あなたは、パートナーが自分を忘れても愛を貫く?
先日、男女合わせて約100名に対し、「パートナーが自分を忘れた場合、あなたなら愛を貫きますか?」というアンケートが行われました。結果は「はい」が全体の約55パーセント。しかし男女別では、「はい」と答えた男性が70パーセント近いのに対し、女性は半分弱の48パーセント余りにとどまりました。
実はこのアンケートに協力してくださったのは、現在公開中の映画『妻への家路』を見た観客の方々。世界中から注目されているチャン・イーモウ監督がメガホンをとった作品で、1966年から1976年まで中国で行われていた文化大革命前後の時代を舞台に、大学教授だった夫と、彼と引き離された妻の物語を描いています。
夫のルー・イエンシーを大ヒット作『HERO』のチェン・ダミオン、そして夫を待ち続ける妻、フォン・ワンイーを今や国際的スターでもあるコン・リーが演じています。
文化大革命とは、失政で国家主席を辞任させられた毛沢東が、自らの再起のために行ったもの。資本主義を批判し、社会主義を守るため、労働者や農民がよしとされ、一方、大学教授などの知識人や官僚は激しい弾圧を受けて、囚われの身となり、過酷な労働をさせられた挙句、食事も十分に与えられないなど、長い間厳しい環境のもとに置かれたのでした。
記憶障害の妻とそれを支える夫の切なさ
『妻への家路』はそんな時代を経て、20年ぶりに自宅に戻ってきた夫が妻と再会を果たすのですが、夫は妻の言動に不審なところがあることに気づきます。妻は心因性の記憶障害で、あれだけ待ち焦がれていた夫を目の前にしても、それと判別できなくなっていたのです。
せっかく一緒に暮らせることになったのに、自分のことを分かってもらえない夫。彼は一人娘で、紡績工場で働くタンタンに相談し、「5日に帰る」という手紙を妻に渡してもらいます。しかし当日、駅に降り立つ自分の姿を見ても思い出してもらうことはできず…。
そこで、彼は自分が囚われている間に書きながらも出せなかった手紙の束を妻に渡し、それを読み聞かせる「親切な近所の人」として毎日妻に会いに行くことにします。手紙を通して何とか心を通わせ、思い出してもらおうとする夫。
しかし、妻にとって夫は手紙の中にしか存在しておらず、毎月5日になると必ず夫の名前を大きく書いた看板を手に、駅の出口で彼を待ち続ける生活を続けます。…妻は夫のことを思い出せるのか、ふたりの関係はどうなるのか、見る人に互いの気持ちを直接伝えられないもどかしさと切なさを感じさせる作品です。