「この子も小室さんに憧れて、毎日聴いているんですよ」
『小室哲哉ぴあ』を手にしたファンと言葉を交わしながら、小室氏は一冊一冊ていねいにサインを書いていく。小室氏がこうしたサイン会を開くのは非常に稀なことで、長年のファンにとってもめったに経験できない機会だ。それだけに、感激して言葉に詰まってしまうファンの姿もあった。
特徴的だったのは、ファン層が非常に幅広いことだ。男女比はほぼ半々といったところで、カップルや夫婦、子ども連れでやってきた人も多い。居住地もバラエティに富んでおり、関東圏はもちろん、中部地方、近畿地方、北海道に沖縄など様々だ。
中にはこのイベントのために海外から一時帰国したというファンもいて、小室氏を驚かせていた。小室氏にこの距離で会って会話ができるというのは、それだけファンにとって待ち望んでいた機会だったのだ。
小室氏の前に立ったファンが皆一様に語っていたのは、「いつから小室氏の音楽を聴いているか」ということ。デビュー当時からずっと聴いているというファンもいれば、親の影響でハマったという若者もいる。ベビーカーを押して、家族全員でやってきたファンもいた。
「小室さんのファンをやっているうちに結婚して子どもまでできました。この子も小室さんに憧れて、毎日聴いているんですよ」
これだけ幅広い層に支持されるアーティストも、そうはいない。30年という歴史の重みを感じる瞬間だ。
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