”誰でも通園” 4月から全国本格運用

保護者の就労の有無を問わず、すべての子どもが保育施設で定期的な預かりを利用できる「こども誰でも通園制度」(こども家庭庁)が、2026年4月より全国で本格的に開始されます。
社会福祉法人風の森が運営する認可保育園Picoナーサリ久我山駅前(東京都杉並区)では、2024年より本制度を先行実施。これまでに30人の受け入れを行いました。
本リリースでは、先行実施を通じて得られた具体的な利用実態と現場課題についてあわせてご紹介します。

Picoナーサリ久我山駅前 Pico room

風の森Picoナーサリ久我山駅前での「こども誰でも通園制度」先行実施データ

2025年度には定員の約2倍の応募があり、本制度へのニーズの高さが明らかになっています。
◆保護者の声
「育児休業中で保育園を利用できないが、第二子を出産しそれぞれの子どもとの時間を作ってあげたいと思い頻繁に活用させてもらっており、とても助かっています。」

実際の運用を通じて見えた、メリット・デメリット
一方で、実際の運用を通じて、現場だからこそ見える課題も浮き彫りになっています。
本制度の意義は、在園児に限らず地域の子育て家庭を支援できる点にあります。定期的に保育園を利用することで、子どもは多様な関わりの中で社会性を育み、保護者にとっても安心感や孤立の解消につながることが期待されます。

しかしながら、制度導入により保育園・保育士の負担は確実に増加しています。
現状の補助制度において、例えば0歳児に対しては1時間当たり1300円とされており、固定費を賄う仕組みがなく、実際の運用においては人件費の負担が大きくなる構造となっています。十分な人員確保が難しく、「預かるほど負担が増す」というのが現場の率直な実感です。
制度の持続的な運用には、現場の実態を踏まえた制度設計や支援の見直しが不可欠です。

■メリット

集団生活を経験することで子どもの社会性が身につく
子ども一人ひとりの特性や発達の把握
育児負担の軽減や、孤独な子育ての解消につながる
保護者または親になる世代の安心感を生み、子どもを産む選択肢へ

■デメリット

保育現場の負担増加(安全面のリスク、保護者対応、複雑な事務作業…)
通常保育が手薄になるおそれ・在園児へ保育の質の低下
保育士不足の悪化(保育士の確保は園が行っている)
定員枠の地域差で利用が難しいケースもあり、保護者からの不安も

◆現場で対応する保育士の声
「定期的な利用によって、子どもや保護者との関係性が作りやすく、より丁寧な支援に繋がると感じます。しかし、環境(保育室や人員)が整っていないと、細やかな関わりや、メリットにあたる部分の実現が難しいと思います。国のシステムが複雑で、保護者への説明など事務量が多く、子どもと接する以外の仕事に時間を取られてしまいます。」
「こども誰でも通園制度」について
「こども誰でも通園制度」は、就労要件を問わず、満3歳未満のこどもが、月一定時間までの利用可能枠において時間単位などで柔軟に利用できる新たな通園制度です。全てのこどもの育ちの応援と、良質な成育環境を整備するとともに、子育て家庭に対して、多様な働き方やライフスタイルにかかわらない形での支援を強化する目的で創設されました。







こども家庭庁 「こども誰でも通園制度」について~基礎資料集~より抜粋・一部改変(赤破線部分)


令和6年度より試行的事業として開始され、17園が手を挙げましたが課題が多く、東京都杉並区では当園のみが実施いたしました。
実施にあたり、当園では施設増設や保育士確保などの体制整備を行っています。 
◆制度の位置づけと今後
令和6年度より試行的に開始され、令和7年度に子ども・子育て支援法に基づく地域子ども・子育て支援事業として制度化。令和8年度からは新たな給付として全国の自治体において実施されます。
◆現場における現状
子ども子育て支援金の使用用途としても注目されている本制度ですが、保護者からのニーズは高い一方で、地域によっては対応園が存在しないケースもあり、制度としてまだ発展の段階にあります。

実際の現場では、制度の意義と運用負担の間で試行錯誤が続いています。

地域の子育て支援を拡充する意義
安心できる環境をしっかりと整えて、地域の子育てを支援したい
「こども誰でも通園制度」のニーズは非常に高いと感じます。
在園児だけでなく多くの保護者との接点を持つことができ、地域の子育てを支援したい我々の思いとも合致している制度だと考えています。私たちは制度を通して、子どもを産み育てることに幸せを感じられる社会を目指していきたいのです。

しかし保育業界全体が慢性的な保育士不足を大きな課題として抱えている中で、本制度の全国導入は、保育士たちの首を絞め、保育現場は一層苦しくなることでしょう。とくに保育者側からはデメリットの方が大きいように見え、普及に壁があることに間違いありません。

保育園側にとっては踏ん張りどころと言えます。
保育士の人材確保が急務であり、そのために必要なのは保育士の処遇改善=国からの補助金引き上げです。「やりたくてもやれない」現場を減らさなければ制度自体立ち行きません。

ぜひ制度や現場をご取材いただき、保育士の処遇改善について、より多くの皆さまへ届けるきっかけとしていただけましたら幸いです。











社会福祉法人風の森
統括  野上 美希

保育士配置2倍を実践し採用倍率18倍を実現。
現場と経営の両面から制度運用に向き合う。


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