トム・クルーズが伝説的スパイ、イーサン・ハントを演じる人気アクションシリーズの最新作『ミッション:インポッシブル/フォールアウト』(8月3日全国公開)。本作の日本語吹き替え版で、イーサンを翻弄する闇の組織を操る謎の美女ホワイト・ウィドウ役(ヴァネッサ・カービー)の声優を務める広瀬アリスが、「神の領域」とまでいう“声優”に再挑戦した理由や、本役で目覚めた悪役への憧れなどを語ってくれた。
-本シリーズで俳優が声優を務めるのは初めてだそうですが、オファーを受けたときの感想は?
まさか自分が…と驚きましたし、『ミッション:インポッシブル』に関わる仕事は、人生で二度とないだろうから、うれしく、光栄に思いました。でも、自分でいいのかな?という気持ちの方が強かったです。声の仕事は1日、2日でできるものではないし、ファンもたくさんいる作品なので、プレッシャーを感じてドキドキしました。
-周りの反響はいかがでしたか。
「違和感なく見られた」と言われると、「やった!」と思います(笑)。「アリスさんがやるなら見ようかな」というファンの方もいらっしゃいます。私も自分が吹き替えをすることで、今までこのシリーズに関心がなかった方にも興味を持っていただけたらな…と考えていたので、そういう声はとてもうれしいです。
-美しく妖しい、闇の組織を操る謎の女という役柄ですが、どのような役作りをされましたか。
(吹き替えの)監督に言われたこともあり「セクシーな声」を意識しました。後は、ヴァネッサが、20代とは思わせない、大人びて落ち着いた感じがあるので、普段よりも低く、ゆったりしたトーンでしゃべるようにしました。
-確かに、色気を感じさせる声質でしたね。
本当ですか? 今まで、声の仕事での一番の褒め言葉は「気にせずに見られました」とか「不自然じゃなかったです」で、「声に色気がある」なんて言われたことがなかったので、すごくうれしいです!
-アフレコ時の印象的なエピソードなども教えてください。
「なぜ?」という一言が全然言えなくて、20テイクもやった上に、違うせりふに変えてもらいました(笑)。何度やっても監督から「もっと強く!」と言われて…。「なぜ?」はかなりトラウマです。
-そうはいっても吹き替えは映画『パワーレンジャー』(17)についで2回目ですよね。成長した部分もあるのでは。
手が震えなくなりました。それ以外は全然…。改めて、得意分野ではないと思いました。本当に難しくて、強弱、抑揚、喜怒哀楽、全部を声だけで表現することは慣れていないとできないと実感しました。
-声優の仕事にはまる俳優も多いですが、そうではないようですね。
神の領域に足を踏み入れてはいけないと思います。もちろん、お話しを頂けたらぜひやりたいですけど、やる度に声優の方がすご過ぎると感じます。
-では、ご自身のフィールドで、今後やってみたい役などはありますか。
いつも“明るい子”とか“いい子”が多いですし、バラエティー番組でもケラケラと笑っていることが多いので、イメージを壊すために、暗殺者とか悪い役に挑戦したいです。もともと、ホワイト・ウィドウみたいな役はやってみたかったので、実写でもすごく嫌な役をやりたいです。
-ダークなアリスさんも見てみたいですね。それでは、最後に、映画を楽しみにされている方にメッセージをお願いします。
ホワイト・ウィドウが登場する一発目のシーンからナイフを使ったアクションがあってハードなので見逃さないでください。声に関しては温かく見守ってください。それだけで救われます(笑)。
(取材・文・写真/錦怜那)