駅にも寄ってみた。
校庭の体育倉…、ではなく陸奥横浜駅の駅舎。無人ではない。」
JR大湊線は野辺地と大湊を結び、1日に上下各9本だ。
駅舎の中はカラフルなベンチが8脚。片隅に「菜の花文庫」という書棚があったので、駅員さんに聞いてみたが、まだ赴任してきたばかりで詳しいことはわからないとか。待っている間に自由に読める本らしい。菜の花に関係する童話が中心だ。
町役場で聞いた「じゃん」に代わる語尾は…
何日か前に電話をし「どなたか地元の方にお話をうかがいたいのですけれど…」「それなら私が」、と待ってくださっていたのは、広報的な役割をしている横浜町役場・総務課の秋田さん。
入口はかなり真っ暗。総務部は2階、町長室の目の前だった。クーラー、扇風機はない。
「欲しいねっていう話は毎年出るんですけれど、話しているうちに2週間ぐらいで暑さが終わります」と秋田さん。とにかく風が強い地域で、冬は雪が積もると言うより壁に張り付くそうだ。
横浜町の歴史は古く、鎌倉幕府以前に源義家が建てた八幡神宮があり、江戸時代にはすでにその名があったという。浜が横に長いからついたらしい。
横浜市のルーツ「横浜村」の、「横」に向かって伸びる砂「浜」があったからという名前の由来と少し似ている!?
ところで横浜町の人は自分を「ハマっこ」とか呼ぶんだろうか? 「高校生の時ふざけて言っていましたけど(笑)。“じゃん”言葉は横浜弁というより“都会の言葉”っていうイメージですね」
“じゃん”に代わる語尾は?と聞くと「“~だいせ(~だいへ に近い発音)”ですかね。ノートだいせ、とか。ノートだよという意味です」。秋田さんはゆっくり優しく喋る。
横浜町の人の特徴は「ヨゴハマー」と濁点が付いて語尾が伸びると前知識を仕入れたので、発音してもらった。「ヨゴハマ~。本当だ、言ってますね(笑)」。
そのヨゴハマ~といえば、菜の花が有名。
「5年くらい前までは作付面積が日本一だったんですけどねー。市町村合併で北海道の市が1位になってしまって」。菜種油のためではなく、NPOや道の駅が観光のために商品を開発しているそうだ。
町のどんな所が好きかと聞くと、「流れる空気が違いますよね…ゆったりしているというか。町役場に勤めて7年ですけれど、警察が出てくるような話はDVが1件あっただけです」。
それでも過疎化は深刻。1年間の出生数は約30人。それなのに町内に小学校が4校もあるという。計算すると1校につき59人! ちなみに横浜市は1校につき約550人だ。
「六ヶ所村の日本原燃と日本ハムの加工工場に働き口があるから、若者が留まってくれている。なかったらと考えると恐ろしいですよ」と横浜町役場の秋田さんは言う。
六ヶ所村の核燃料再処理施設とは町境から5kmも離れていない。そして隣接の下北郡には東通(ひがしどおり)原子力発電所がある。
「東通からは30km圏内ですから、稼働して福島みたいなことが起これば、町から逃げるしかないですよね…」(秋田さん)。町のHPのトップにも「横浜町原子力関係」という見出しがあり、防災の心得が具体的につづられていた。