員特別賞を、ウエダアツシ監督の『リュウグウノツカイ』が北海道知事賞を受賞。
3作品ともオリジナリティに溢れていて、ある意味、どれがグランプリになってもおかしくはないが、果たしてどこにポイントを置いて選考は行われたのだろうか?
「“ゆうばり”はグランプリを獲った人を支援する映画祭なので、その人を支援すべきか否か、その人の次回作を観たいかどうか、すでに監督として完成している人を支援する必要があるのか? 支援金で次に何を撮るのか? といったことが論点になりました。