「そでがうらわんぱくクエスト」によってもたらされた教育、地域活性への効果とは

 袖ケ浦市教育委員会は、小中学生が野外での宿泊や自炊、様々な体験活動をしながら、約30kmの全行程を徒歩移動で目指す「第29回そでがうらわんぱくクエスト ~大切なものに気づく旅~」を令和6年7月29日~7月31日の3日間で実施しました。
 今回は5年ぶりに近隣市である君津市や木更津市まで行動範囲を拡大して実施しました。期間中は猛暑に見舞われましたが、熱中症対策をはじめ様々な安全対策を講じながら実施し、参加者全員が無事にゴールにたどり着きました。

ゴールする瞬間の参加者たち

「そでがうらわんぱくクエスト」とは
事業の概要と歴史
 「そでがうらわんぱくクエスト」は、袖ケ浦市教育委員会が主催している青少年健全育成事業の1つです。これは、小学5年生から中学3年生の児童生徒を対象に、仲間と協力しながら、自分たちで考えた様々なグループ活動を行うことを通じて、協調性・忍耐力・自ら考え行動する力を身につけていくことを目指すとともに、未来の袖ケ浦市を担う人材の育成を図っていくものです。 

 参加者は、袖ケ浦市および近隣市の自然、文化、歴史、地域との交流やふれあいを肌で感じながら、様々な体験を行います。参加者は、男女別の班を作り、2泊3日を共に過ごし、ゴールを目指します。
 また、野外泊、自炊、徒歩移動を原則として活動します。調理器具等をはじめ、全ての荷物を自分たちで運び、毎日の食材についても、一人1日500円の中でやりくりしながら、現地で調達します。
 さらに、参加者の安全管理のため、大人の随行者である「カウンセラー」がそばにつきますが、歩く道すじ、食事の献立、体験活動、宿泊交渉など、口出しはせず、参加者が自分たちで話し合って決めます。

調理・片付け・洗濯を自分たちの手で行います

スタートからゴールまでの全行程を徒歩で移動します


参加者の活動を見守る唯一の大人、「カウンセラー」

様々な体験活動を行いながら、ゴールまで向かいます

 本事業は1996年から始まり、今回で29回目を迎える歴史ある事業です。毎年42名前後の小中学生が参加し、のべ参加者数は1100人を超えました。
 令和元年度までは、君津市や富津市の山間部からスタートし、6日間かけてゴールを目指すという内容で実施しておりました。年によっては鴨川市からスタートし、房総半島を横断した回もあります。
 コロナ禍の2年間は中止を余儀なくされましたが、令和4年度より事業内容を見直し、感染症や熱中症等の対策に配慮しながら、袖ケ浦市内、2泊3日での内容で復活しました。
 今回は、体験活動の幅を広げ、参加者の満足度をより高めることをねらい、2泊3日という期間は維持しつつ、5年ぶりに近隣市である木更津市や君津市へ行動範囲を拡大して実施しました。参加者は各市の特色ある事業所で様々な体験をさせていただき、充実した3日間を過ごすことができました。
今年度の実施の様子
 令和6年度は袖ケ浦市の根形交流センターにて出発式を行い、その後、各班で決めた君津市や木更津市のスタート地点にバスで移動しました。
 久留里方面をスタートした班は、お城の見学や名水地巡り、ブルーベリーの摘み取りといった体験、
木更津・矢那方面からスタートした班は、はちみつやパンといった工場、研究所施設を見学させてもらったり、野菜の摘み取りや水遊びなどの体験をしたりしながら、ゴールまで向かいました。

令和6年度は根形交流センターをスタート


「バケツかき氷」をごちそうになる子どもたち


ブルーベリーの摘み取り体験をさせていただく女子チーム


泊まらせていただいたお礼に奉仕作業を行う参加者たち

はちみつ工場の見学


果物を運ぶ農業体験

あぜ道を歩く参加者たち


パン工場の見学

井戸で冷たい水をチャージ


地域の方に交渉して泊まらせていただく「民泊」

わんぱくクエストによってもたらされたものとは
故郷に戻ってくる経験者たち

本部で作業をする「事業支援ボランティア」
 様々な人々に支えられながら実施することができている本事業ですが、その1つに「事業支援ボランティア」の制度があります。
 これは、過去にわんぱくクエストを経験した高校生以上に募集をかけ、事業を裏側から支えてもらう制度のことです。今回は20名の方が参加してくれました。
 また、わんぱくクエスト経験者はボランティアのみならず、カウンセラーにも数多くいます。今回は半数近くのカウンセラーが経験者でした。



 さらに、袖ケ浦市の職員の中にもわんぱくクエスト経験者が多数存在します。かつての参加者が大きくなって故郷に帰ってくる…、本事業は人材の地域還流に一役買っていると言えます。
参加者・保護者の満足度は98%超え、「大切なものに気づいた」という声多数

到着後、すがすがしい表情を見せる参加者たち

 事業実施後、参加者及び保護者を対象にアンケート調査を実施しました。参加者の約98%・保護者の100%が、事業に対して満足のいく結果だったと回答をしました。「将来、ボランティアとして本事業に参加してみたいか」という問いでは、9割近くの参加者から「はい」という回答を得られました。

 また、今回は本事業の副題として「大切なものに気づく旅」という言葉を掲げました。参加者へ「わんぱくクエストを通して、大切なものに気づくことはできたか」と尋ねたところ、約93%が「はい」という回答でした。自由回答としては、「日常のありがたさ」「地域の人の温かさ」「仲間との協力・絆」の3つが非常に多い回答となりました。困難な状況下で、仲間と支え合いながら、多くの人と出会い、その優しさにふれることで、参加者たちは、それぞれの大切なものに気づいたようでした。

 一方、保護者の自由回答からも「子どもに自信がついた」「たくましくなった」「家で料理や手伝いをするようになった」など、全ての意見が肯定的な回答でした。こうした結果からも本事業のねらいを達成することができたことがわかります。そればかりか、事業が終わった後も旅で得たことを生かそうとしていることが見てとれることからも事業の成果は多岐にわたっていることがわかります。
今後の展開について


 参加者・保護者の方の支持や、地域の方の理解を得て、この「そでがうらわんぱくクエスト」は29回もの長い期間続いてきましたが、子どもたちを取り巻く自然環境や社会情勢は本事業が始まった29年前と大きく変わってきています。特に近年の「酷暑」や「ゲリラ雷雨」といった異常気象は命を脅かすレベルともいえます。



 今回はまさに「酷暑」にぶつかってしまった3日間でした。スタッフの24時間体制の安全管理により、参加者、スタッフともに全員が無事で本事業を終えることができましたが、今後の運営を考えた際、参加者及びスタッフの安全を担保することが大きな課題となってきました。
 次回、そでがうらわんぱくクエストは節目である30回目を迎えます。「参加者の子どもたちの安全」「スタッフの安全」を最優先に考え、本事業の今後の在り方はどうあるべきかについて、今後検討していきたいと考えています。
わんぱくクエストについてはこちらもご覧ください ↓
わんぱくクエストホームページURL:
https://www.city.sodegaura.lg.jp/soshiki/shogaigakushu/dai29kaisodegaurawanpakuquesttoppage.html
袖ケ浦市広報担当インスタグラム:
https://www.instagram.com/p/C93rqfcPQGa/?img_index=1
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