CP+のLexarブース。サッカーアルゼンチン代表とのパートナーシップを訴求していた

フラッシュメモリーのグローバルカンパニーであるLexar(レキサー)は2月26日、日本市場に本格的に参入することを表明する事業戦略発表会を開催した。自社の強みである製造や品質管理を、日本の消費者にアピールする。サッカーアルゼンチン代表チームとの戦略的なグローバルパートナーシップを結んだほか、AI時代に対応する新製品「Lexar AIストレージコア」も発表した。

日本市場を制すれば世界を制す

LexarのAPAC General Managerのウィリアム・リュー氏は、2026年がLexarにとって特別な年であると位置付ける。「Lexarが創業してから30周年を迎える年であり、サッカーアルゼンチン代表チームとグローバルパートナーシップを結んだ年であり、日本市場での事業戦略をさらに加速させる年でもあります」と語る。

Lexarは1996年に米国カリフォルニア州で設立。現在は世界70カ国以上、1億人を超えるユーザーにストレージソリューションを提供する。業界団体であるCFA(The CompactFlash Association)のエグゼクティブメンバーやSDA(The SD Association)の理事、ITMA(The Intelligent Terminal Microelectronics Association)の共同創設者を務めるなど、業界との関係も深い。

製品では1996年に世界初のCFカード規格、2013年に世界初のワークフロー、24年に世界初のメタルSDカード、25年に世界初の1TB microSD Expressを発表するなどの実績がある。

今回、日本市場に参入する狙いについて、日本営業統括を務めるLexer Japan Sales Directorのデリック・タン氏は「日本は品質に対して非常に厳しい、高付加価値なプレミアム市場です。日本で成功することは、グローバルで最高品質を証明することにつながると考えています」と語る。

また主要なデバイスやカメラメーカーの拠点が多くある点や、戦略的な半導体製造拠点が集積している点も、日本市場が重要である理由の一つとする。

日本のユーザーに高品質やサポート力をアピール

さらに、日本のユーザーに「安心感・信頼感」を届けるため、次の四つの取り組みを強化すると明らかにした。

(1)高品質へのこだわり

TIPA World Awardsを受賞した「Professional DIAMOND CFexpress 4.0」や自社開発のコントローラーを搭載するmicroSDXCカードなど高性能な製品を展開する。

(2)安定感のあるブランド力

キヤノンと連携したSDXCカードやDJIが公式推奨したmicroSDXCカードなど、日本ユーザーになじみのある企業と連携している点などで安心感や安定感のあるブランドであることをアピールする。

(3)サポート力

無料のデータリカバリーツールの提供や国内でのコールセンターや技術サポートセンター、すべての製品で広範なテストを実施する品質ラボなどをアピールする。

(4)販売チャネルの拡大

ビックカメラやエディオン、ヨドバシカメラ、カメラのキタムラ、Amazonなど販売チャネルを拡大する。

「AIストレージコア」はローカルデバイスでのAIワークロードを支援

AI時代に向けた製品として「AIストレージコア」を発表。AI PCやゲーミング、イメージングツール、自律機器、ロボティクスなどでは、AIがクラウドからエッジへと急速に広がっている。そうした中、AIストレージコアの強みについてウィリアム・リュー氏は三つを挙げる。

(1)クラウドではなくエッジ側でのAIツールの活用

「日本市場でAIアプリケーションが急速に普及する中、一般ユーザーにおける大規模言語モデル(LLM)ツールの需要は爆発的に高まっています。Lexarはエッジデバイスメーカーと深く協業し、オンデバイス(端末側)でAIアプリケーションを稼働させるためのハードウェアの障壁を下げます。私たちの目標は、一般ユーザーがクラウドインフラに依存することなく、より低コストで、ローカル環境でAIツールを活用できるようにすることです」。

(2)「絶対的な信頼性」とAI最適化設計の融合

「日本のユーザーが求める『絶対的な信頼性』は、AIストレージコアの設計アプローチと完全に一致する哲学です。AIワークロード特有のデータフロー特性に合わせてストレージを再構築することで、継続的かつ高負荷なAIワークフローでも持続的なパフォーマンスを保証します。

単なる速度にとどまらず、テクノロジーとサービスの両面からデータの保持とエラーリカバリーを強力にサポートし、予期せぬ中断が生じた場合でも『データは損なわれず復旧可能である』という絶対的な安心感をユーザーに提供します」。

(3)ローカル処理におけるデータプライバシーの確保

「日本のユーザーはデータセキュリティーに非常に敏感です。現在のAIアプリケーションの多くは、処理するために個人データをクラウドにアップロードする必要があり、これがプライバシー漏洩の懸念を引き起こしています。AIストレージコアは、AIワークロードをローカルデバイス上で、完全なオフライン状態で効率的に実行できます。

高性能なローカルストレージを用いてLLMの読み込みとAIアプリケーションの実行を支えることで、ユーザーは機密データを一切クラウドに上げることなく、AIの恩恵を最大限に享受できます。原理は非常にシンプルです。『デバイスから決して外に出ないデータは、決して漏洩することはない』ということです」。

Lexarでは、AI PCや高性能コンピューティング向けの「AI-Grade SSD」、次世代PCに広がる拡張インターフェースに対応する「AI-Grade Storage Stick」、8K AIイメージングやセンサーフュージョン、リアルタイムエッジ解析向けの「AI-Grade Card」という三つの製品で、これらの要求に応えていく。

最後に、昨今のメモリー価格が世界的に高騰している中での日本市場の参入について、ウィリアム・リュー氏は「Lexarの強みは三つあります。サプライヤーとよい関係を維持していること。ウエハーを購入してからすぐに製造できる効率性の高い生産能力があること。そして、一番重要なのが高付加価値の製品であることです。品質が高く競争力があれば、価格が高くなっても利益を確保できます」との見解を述べた。(BCN・細田 立圭志)