伊勢うどんの大きな特徴は、うどんなのにコシがないこと。そのぶん、もっちりふんわりと柔らかい食感が魅力なのです。

なぜ柔らかいのかというと、「伊勢参りに訪れる旅行者に、消化のいいものを食べて疲れを癒してもらいたい」というおもてなしの想いから、というのが有力な説で、一般的なうどんとは異なる、独自の発展を遂げてきた伊勢うどん。その魅力を知り尽くすべく、昭和初期創業の老舗「山口屋」さんにお邪魔しました!

たれと麺を同時に食べる

たれをまとって、なんとも艶やかな伊勢うどん。
拡大画像表示

「よーく混ぜて、たれと絡めて食べてくださいね」そう語るのは、店主の山口敦史さん。

目の前に出された伊勢うどんを見てまず驚いた……。 見よ、このたれの色を!!

「真っ黒」と言っても過言ではない濃ゆ~いたれ。まさか、とんでもなくしょっぱいのでは…?

山口さん「実は見た目ほどしょっぱくないですよ。たまり醤油を使っているから見た目は濃いけれど、たれだけでも飲めるくらい。麺が極太なのも、たっぷりたれと絡ませるためなんです」

そうは言われても……。いわれるがまま、麺とたれをまぜまぜ。

すると、ふんわりとたれの香ばしい香りが立ちのぼり食欲をそそります。

いざ、ずっしり重い麺をひと口噛むと、想像以上のもっちり感! 確かにたれの味は見た目ほど濃くはなく、むしろ非常にまろやかで、魚介のやさしい風味が口いっぱいに広がります。

山口さん「たれは店によってさまざまで、共通しているのはベースになるたまり醤油くらいかな。うちではかつお節、煮干し、さば節の風味を生かすようにしています」

ズルズルッと、勢いにまかせて一気に完食! なんと、たれまで飲み干してしまうほどの美味さでした!!