貧困層出身の子どもが看護師資格を取得。医療格差の構造に挑む長期教育支援の成果

NPO法人DAREDEMO HERO(本部:兵庫県、代表理事:内山順子)は、フィリピンにおける長期教育支援事業の成果として、当団体から初となる看護師が誕生したことをお知らせします。

彼女は、経済的な理由から専門教育への進学が現実的ではないとされてきた環境で育ちながらも、継続的な教育支援と生活面での伴走を受け、看護師資格を取得しました。現在は医療現場で働きながら、将来的に医師になることを目標に、学びを続けています。

この成果は、個人の努力だけによるものではなく、「不可能」とされてきた道が、適切な支援と長期的な関わりによって現実になり得ることを示すものです。



医師になる道は、どの国でも「長く、険しい」
医師になるまでに長い年月と努力が必要なのは、世界共通です。
日本、アメリカ、ヨーロッパ諸国、そしてフィリピンでも、医師になるまでには10年以上の学習と研修が求められます。

フィリピンの場合、大学で学士号を取得した後、4年間の医学部課程、卒業後のインターン、国家試験を経て、ようやく医師としてのスタートラインに立つことができます。専門医を目指せば、18年以上かかることもあります。

重要なのは、フィリピンが特別に時間のかかる国ではないという点です。
問題は年数ではなく、その道を歩み続けられるだけの経済的・社会的基盤があるかどうかです。
医学部進学を阻む、極めて高い経済的ハードル
フィリピンで医師を目指すうえで、最大の障壁となるのが費用です。
私立医学部の場合、医学部4年間の学費だけで約120万ペソ、生活費や実習費・教材費などを含めると、医学部4年間だけで約210万~220万ペソ(約500万円前後)が必要になるケースもあります。

一方で、フィリピンの一般的な労働者が4年間に得る収入は、合計で約60万ペソ(約140万円)程度とされています。つまり、4年間働いて得た収入をすべて充てたとしても、医学部4年間に必要な費用には到底届きません。

これは、努力や意欲の問題ではなく、構造の問題です。



医療を受ける側にも影響する、同じ構造
この構造は、医師を目指す側だけでなく、医療を受ける側の命にも直結しています。

フィリピンでは、医療機関の多くが民間に集中しており、それらを継続的に利用できるのは、人口の約3割程度にとどまると推計されています。公的医療機関は慢性的な人材・設備不足に陥っており、特に地方や農村部では、医師1人が数万人の住民を診る地域も存在します。

その結果、所得や居住地によって、受けられる医療の質やタイミングが大きく左右され、適切な医療があれば防げたはずの命が失われています。



初の看護師誕生が示す「希望」と、残された課題
今回誕生した看護師は、医療を受ける側だった立場から、医療を支える側へと歩みを進めました。
これは、DAREDEMO HEROの長期支援が目指してきた姿の一つです。

しかし、彼女の最終的な夢である「医師になること」への道は、まだ続いています。
現時点では、医学部進学に必要な費用をすぐに用意することは難しく、一度看護師として医療現場で働きながら、次のチャンスを待つという選択をしています。

これは夢を諦めたのではなく、現実と向き合った上での、唯一可能な道です。
団体としての支援にも「限界」があるという現実
DAREDEMO HEROは、これまで多くの子どもたちが学び続けられるよう支援を行ってきました。しかし、医学部進学に必要な費用規模は非常に大きく、現在の支援体制では、すべての志ある若者を医師の道まで支えきることはできません。

これは意思や努力の問題ではなく、医師を育てること自体が、社会全体で支えるべき規模の投資であることを示しています。



大口・継続支援が「次の扉」を開く
企業や個人からの大口・継続的な支援は、単なる寄付ではありません。

・医学部進学という次の選択肢を現実のものにする
・働きながら学び続ける人材が、途中で夢を断たれない環境をつくる
・将来、地域医療を支える医師を育てる

こうした長期的な社会的リターンを生む投資です。
今回の看護師誕生は、その可能性を示す最初の証明であり、ここで止めてはならない「希望の連鎖」の始まりです。
生まれた場所で夢が閉ざされる世界に、私たちは何ができるのか
この取り組みは、「かわいそうな子どもを助ける」ためのものではありません。
生まれた国や家庭によって、挑戦の機会が奪われてしまう社会構造を、少しずつ変えていくための挑戦です。
DAREDEMO HEROは今後も、医療を受けられなかった経験を持つ人が、医療を届ける側へと回っていく社会を目指し、教育支援と人材育成に取り組んでまいります。

本取り組みにご関心をお持ちの企業・団体・個人の皆さまと、次の段階へ進めていければ幸いです。





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団体概要
団体名:NPO法人DAREDEMO HERO
代表理事:内山 順子
所在地:兵庫県
活動内容:フィリピンの貧困層の子どもへの長期教育支援、地域支援活動、文化交流事業
URL:https://daredemohero.com/
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