店内は常連のお客さんのコレクションだというフィギュアがズラリ
仮面ライダーのグッズや資料が盛りだくさん。月替わりで展示が変わる。3月は「70年代超合金」
ファンが作ってくれた白夜のフィギュア

白夜が登場する『スクランブルヒーロー白夜』は、店長の八木さんの苗字をもじった「スタジオ・エイト・ウッド・カンパニー」が制作した特撮ドラマ。姫路城の許可を得て、世界遺産を舞台に撮影されたこともあるという本格的なもの。普段は播州弁を話し、一日のうち三分間だけ人間に変身できるというシチュエーション。デザインは姫路の市鳥「シラサギ」をモチーフにしたのだといいます。十五年前に登場したということは、いま流行りの「ご当地ヒーロー」の先駆けでは?

「いやぁ、実は、ご当地ヒーローではないんですよ。白夜は謎の組織から記憶を消されてしまい、播磨で居候をしながら、自分を取り戻すために闘っているという設定なんです。だから特に正義の味方ってわけでも、街の治安を守っているわけでもないんです」

なくした記憶とアイデンティティーを取り戻すために闘うヒーロー。なかなか高尚なテーマです。わかりやすい勧善懲悪な世界ではなく、大人向けの作品と言えるでしょう。そのためか当初はちびっこのお客さんが来ることを想定していたものの「白夜がマスターをつとめる日は、大人の特撮ファンが多く集まりますね。ちびっこは……そんなに来ません(笑)。お客さんどうしが好きな作品の話で盛りあがったり、情報を交換したりと、交流の場になっています」

なかには貴重なフィギュアなどを置いてゆくマニアックな来訪者もいて、「はじめは、なにもなかった」という店内はしだいに賑わいを見せ、現在は特撮やアニメーションのミュージアムさながらの濃密な空間に。「仮面ライダー展」など、月替わりでお客さんのコレクションを公開する企画展が催されるほどの充実ぶりです。鮎釣りで知られる揖保川のほとりに、まさかこんなにアツい特撮のコミュニティスペースがあったとは。

「知っている人は喜んでくれるんですが、知らずにお店に入ってたお客さんは、白夜の姿を見て、ドン引きしますね(笑)」

確かに、なにごとかと驚くでしょう。そんな店長の八木さんは、『スクランブルヒーロー白夜』の監督・脚本のみならず、白夜のデザイン、さらにはバトルスーツ(着ぐるみ)の制作そのものもこなしています。なにか特別なマテリアルを使用しているのでしょうか?