「まだまだ音楽をやめたいとは思っていないので(笑)」
長期間にわたり日本の音楽シーンの先頭を走り続ける小室氏の音楽の魅力はどこにあるのか。小室氏は、自身のサウンドを「ハイブリッド」という言葉で表現する。
「クラシックやロック、民謡、ボサノヴァ、ジャズ……僕はいろいろな音楽が好きで、それらが混ざってダンスミュージックみたいになっているんです。だから、巷の流行りの言葉でいうとハイブリッドってことになるのかな。
ここ3~5年くらいはネットのおかげでシームレス、ボーダーレスな環境ができてきました。まだまだクリエイティブマインドはあるし、音楽をやめたいとは思っていないので(笑)、もっとネットインフラが進んでほしいと思いますね」
その一方で、小室氏は「現代は音楽がやりにくい時代」とも語る。
「コンピュータのおかげで音楽が簡単に作れるようにはなりました。そこそこかっこいいものを、コンピュータで作れてしまうんですね。だからこそ、数ミリ単位、数ビット単位のセンスが問われるのですごく難しい時代です。
何十年も前は、意外と奇抜なことをやるだけでも注目されるところもあったんですよ。でも今はおもしろいだけじゃダメ。ダンスミュージックは特にそうですね。ちょっとでも気持ち悪いと、今の若い子は体が動かないですからね」
現代の音楽シーンについてそう語る小室氏だが、実は彼の才能のひとつとしてよく語られるのが、優れた先見の明だ。かつて小室氏が「音楽業界は◯◯になる」と語ったことが、現在実現しているという例は多い。
「偶然かもしれないけど、こうなるんじゃないかなっていうことが、だいたいそうなっているんですよ。たとえば音楽が配信されるようになるんじゃないかって、僕は95年頃には言っているんですね」
30周年を迎えてさらに勢いに乗る小室哲哉。その進化のスピードはまだまだ衰えそうにない。