「夫が離婚したがっていることは、薄々と気がついていました。

自分名義の銀行のカードや通帳を『自分で管理するから』と言い出して私には生活費を渡すだけになり、子どもたちが家を巣立った後についてもまったく話題にしようとはせず、『そのうち言われるのかな』とは思っていましたね。

でも、正直に言えば現実味はなくて、ずっと距離のある夫との生活はふたりになっても続くと、どこかで信じていました。

次女が県外の大学に進学することが決まったときに『離婚したい』と言われ、そのときにはもう、財産分与や次女の学費の払い方なども全部夫は決めていました。

『いきなり言われても困る』とまず返事をして、それからずっと家庭内別居の状態です。

私はパート勤めでひとり暮らしができるような収入ではなく、実家に帰るとしても県外で、すぐに身動きが取れないことは、夫も理解していると思います。

問題は子どもたちのことで、ふたりの娘にはまだ打ち明けてはいませんが、離婚することがどんな影響を与えるのかわからずに不安です。

『片親になれば次女の就職に不都合は出ないか』『ふたりが結婚するときにどんな参列の仕方になるのか』など、いろいろなことが気になります。

娘たちは夫とすごく仲がいいわけではないけれど嫌っている感じもなく、離婚はやっぱりショックを受けるだろうと思います。自分の身の振り方も考えないといけないけれど、娘たちのことを考えたらせめて次女の就職を見届けてからでもいいのではと、身勝手な夫を責めたくなります。

家庭内別居になってから一言も口をきこうとしない夫とは、離婚は確実だろうとは思いますが、私自身の気持ちが固まらず苦しい毎日を送っています」(50代/小売業)

配偶者に離婚を考えている気配があっても、いざ現実になるとなかなか心がついていけない、という人は多いと思います。

大きくなっている子どもたちへの影響なども今さらのように考えることになると、自分の「どうしたいか」がわからなくなるのは、仕方ないのかもしれません。

それでも配偶者の気持ちが変わる可能性は低く、いつかは向き合うことから逃げられないのが、離婚の問題といえます。