完全ワイヤレスイヤホンの選び方を解説

【完全ワイヤレスイヤホン最前線・1】「完全ワイヤレスイヤホンを買おうと思っても、種類が多すぎて迷ってしまう」という声をよく聞きます。完全ワイヤレスイヤホンは、価格も形も機能もさまざま。そこで今回は、基本の仕組みからタイプ別の特徴、用途に合わせた選び方までを整理しました。

完全ワイヤレスイヤホンとは?

まず整理しておきたいのが、「ワイヤレスイヤホン」と「完全ワイヤレスイヤホン」の違いです。ワイヤレスイヤホンは、スマートフォンなどとケーブルを使わずに接続するイヤホン全般を指します。左右がケーブルでつながっているネックバンド型や、片耳だけのモノラル型も含まれます。

一方、完全ワイヤレスイヤホンは、左右のイヤホンが完全に独立しており、ケーブルが一切ありません。それぞれがスマートフォンと直接通信し、専用のケースで充電する仕組み。今の主流はこちらのタイプです。

ネックバンド型などのワイヤレスイヤホンは、左右がつながっている分、落とす心配が少なく、首にかけておける安心感があります。バッテリーが比較的大きく、長時間再生できるのも魅力です。ただし、ケーブルが擦れて衣服に当たる音(タッチノイズ)が気になる人もいます。

完全ワイヤレスイヤホンはケーブルがないため見た目がすっきりし、身軽に使えるのが最大のメリットです。収納もコンパクトで、ケースに戻せばそのまま充電できる手軽さがあります。その一方で、片方をなくしやすい、充電を忘れると使えない、という弱点があります。小型ゆえに操作部が限られ、誤操作が起きやすいという意見もあります。

どちらを選ぶかは、使う場面やライフスタイルによって変わります。「移動中に使うことが多いなら完全ワイヤレス」「長時間の作業や通話中心ならネックバンド型」など、自分の使い方を思い浮かべながら選ぶとよいでしょう。

通勤・集中・没入向けの「カナル型」

次に、完全ワイヤレスイヤホンの形状について解説します。

カナル型(密閉型)とは、耳穴にイヤーピースを差し込んで密閉するタイプです。遮音性が高く、電車内やカフェなどの騒がしい場所でも音に集中できます。最近のハイエンド機は、アクティブノイズキャンセリング(ANC)を搭載。通勤時や集中したい作業中に、まるで“音の個室”にいるような感覚を味わえます。ただし、長時間装着すると耳が疲れやすく、周囲の音が聞こえにくくなる点には注意が必要です。

「ながら聴き」にぴったりな「インナーイヤー」

インナーイヤー(開放型)は、耳を完全にふさがず、外の音を自然に取り込みながら音楽が楽しめるタイプです。家事をしながら、オフィスでの軽作業中、子どもの様子を見ながらなど、周囲の音を聞き逃したくない場面に向いています。圧迫感が少なく、長時間使っても疲れにくいのが特徴です。ただし、遮音性が低いため、電車内など騒がしい場所では音量を上げがち。音漏れには気をつけましょう。

運動時に安心の「クリップ/オープンイヤー型」

クリップ/オープンイヤー型(骨伝導含む)は、耳の外側にフックやクリップで固定するタイプで、耳穴を完全に開けたまま使えます。外の音を聞きながら安全に使えるため、ジョギングやサイクリング、ウォーキングなどに最適。メガネやマスクとの干渉も少なく、装着感が軽いのが魅力です。ただし、低音の迫力はカナル型に劣り、音漏れしやすい点は注意が必要です。骨伝導タイプは独特の振動を感じるため、好みが分かれます。

遅延やマイクを重視した「ゲーミングイヤホン」

ゲーミングイヤホンとは、ゲームや配信で使うイヤホンです。この場合、「音の遅延」と「マイク性能」がカギになります。Bluetooth接続だけでなく、2.4GHzレシーバーや有線モードを備えたモデルを選ぶと、映像とのズレを最小限に抑えられます。また、チームプレイや配信時にクリアな音声を届けるため、単一指向性マイクやノイズ抑制機能付きモデルが安心です。

完全ワイヤレスイヤホンを選ぶコツ

最後に、完全ワイヤレスイヤホンを選ぶとき、どういうところに気を付けたらいいかポイントをまとめます。

まずは、使う場面を決めるということ。通勤、在宅ワーク、運動、家事など、最もよく使うシーンを一つに絞りましょう。全てに対応するモデルを選ぶより、メイン用途を決めた方が、満足度が高くなります。

次に、予算の上限を決めるということ。価格によって選べる機能のレベルが変わります。1万円未満なら基本性能中心で普段使いに十分。1万~2万円ではANC機能や通話品質の高いモデルが候補に。2万~3万円台は高音質・高機能にブランド体験も加わり、3万円以上であれば長く使えるフラッグシップとしての完成度が高まります。

最後に、形状を選ぶということ。通勤や集中作業にはANC付きカナル型、家事や育児の合間には開放型、運動にはクリップ型、そして配信やゲームにはゲーミングタイプ。自分の生活シーンを思い浮かべながら選ぶのが成功の秘訣です。

重要なのは、カタログの数字よりも、使う場面で快適かどうか。自分の生活リズムを思い浮かべながら、ぴったりの一台を見つけてください。(マイカ・秋葉けんた)

秋葉けんた

編集プロダクションのマイカに所属するITライター。雑誌、書籍、新聞、Web記事など、多岐にわたるメディアで執筆活動を行っている。特に家電やガジェット、IT関連の記事に豊富な実績があり、生成AIに関する書籍も多数手がけている。