BLUETTIの軽量コンパクトポータブル電源AORA 30
近年、異常気象や自然災害などが頻発し、災害時の電力確保手段としてポータブル電源の存在感が高まっている。この数年で市場に参入するメーカーも増えているが、その中で最近注目を集めているのがBLUETTI。BLUETTIとはどんな会社なのか紐解いてみた。
世界初の量産型ポータブル電源を開発
事前に家のコンセントから充電したり、ソーラーパネルや車のシガーソケットなどから充電したりすることで、電気設備のない場所でも電気を使えるようにする製品がポータブル電源である。
キャンプや車中泊などのレジャーで使用されることが多いが、近年は頻発する災害に対する電力確保の観点から防災対策アイテムとして需要が増加している。
このポータブル電源で、この1~2年ほど新製品の発売や各種イベントへの出展、被災地への製品提供などアクティブな動きを見せているのが、BLUETTI。社名の正しい読み方はブルーティで、BLUE skyとTomorrow、Technology、Innovationの頭文字が由来だ。
BLUETTIは2009年にバッテリーメーカーの研究部門として中国・深センでスタート。当時はバッテリーの電流変換や安定化など、現在のポータブル電源につながる研究を行っており、その開発力や技術力で生み出した製品をOEMやODMとして他社に納めていたという。
2011年の東日本大震災をきっかけとして、多くの人々の電力確保に役立つ製品の開発に着手。2012年にポータブル電源の基となる蓄電池を開発した。しかし、製品運搬が困難なほど大きく重かった。そこで必要な時に携帯できるハンディータイプの開発を進め、2015年に世界初の量産型ポータブル電源の製品化に成功した。
さらに現在では主流となっているリン酸鉄リチウムイオン電池や本体の防水防塵設計などの採用もBLUETTIが世界初とのことである。
BLUETTIの日本法人であるBLUETTI JAPANが設立されたのは2021年で、ここから日本市場での販売活動が始まった。同社の川村卓正COOは「日本でBLUETTIは後発メーカーというイメージがありますが、それは長年メインの事業がOEMやODMで、自社ブランドを前面に出すようになったのが他社よりも遅かったためです」と話す。
創業から16年経った現在、BLUETTIは700以上の特許を取得し、その製品は約110以上の国・地域で販売されている。また、中国とインドネシアの2箇所に直営の自社工場を持ち、研究から開発、製品づくり、テスト、出荷までを自社工場で行っており、「ポータブル電源業界で直営の工場を持っているのは非常に珍しいといわれています」と川村氏は語る。
BLUETTI製品を支える4つの技術の柱
BLUETTIは『より良い明日へ、エネルギーの力』をスローガンとして、社名にも採用されているTechnologyやInnovationによって、すべての人に役立つ未来を築くことを目指している。特に技術に関してはBLUE PEAKとBLUE LINK、BLUE GRID、BLUE LIFEと呼ぶ4つの技術の柱がある。
4つの柱を簡潔に紹介しよう。BLUE PEAKはバッテリーそのものの充電・蓄電のコア技術。ここには大出力でも安定して出力できる設計や回路技術、高速充電と静音技術、長寿命の電池技術、過酷な環境下でも安心して使用できる技術の4つが含まれている。
BLUE PEAKがハードウェア技術であるのに対して、BLUE LINKはソフトウェア技術。「ハードウェアを円滑に動作させるにあたって、安全性を確保するための技術です」という。このBLUE LINKの中にはAI技術も含まれており、ハードウェアを動かす頭脳にあたる。
BLUE GRIDのGRIDとは電気を送る仕組みのことで、BLUE GRIDはポータブル電源から接続した機器へ電力を送るための技術を意味する。電力の管理や停電時にすぐ接続機器に電力を送る技術などが含まれている。
BLUE LIFEは製品の実使用時における技術を指す。耐水性や防塵性、静音性、耐熱性、コンパクト性などを支えるための技術だ。
前述の川村氏は、「このようないくつもの技術を製品に採用できるのは、自社工場を持っているからです」と話す。
ポータブル電源の製品づくりでは、ある程度の部分を委託先の工場に依頼して製品として仕上げるのが一般的という。だが、前述のとおりBLUETTIでは自社工場による一貫した開発・生産体制のため、確立した技術がスムーズかつ確実に製品へ導入されるというわけだ。
自社工場内で品質や機能に関する各種試験を実施
自社工場による一貫生産体制は製品をつくるだけでなく、品質や安全性を担保するという点においても大きなメリットがある。つまり、自社工場で製品に関するさまざまな試験も行えるので、品質管理体制も徹底できるのだ。
同社の工場内で行われる試験は製品梱包状態、製品本体、バッテリーセル、本体内部の基板、本体への充放電と、さまざまな状態や内部構造に対して実施されているという。
製品は梱包した状態で工場から出荷され、輸送経路を通って購入者に届くが、輸送時の衝撃などが品質や安全性に影響を与えることもある。同社では輸送時を想定して連続8時間の振動試験と輸送時の落下を想定して高さ150cmから梱包のそれぞれの面を下に向けた複数回の落下試験を実施。試験後に梱包内の製品が動作するかを確認している。
製品本体では本体の6面をそれぞれ下に向けて3回落とす落下試験や120cmの高さから500gの鋼球を本体に当てる鋼球落下試験、輸送状況を可能な限り忠実に再現した電磁振動試験、150m/秒の速度で落下させる耐衝撃試験などを行っている。
屋外環境で使用する際を想定した試験では、2.5~3mの距離から12.5L/分の水を本体に当てる防水試験や防塵試験、本体に196時間塩水を噴霧する塩水噴霧試験、-20度で3分間置いたのち60度に切り替えて3分間置くことを6回繰り返す冷熱衝撃試験などを実施している。
ポータブル電源の核は、内蔵電池のバッテリーセル。ここに関しては特に安全性を重視し、バッテリーセルそのものに約9kgの重りを61cmの高さから当てる衝撃試験やバッテリーセルに釘を刺して10分間放置する釘刺し試験、バッテリーセルに最大13.0kNの圧力をかける圧壊試験を行っているという。
このほか、本体内部の基板機能試験や3000回にもおよぶ充電と放電を繰り返す充放電試験なども実施している。「外部の工場に委託している場合、細部までしっかりチェックすることは難しいのが実情です。当社は自社工場だからこそ製品の品質や安全、機能に関するクオリティ・コントロールができるのです」と川村氏は語る。
コンパクトなAORA、大容量のApex
BLUETTIのポータブル電源を紹介しよう。AORA(アオラ)シリーズは、軽量コンパクトな日本仕様モデル。定格出力600WのAORA 30はミントグリーン、スカイブルー、グレー、ペールピンクの柔らかい色合いの4色をラインアップしている。
定格出力200~1800Wまでの各モデルがあり、持ち運びが容易なため日常使いはもちろん、キャンプや車中泊などでも活躍する。
AORA 200は定格出力が2200Wと、AORAシリーズとしては2000Wを超えているが、この製品はもともとElite 200 V2という名称だった。ラインアップを明確化するため11月下旬に製品名がAORA 200に変わったのだ。
Apex(アペックス)シリーズは定格出力3200WのApex 300に拡張バッテリーやソーラーパネル、車用のオルタネーター充電器などを組み合わせたシリーズだ。
Apex 300は新世代のリン酸鉄リチウムイオン電池を採用しており、その寿命は約17年。同じクラスの製品と比べて約2倍という。
拡張バッテリーB300Kを6台まで接続でき、最大で約1万9350Whまで容量を増やすことが可能。また、キャンピングカー電源対応ポートを搭載し、同社のHub D1との連携で最大14台の機器へ同時に電力を供給できる。
大出力で大型家電製品にも十分な電力を送ることができるため、停電時の電力源としては最適なシリーズといえるだろう。
国内のポータブル電源市場では後発参入となったBLUETTIだが、25年には数々の新製品を発売し、26年に発売予定の製品もすでにある。メディアでの露出も増えており、後発からの巻き返しが期待されるところだ。
同社の公式ストアでは12月26日~2026年1月9日まで、BLUETTI 年末年始限定セールを実施中。数量限定の新春福袋の提供や購入金額に応じて豪華特典が進呈される購入特典プレゼントキャンペーン、ルーレット抽選会などが行われる。
ポータブル電源の新規購入や買い換え、買い増しを検討しているのであれば、BLUETTIのホームページにアクセスしてみよう。







