山口顕・RRP商品企画統括部長に話を聞いた
紙巻きたばこの需要減が続く中で、加熱式たばこやオーラル製品(無煙たばこ)など、新たな選択肢が市場を支え始めている。日本たばこ産業(JT)は、加熱式「プルーム」を中核に据えながら、喫煙者が「吸いたいときに吸えない」という課題の解消に向けて、新しいカテゴリーの育成を急速に進めており、モダンオーラル製品としてリフレッシュパウチ「ノルディックスピリット」を新たなブランドとして3月3日に立ち上げた。山口顕・RRP商品企画統括部長に、市場環境の変化、ノルディックスピリットの可能性、JTのグローバル戦略について聞いた。(BCN・佐相 彰彦)
市場の現状と「使用機会の変化」をどう見るか
(以下、敬称略) 日本市場は長期的には減少傾向が続いていますが、近年は下げ止まりの兆しが見られます。背景には、紙巻きと加熱式たばこを併用するユーザーが増えたことがあります。例えば、「家では加熱式」「喫煙所のある場所では紙巻き」など、これまで吸えなかった場所を補う使い方が広がり、使用シーンが多様化しています。この使用機会の拡大が市場を支えている要因だと考えています。
最も大きいのは、「吸いたいけれど吸えない」時間を埋めるためです。新幹線や飛行機、オフィスの勤務中などは、加熱式たばこでさえ使用できません。一方、ノルディックスピリットは煙も蒸気も出ず、口の中に入れて使う製品のため、周囲に迷惑をかけずにニコチンを摂取できます。
また、調査では利用者の97%が紙巻きなどとの併用ユーザーです。普段は紙巻きや加熱式を楽しむ方々が、吸えない時間のつなぎとして使っているのです。喫煙環境が厳しくなる中で、「100%使用機会を限定しない製品」として今後の柱に育てていきたいと考えています。
大きくは二つあります。一つは、市場の縮小に対する新たな使用機会の創出です。紙巻きも加熱式たばこも吸えないシーンは確実に増えています。そこで、場所を問わずニコチン補給ができる製品を導入することで、使えるシーンを維持・拡大したいという狙いがあります。
もう一つは、将来のビジネスの柱を育てるためです。国内の喫煙人口は今後も減っていきますから、紙巻きだけに依存するのは現実的ではありません。認知度が高まる前の段階から投資し、市場を自ら育てるタイミングだと考えています。
「プルーム」を中核に据える
RRP事業の主軸は、あくまで加熱式たばこ「プルーム」シリーズです。8000億円規模のRRP関連投資の大半はプルームの成長に振り向けています。国内では現在シェア2位ですが、競合に近づくためにブランド価値の強化を進めています。
一方で、長期的には複数のカテゴリーを並行して育てる必要があります。加熱式ですら吸えない場所に対応するため、オーラル製品を「もう一つの柱」として育成中です。今後は、加熱式、オーラル、紙巻きを含む三本柱モデルで需要を支えていく計画です。
当社は売り上げの約7割を海外事業が占めるほど、海外依存度が高いといえます。各国の文化や規制に合わせ、国ごとに主力カテゴリーが異なります。例えば、イタリアは加熱式が日本に次ぐ重要市場。スウェーデンは、紙巻きや加熱式よりもオーラル製品が主流です。イギリスは、電子たばこが大きなシェア。フィリピンや台湾は、紙巻き中心だがRRPが成長過程です。このように、市場構造は国により大きく異なるため、その国に最も適したカテゴリーを提供するという戦略をとっています。
最優先は、引き続きプルームの拡大です。国内でのシェア拡大と同時に、海外市場でも日本の成功モデルを横展開していきます。また、オーラル製品については認知度向上とトライアル促進を重点施策としています。実際に使っていただくことで、「吸えない場所で役立つ」という価値を体感してもらい、市場を着実に広げたいと考えています。
もちろん、依然として紙巻きたばこも重要な柱です。喫煙人口が少なくなる中でも、選ばれ続けるよう品質向上を続けます。カテゴリーを減らすのではなく、多様化するユーザーのニーズに、最適な形で応えていく。それが当社の姿勢です。
喫煙環境が年々厳しくなる中で、ユーザーの皆様が「吸いたいときに吸えない」というストレスを抱えていることは、十分理解しています。だからこそ、加熱式やオーラル製品など、場所に応じて最適な選択肢を持てる世界をつくることが重要だと考えています。今後も、紙巻き・加熱式・オーラルの三つのカテゴリーで、お客様一人ひとりの生活環境に合った価値を提供していきます。







