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 監督セルジオ・レオーネ、音楽エンニオ・モリコーネ、主演クリント・イーストウッドという伝説のトリオが放った「ドル3部作」(「ドル箱3部作」と表記されることも多い)が、マカロニ・ウエスタン誕生60周年を記念し、4K復元版として3月22日から一挙上映される。

 「ドル3部作」とは、『荒野の用心棒』(64)『夕陽のガンマン』(65)『続・夕陽のガンマン 地獄の決斗』(66)という3本のイタリア製西部劇=マカロニ・ウエスタンの総称。

 『荒野の用心棒』を嚆矢(こうし)とするマカロニ・ウエスタンは、西部劇の本場アメリカでは“スパゲティ・ウエスタン”とやゆされたが、1970年代半ばまでに500本近くが作られ、一大ブームを巻き起こした。

 現在では、クエンティン・タランティーノをはじめとする映画監督のみならず、さまざまなジャンルの若手クリエーターたちにも影響を与えている。ではその3本を紹介しよう。

『荒野の用心棒』

 無法者が横行するニューメキシコの町にジョーと名乗る流れ者のガンマン(イーストウッド)が現れる。酒場の亭主から二大勢力の対立が町を荒廃させていると聞いたジョーは、この町を牛耳る悪徳保安官のバクスター(ウォルフガング・ルスキー)一家と情無用の悪党ロホ(ジャン・マリア・ボロンテ)一家を争わせ、彼らをまとめて始末しようと画策するが…。

 英語版の原題は「A Fistful of Dollars=一握りのドルのために」。黒澤明監督の時代劇『用心棒』(61)を西部劇にリメーク。とはいえ、黒澤監督らに無断で翻案したため裁判沙汰となり、敗訴した。ところが、従来のハリウッド製の西部劇とは異なり、残酷さやバイオレンスを前面に押し出す斬新な手法が目を引いて世界的な大ヒットを記録。モリコーネ作曲の主題歌「さすらいの口笛」も大ヒットした。

 イーストウッドが演じた、無精ひげにシガーをくわえ、目深にかぶった帽子とポンチョといういでたちのガンマンのキャラは象徴化し、『バック・トゥ・ザ・フューチャー PART3』(90)ではパロディー化された。

『夕陽のガンマン』

 大悪党のエル・インディオ(ジャン・マリア・ボロンテ)が脱獄し、1万ドルの賞金が懸けられた。インディオ一家を追う2人の賞金稼ぎ、モンコ(イーストウッド)とモーティマー大佐(リー・バン・クリーフ)は商売敵だったが、インディオ一家全員の賞金を山分けすることを条件に手を組むことに。だが、大佐には別の目的があった…。

 英語版の原題は「For a Few Dollars More=もう数ドルのために」。イーストウッドに加えて、同じくハリウッド出身のクリーフ、そして悪役のボロンテという三者三様の個性を、レオーネ監督がスタイリッシュな演出で際立たせた。モリコーネの音楽も快調。

『続・夕陽のガンマン 地獄の決斗』

 南北戦争下、賞金稼ぎのブロンディ(イーストウッド)とお尋ね者のトゥコ(イーライ・ウォラック)は、瀕死(ひんし)の南軍兵士から軍資金の隠し場所を聞き出すが、探索の途中で北軍の捕虜になってしまう。そして捕虜収容所長のエンジェル・アイズ(リー・バン・クリーフ)もまた軍資金の行方を追っていた…。

 英語版の原題は「The Good, the Bad and the Ugly=いいやつ、悪いやつ、汚いやつ」。原題が示すように、前2作に比べるとコメディー色が強まった。3人が、まるでゲームをするかのように、金のありかを探し合うさまが面白い。レオーネの執拗(しつよう)なカメラワークとモリコーネのユニークな音楽の合体が目を引く。

 以上、3部作とはいえ、物語やキャラクターについてのつながりはないので、どれから見ても大丈夫。映画館の大画面で4K映像が堪能できるチャンスだ。

(田中雄二)