「夫から離婚を切り出されたとき、何となくそんな可能性をずっと考えていた自分に気が付きました。

うちは私の母が同居していて口うるさく、夫は肩身の狭い思いをしていて、一人息子が家を出たら今まで以上に居場所がないことを感じるのでは、と思っていました。

だから、案の定『離婚したい』と言われたときは、まず『うん』と返事をしてしまって、私自身がもう諦めていたのですよね。

言い方がきつく不機嫌で家族を支配する母から逃げられず、夫を大事にしてこなかったので、離婚は当然のことだろうとも思いました。

驚いたのは『息子にはもう話してある』と言われたことで、それを私は息子からは聞いていなかったので、息子も何か思うところがあるのかもしれません。

気持ちとしては離婚は避けたくて、やっぱり夫にいてほしい自分もいましたが、夫の決意の固さを考えたら無理だろうなと思いました。

あの頃は『夫婦って何なのだろう』といつも考えていて、役目は終わったとばかりに逃げ出す夫が憎かったし、でも夫に前向きな提案ができない自分に情けなさも感じました。

それからは財産分与を話し合って、県外に就職している息子にも離婚を伝えて、夫が家を出て終わりました。

離婚を言い出す側って、本気だからこそ先手を打って子どもに伝えていたり、住むアパートも目星をつけていたりするんですよね。

母とふたりになった家で、これからどう生きていこうかと考えています」(50代/総務)

こちらの女性は、自分自身に親に逆らえない弱さがあり、「夫はそれに巻き込まれている」と感じていたそうです。

夫婦でいられるうちに何かしておけば、と考えても、別れを決めた側はどんどん自分の新しい生活の基盤を整えていくのが現実で、それを見れば引き止めることは難しいとわかります。

家族の確執を熟年離婚で終わらせるという人は、少なくないのかもしれません。