遠藤聖大 撮影:スエイシナオヨシ 遠藤聖大 撮影:スエイシナオヨシ

9月14日(日)・両国国技館で初日を迎える大相撲『九月場所』でも、この23歳の若武者が注目を一身に浴びることだろう。遠藤。数々のスピード記録を打ち立てる角界の人気者が、『三月場所』に続く前頭筆頭として、上位陣の胸を借りる。

大相撲九月場所 チケット情報

初めて横綱・大関と総当りとなった『三月場所』では大関・稀勢の里を突き落としで下したものの、6勝9敗に終わった。2度目の挑戦でどれだけ星を伸ばせるか周囲の期待が高まる一方だが、当の本人はしっかりと足もとを見つめていた。

「上位陣に通用する実力はまだないですし、すぐに力はつかないと思うので、少しずつ、一場所一場所経験しながら、自分のものにしていきたいです」

アマチュア横綱と国体横綱の金看板を引っさげ角界入りした逸材は、大言壮語を嫌う。だからと言って、上位陣との取組に気後れしているわけではない。

「毎場所が勉強であることに、変わりはないんです。ただ、取組の前から負けることを考えないように、本場所前から『勉強だ』という意識を持つのではなくて、本場所が終わったあとで結果的に『勉強になったな』と思えるほうがいい」

教訓がある。当時大関だった鶴竜に叩き込まれ、横綱・日馬富士に掬い投げを喫し、横綱・白鵬に送り倒され、大関・琴奨菊に押し出され、初日からの4連敗となった『三月場所』では、勝負師として心の隙があったのかもしれない。だが、もう同じ轍は踏まない。

「(『三月場所』は)最初から勉強だという考えが強かったかもしれません。最初から負けることを考えていたつもりはなかったのですが、(上位陣との対戦が)とにかく初めてなわけですし、周りからも『勉強の場所だな』と言われていたこともあったので。でも、これからは最初からそういう気持ちでは臨まない、ということです」

さらに遠藤は「経験を生かすも殺すも自分次第ですので、やはり生かしていかなければいけないと思います」と続けた。

実力が急激に伸びる魔法なんてないことを遠藤は知っている。日々の稽古と本場所の15日間が血となり肉となるのだ。だからこそ『九月場所』を前にしても、これまでと同様に遠藤は「一番一番しっかり相撲を取ることが大事だと思います」と語る。

加熱するフィーバーもどこ吹く風。背伸びせず、気負わず、自然体の遠藤が9月14日(日)・両国国技館の土俵に立つ。チケット発売中。また、遠藤のスペシャルインタビューは下記関連リンクより。