【家電量販店とまちデータ・5】 「住みたい街ランキング」の上位に入る街(駅)・自治体には、多くの場合、駅前の繁華街や市内のロードサイドなどに家電量販店がある。連載第5回となる今回は千葉県を取り上げる。
大東建託調べ「街の住みここち&住みたい街ランキング2024<千葉県版>」より
「住みここち(駅)ランキング トップ10」。インパクトのあるキャッチコピーで注目を集める
「流山おおたかの森」をはじめ、東京寄りのエリアの人気が高まっている
■前回(第4回)から読む
https://www.bcnretail.com/market/detail/20241012_460824.html
千葉駅前・カメラ系家電量販店対決がさらに激しく
連載第1回と同じ集計データによると、千葉県内にある主要家電量販店(オンラインショップは含まない)の店舗数は135で全国9位の多さだ。また、人口10万人あたりの店舗数は2.22で、全国平均の2.94と比べると少なく、都道府県別ワースト7位となるものの、東京都(1.55)、神奈川県(1.85)は超えており、首都圏のなかでは、埼玉県(2.17)に次いで家電量販店が身近にあるといえるだろう。
チェーン店舗別でみると、1位はヤマダデンキ、2位はケーズデンキ、3位はノジマ。4位は「コジマ×ビックカメラ」と「ビックカメラ」をあわせたビックカメラグループ、5位は上新電機だった。他にヨドバシカメラ、でんきち(デンキチ)、ベイシア電器が各1店舗ずつあるが、上位2社が大きくリードしている状況だ。なお、本連載で用いる集計データは、家電量販店各社のウェブサイトに2024年6月末時点で記載されていたデータをもとにし、7月以降の新規開店・閉店は反映していない。今年10月11日に、大型スーパー「ベイシア」のインショップとしてオープンした「ベイシア電器市原八幡店」を含めると、ベイシア電器はデンキチを超える2店舗となる。
千葉といえば、11月15日に、「ヨドバシカメラ マルチメディア千葉」が移転オープンした。同時に、駐車場とヨドバシカメラを含む専門店で構成する「ヨドバシHD千葉ビル」が開業。隣接する「そごう千葉店」とは地下1階と4階の連絡通路でつながっており、ビルの5階以上にある駐車場(タイムズヨドバシ千葉)は共用だ。
「マルチメディア千葉」の売り場構成は、1階がスマートフォン・スマートフォンアクセサリと自転車(試乗コースあり)、2階はPC本体・PC周辺機器・ゲーミング・ゲーム・玩具ホビー・文具、3階はテレビ・オーディオ・カメラ・時計と医薬品(ヨドバシドラッグ)、4階は生活家電・理美容・化粧品となる。
22年11月に同じ千葉駅前に「ビックカメラ 千葉駅前店」が新規オープンしており、従来の「ヨドバシカメラ千葉店」に比べて約3倍の店舗面積となる新店舗は、この競合店舗を強く意識したものと考えられる。今回の移転オープンは千葉駅周辺の活性化にもつながると期待されており、今後、千葉以上の巨大ターミナル駅である池袋、渋谷に出店すると報じられているヨドバシカメラの試金石ともなりそうだ。
2024年11月15日にオープンした
「ヨドバシカメラ マルチメディア千葉」の外観(左)と、
10月11日にオープンした「ベイシア電器市原八幡店」
一方、千葉県内店舗数1位のヤマダデンキは店舗数こそ多いが、都市型・次世代型店舗の「LABI/Tecc LIFE SELECT」は「Tecc LIFE SELECT 木更津請西本店」と「LABI津田沼店(モリシア津田沼内)」の2店舗のみにとどまり、現時点では県庁所在地・政令指定都市の千葉市や、人口40万人を超える船橋市、松戸市などには「LABI/Tecc LIFE SELECT」ブランドでは出店していない。ヤマダホールディングスは、25年3月期 第1四半期 決算補足資料において、LIFE SELECTをコアとした業態別エリア「店舗開発」を推進していくと公表しており、今後の千葉県内での出店計画に注目だ。
次回は25年4月1日から、運営会社「サンキュー」のエディオンへの吸収合併に伴い、「100満ボルト」から「エディオン」への店舗名変更が決定した「100満ボルト」が出店しているエリアを取り上げる。(BCN・嵯峨野 芙美)
※本記事の「家電量販店」の総数は、家電量販店各社のウェブサイトに2024年6月末時点で記載されていたデータをもとに独自に集計したものです。7月以降の新規開店・閉店は反映しておりません。