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 イギリスで最初の原作絵本が誕生してから80周年を迎えた人気児童向けアニメ「きかんしゃトーマス」の劇場版『映画 きかんしゃトーマス サンタをさがせ!パーシーのクリスマス急行』が12月12日から全国公開された。シリーズ初のクリスマスムービーとなり、トーマスやパーシーが、一人の少女の願いをかなえるために奮闘する姿を描いた本作の日本版でサンタクロース役を演じたDAIGOに話を聞いた。


-このシリーズでは9年ぶりの声優出演ということになりましたが、トーマスにまつわる思い出や今回のアフレコへの感慨はありますか。


 僕が子どもの頃に見ていて、すごく好きな作品でエンターテインメントとしても大好きでした。9年前はリアルなトーマスの映画でライアンという役をやらせていただきましたが、今回はアニメで、トーマスがすごくかわいくなっていて、子どもたちには本当にフィットするだろうなと感じましたし、今の時代に合っているんじゃないかなと思いました。9年前は結婚したばかりでしたが、今は子どもも2人いて。特に下の子が男の子なので、車とか電車とか、そういうのがとても大好きな時期にこの映画のオファーを頂いたので、これ以上ない最高のタイミングだったと思います。案の定、下の子がトーマスを大好きになったので、ミラクルだなという感覚です。例えば、もしオファーが20年後ぐらいだったとしたら、僕も70歳近くで子どもたちも成人していますから、そのタイミングで来るよりも、今まさに来てほしいタイミングで最高の作品と巡り合えたし、参加させてもらったという思いがします。


-今回はサンタクロースの役でしたが、特に意識したり、重視したことはありましたか。


 タイトルにも「サンタをさがせ!」とある通り、ある子どもがサンタさんへ宛てた手紙をパーシーが送り届けるために、トーマスたちと力を合わせてサンタさんを探すというストーリーなので、本当に大事な役です。やっぱりサンタクロースって夢を与えてくれる存在なので、僕のアフレコ次第でこの映画が良くも悪くもなる。僕にかかっている。そういう思いで取り組ませていただきました。


-トーマスの世界に対するイメージは、どんな感じなのですか。


 まずシンプルにすごいと思うのが、きかんしゃがしゃべるという発想です。それに加えて、きかんしゃに顔があって、それぞれの顔も違って、個性もあって、色も違って、役割も違う。そのきかんしゃたちがしゃべりながら、いろんなことを展開していくという楽しさがありました。それに子どもの頃って、ジオラマ的な世界観が好きだったりしますよね。そういった感じの世界観がすごく立体的で好きでした。何かそういう世界に行きたくなるような魅力がありました。


-そういうものに自分が声を当てるのはどんな感じなんですか。


 もう本当にハッピーというか。僕自身、ミュージシャンを志して、19歳から音楽を始めて、その頃描いていた未来予想図に「きかんしゃトーマスの映画に携わる」とか、「声をアフレコする」なんて未来は全く想像していませんでした。だから、自分というきかんしゃが思わぬ方向に走っていっているというのも、人生の楽しいところだなと感じました。見ていた作品に自分が出演できるというのは、生きていてよかったなと思う瞬間の一つではあります。

-パーシーのように、与えられた仕事を楽しくやるコツがあれば教えください。


 仕事があることが幸せ。シンプルにそういう意識を持ってやっています。僕もミュージシャンを目指していろいろとやっていましたが、思うように行かなくて。でも、音楽に対する情熱は消えなかったのでやり続けましたが、仕事がなくていろいろと自分の中で悩んだり考えたりしました。そこからバラエティーの世界に足を踏み入れて、自分が思ってもいなかった未来が開けましたが、そういう中でも、仕事があることがいかにありがたいことなのか、感謝だなと思うようにしています。こういう取材も、聞きに来ていただかないと、ただの独り言になってしまいます。そういう意味で、こうして取材をしていただくこともすごく幸せなことだと思います。人間って疲れていたり、忙しかったりすると、感謝を忘れてしまう時があると思いますが、そういう時こそ、仕事がなかった時代のことを思い出したり、振り返ったりして、今のこの瞬間の大切さを思い返すというのがとても大事なのかなと思います。


-今回、サンタクロースの声を当てる上で、気を付けたことはありましたか。


 最初は、サンタクロースという役柄を、いい意味で、かなり年を重ねた長老のような、80代の後半から90歳ぐらいを想像していて、渋い感じで、おじいちゃん的な声かなとイメージしていたんですけど、監督さんに話を聞いた時に、「元気いっぱいで、皆に力をどんどん送ってあげられるような、希望にあふれたサンタクロース」ということを聞いて、「なるほど」と思いました。絵を見たら、ちょっと恰幅(かっぷく)がよかったのですが、僕はそういうタイプではないので、風船で膨らんだような、恰幅のいい自分をイメージして、元気よく声を出す。そういうイメージで取り組みました。それで「ほっほっほー」という言葉が結構出てくるんですけど、あれも難易度が高かったんです。僕も今まで生きてきて「ほっほっほー」と言ったことはなかったので(笑)。でも、何回も言っていると、どんどん楽しくなってきて、「ほっほっほー」で会話をしているような気分になりました。これは「ここにいるよ」の「ほっほっほー」なのか「その通りだよ」の「ほっほっほー」なのか、そういう解釈をしながら取り組めるようになりました。そうした「ほっほっほー」の違いを楽しんでもらいたいと思います。


-お子さんと一緒にトーマスを見たりしますか。


 この映画も一緒に見たんですけど。本当に楽しんでいました。「ほっほっほー」というせりふにすごく反応して、まねしていました。スタッフが子どもたちが喜ぶツボみたいなものを知り尽くしているのだと思いました。1時間という上映時間もベストですよね。子どもって、飽きちゃったり、集中力が続かなかったりするから、1時間というのはぎりぎりだと思うので、その辺りで収めているのも素晴らしいなと。最初は歌から始まって、ストーリーも含めて、子どもが飽きないように作られている。すごく考えていますよね。勉強になりました。


-完成作を見た感想を。


 一言で言うと「SHM」、(S)スーパー・(H)ハッピー・(M)ムービーです。幸せが詰まっている映画だと思いました。大人には、こういう気持ちを忘れていたということを思い出させてくれるような映画です。子どもたちには、本当に夢をかなえるためには諦めない、そして仲間たちを大切に。そういういろんなメッセージが込められているし、トーマスたちがみんな魅力的で、すごくすてきな映画になっています。


-観客や読者に向けて、一言お願いします。


 もちろん絵もストーリーも声も含めて、すごいエンターテイメントになっていると思うので、お子さんがいる方は、ぜひ見に行ってほしいです。この映画を見れば、大切なことがいろいろ感じ取れると思います。あとは、クリスマスを楽しめます。クリスマス気分を盛り上げてくれる作品なので、「パーシーのクリスマス急行」にぜひ乗車してほしいです。サンタの最後のメッセージにも、人生で大切なことが集約されているので、そこも見どころかなと思います。


(取材文・写真/田中雄二)

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