
『ブラック・スワン』が日本でも大ヒットを記録したダーレン・アロノフスキー監督が、最新作『ノア 約束の舟』を引っさげ、7年半ぶりに来日を果たした。14日、都内で記者会見を行い、「製作期間は6 か月。何本の木を使ったかって? とにかく、たくさんさ(笑)。自然へのメッセージもこめた作品だから、撮影後はすべてリサイクルしたんだ」と劇中に登場する巨大な“方舟”の製作秘話を語った。
旧約聖書の「創世記」に登場する最重要エピソード「ノアの箱舟」を、斬新な解釈で映像化。神の審判による大洪水を予見して、方舟を建造するノア役のラッセル・クロウをはじめ、ジェニファー・コネリー、ローガン・ラーマン、エマ・ワトソンら豪華実力派キャストを迎えた。すでに39 か国で興行収入ランキング1位に輝いており、来年度のアカデミー賞候補の声もあがっている。
VFXを駆使した壮大なスペクタクル映像も見どころだが、方舟に関しては「俳優たちに現実味を感じてもらえるスケール感を与えたかった。だから、聖書に基づき、サイズも忠実に再現した」とアロノフスキー監督。ロケ現場には高さ13メートル、幅22メートル、全長133メートルという3階建て、3層構造の“実寸大”の方舟が建設され、作品に確かなリアリティを与えている。
クロウをキャスティングした理由は「映画で描かれる奇跡の数々に、説得力を与えられるのは彼だけだ。目の動きひとつで、感情を表現できるし、『グラディエーター』以来、ヒロイックで抒情的なキャラクターを演じていないからね」。また、ワトソンについて「もちろん『ハリー・ポッター』の印象が強いと思うが、私はこの作品で内に秘めた大人の女性としての新しい側面を見せたかったんだ」と語っていた。
なお、中国での上映禁止に関しては「理由はわからない」とし、「私たちの仕事は、あくまで人々を楽しませる娯楽を与えること。今回の決定には正直がっかりしているが、いつか中国の人たちにも観てもらえると信じているよ」と期待を寄せていた。
『ノア 約束の舟』
6月13日(金)から全国ロードショー
取材・文・写真:内田 涼