夏休みに向けて、子どもたちに何か新たな体験をと考える親は多いのではないだろうか。文化庁では、子どもたちが劇場・音楽堂等において本格的な実演芸術を鑑賞・体験する機会を提供するための取り組みとして、対象公演を対象に小学生~18歳以下の子どもたちを無料で招待する「劇場・音楽堂等における子供舞台芸術鑑賞体験支援事業」を実施している。子どもを持つ親にとっては、ぜひとも活用したいお得な取り組みだ。そこで、2024年夏、「劇場・音楽堂等における子供舞台芸術鑑賞体験支援事業」の対象公演となっている、子どもたちにおすすめの作品を紹介したい。(公演によってはすでにチケットが完売している場合があるため、詳細はホームページで要確認)
ブロードウェイミュージカル「ピーター・パン」
1981年に榊原郁恵が初代ピーター・パンを演じて以来、44年にわたって上演されているブロードウェイミュージカル「ピーター・パン」。いつまでも子どものままでいたいピーター・パンとネバーランドの冒険で成長する子どもたちの楽しく、切ない物語を描く、子どもから大人まで大人気のミュージカルだ。多くの人が知る、不朽の名作を、心に残る美しい音楽と躍動感あふれるダンス、そして大迫力のアクションで表現。ピーター・パンが客席上空を飛んでくるフライングは、本作の代名詞ともなっている最大の見どころだ。ピーター・パンを演じるのは、2023年に引き続き、山崎玲奈。ウェンディ役を鈴木梨央、フック船長役を小野田龍之介が務める。「劇場・音楽堂等における子供舞台芸術鑑賞体験支援事業」の対象公演となっているため、18歳以下の子どもを対象に指定日の無料招待を実施、保護者等、19歳以上の同行者のチケットは定価の半額で同時に予約できる。
舞台は、7月24日~8月2日に東京国際フォーラム ホールCで上演。
※文中の「榊原郁恵」の榊は木ヘンに神 /「山崎玲奈」の崎は立つ崎
神戸セーラーボーイズ 定期公演vol.2 舞台「銀牙 -流れ星 銀-」
高橋よしひろ氏による名作漫画を舞台化した「銀牙 -流れ星 銀-」が、2023年4月に誕生した関西発の演劇ユニット「神戸セーラーボーイズ」によって上演される。秋田犬の銀が、全国から集結した犬たちと共に力を合わせて凶暴な殺人熊の赤カブトを倒す姿を描く本作は、19年と20年にも舞台化されており、心に迫る熱い物語で好評を博した。今回の上演では、初演・再演の際のスタッフ、脚本・演出の丸尾丸一郎氏(劇団鹿殺し)、振付の辻本知彦氏、音楽の伊真吾氏(OVERCOME MUSIC)が再集結し、「犬(おとこ)」たちの物語を紡ぐ。芝居パートに加え、ライブパートも用意された二部構成となっているので、神戸セーラーボーイズの魅力も存分に味わえる公演となっている。文化庁による「劇場・音楽堂等における子供舞台芸術鑑賞体験支援事業」対象公演に採択されたため、18歳以下の子どもを対象に1100人を無料招待、同伴者(保護者等)は半額の優待で観劇できるチケットも販売している。
舞台は、8月2日~11日にAiiA 2.5 Theater Kobeで上演。
※文中の「辻本知彦」の辻は、いってんしんにょう。
海の音楽劇「プリンス・オブ・マーメイド~海と人がともに生きる~」
人魚の王子タリクと伝説の国の王女サラの愛と冒険の物語を通して「海と人との共生」を描く「プリンス・オブ・マーメイド~海と人がともに生きる~」。3度目の上演となる今回は、次世代を担う俳優たちが集結。主人公の王子タリク役は、俳優・市村正親の長男で、今作で舞台初主演を務める市村優汰と、「ホリプロ☆ネクストProduced by美男子図鑑」2022年グランプリ受賞の石原颯也がWキャストで挑む。ヒロイン役を、俳優・藤岡弘、の次女で大河ドラマ「どうする家康」にも出演し、注目を集めた天翔天音が務め、作品を盛り上げる。また、本作出演のG-Rocketsによる「海の不思議ダンスワークショップ」と、本作スーパーバイザーのお魚王子こと岸壁幼魚採集家・鈴木香里武氏による「海のスペシャリスト講演会」を劇場で同時開催。観劇とイベントを通して海への興味や関心を高め、親子で楽しみ、学び、考えるエデュケーショナル・エンターテインメントとなっている。「劇場・音楽堂等における子供舞台芸術鑑賞体験支援事業」の対象公演となっているため、18歳以下の子どもは無料招待、同伴する保護者等は半額でチケットを購入できる。
舞台は、8月8日~12日に都内・有楽町よみうりホールで上演。
Daiwa House presentsミュージカル「ビリー・エリオット~リトル・ダンサー~」
トニー賞をはじめとした、世界各国の演劇賞を席巻したミュージカル「ビリー・エリオット~リトル・ダンサー~」は、日本では2017年に初演されて以降、再演を重ねている作品だ。2000年に上映された映画『リトル・ダンサー』をもとにしたミュージカルで、物語の舞台は1984年の英国。炭鉱不況にあえぐ北部の町ダラムで、数年前に母を亡くした少年・ビリーは炭鉱で働く父と兄、祖母と先行きの見えない毎日を送っていた。ある日、ビリーはバレエ教室のレッスンを偶然目にし、戸惑いながらもレッスンに参加するようになる。しかし、ビリーにたくましく育ってほしいとボクシングを習わせていた父は激怒し、バレエを辞めるように迫る。4年ぶりとなる今回の上演は、約1年にわたってバレエや演技、タップダンス、器械体操、歌唱などさまざまなレッスンを重ね、厳しいオーディションで選び抜かれた少年4名が主人公のビリー役に挑む。少年たちの熱い演技とダンスは必見だ。「劇場・音楽堂等における子供舞台芸術鑑賞体験支援事業」の招待はすでに受付枚数終了しているものの、東京公演では学生券、大阪公演ではU-25チケットを販売中だ。
公演は、7月27日~10月26日に東京建物Brillia HALL(豊島区立芸術文化劇場)、11月9日~24日に大阪・SkyシアターMBSで上演。