銀座線を営業しながら進める「中央館」の解体工事はメインイベントだ!
篠原さん:続いて、こちらは東急百貨店東横店東館の屋上です。隣を見下ろしてください、まさに東1号館の解体工事が進んでいるところをご覧にいただけます。
ツアー参加者:お、おー、圧巻の風景!あいにくの雨模様ですが、左にはスクランブル交差点、右には宮益坂がよく見えます。すごい、すごいー。
篠原さん:おそらく多くの皆さんはご存知ないと思いますが、東急百貨店東横店東館は「1号館」「2号館」「3号館」の3つの館で出来ています。現在、私たちが立っているのは2号館の屋上で、隣で壊しているのは昭和9年にオープンした一番古い1号館、そして東横線・旧渋谷駅の切符売場があった3号館になります。
ツアー参加者:なんで、この2号館も一緒に壊さないの?
篠原さん:私たちが今、立っている2号館は、銀座線、JR山手線の頭上をまたぐ「中央館」の撤去作業が終わった後、最後に解体します。というのも、中央館は2号館と西館の間に架けられた橋であるため、先に橋を支える2号館を解体するわけにはいきません。
さらに銀座線、山手線を営業したまま解体しなければならないという、過去に前例のない大変難しい工事なんです。1日300万人が乗り入れる3路線が往き来する駅ですから、細心の注意を払う必要があります。
ツアー参加者:どんな方法で工事するんですか?
山手線、埼京線、銀座線の頭上にある中央館の解体は、前代未聞の日本一難しい工事となる。
篠原さん:1号館と3号館を取り壊したのち、中央館を2号館と西館から斜めに引っ張りながら壊し、最後に2号館を壊します。本来なら一気に壊したいところですが、営業中の銀座線、山手線に事故があってはいけませんので、本当に少しずつ少しずつ中央館を取り外していきます。
ツアー参加者:すごい時間がかかりそうですね。
篠原さん:はい。工事ができるのは、山手線と埼京線、銀座線の終電後から始発までのうち、さらに限られた時間のみ。もちろん3線ともにダイヤはバラバラですし、さらに埼京線はもともと貨物列車の線、現在でも週3日間は深夜に貨物列車が走っているので工事が出来る時間がさらに短いんです。また工事中は、万が一に備えて山手線、埼京線の線路上に監視員が立ち、工事の瓦礫などが落ちていないかを随時チェックし続けています。なにしろ、事故を起こさないことが一番ですから。