『妻への家路』© 2014, Le Vision Pictures Co.,Ltd. All Rights Reserved

アンケートから読み解く「パートナーへの想い」とは?

長い結婚生活では、途中何が起こるか分かりません。この夫婦は時代の波に巻き込まれ、思わぬ形での「再会」をすることになりました。最初に紹介したアンケートでは、男性のほうが女性よりも「愛を貫く」割合が高かったですが、それは愛情の差だけではないように思います。

今回は30代から70代までの幅広い年代の方に回答していただきましたが、このアンケートからは、「最近の年を重ねた女性のアクティブさ」も読み取れる気がします。年齢にかかわらず、積極的に外出して友達と会ったり、習い事をしたりする「妻」たちの様子をテレビなどで見ますが、それは心にも余裕があるということ。

映画ではいろいろなことを感じつつも、「まさかうちのダンナが私を忘れちゃうなんてねー」と笑いながら語り、家庭だけに縛られない女性たちの姿が見えてくる気がします。

一方、男性は現実的。どんな形で愛を貫くのかは分かりませんが、この作品の夫のように元に戻ってほしいと考え、何らかの行動を起こすのでしょう。

2000年に公開された作品『初恋の来た道』でも愛の物語を描いたチャン・イーモウ監督ですが、本作は単なる恋愛映画ではなく、その背景に時代や自分だけの力ではどうにもならない状況があることで、映画を現実に置き換え、「感じるより考える」タイプの多い男性の胸に訴える結果になったのかもしれません。

ちなみにアンケートでは、「切ないシーン」としてラストシーンを上げた人が多かったようです。どうぞ最後の最後まで目を離さずご覧ください。

 

『妻への家路』© 2014, Le Vision Pictures Co.,Ltd. All Rights Reserved

『妻への家路』
3月6日(金)TOHOシネマズ シャンテほか全国順次公開
© 2014, Le Vision Pictures Co.,Ltd. All Rights Reserved

監督:チャン・イーモウ『初恋のきた道』『単騎、千里を走る。』
脚本:ヅォウ・ジンジー『単騎、千里を走る。』
出演:チェン・ダオミン 『HERO』、コン・リー『シャンハイ』、チャン・ホエウェン

原題:歸来、COMING HOME/2014年/中国/カラー/110分/シネスコ/5.1chデジタル/字幕翻訳:水野衛子

配給:ギャガ

会社員からテレビ番組やDVDなど映像関係の英日翻訳者を経てライターに。 ハーバルセラピスト、アロマセラピーアドバイザーの資格あり。子供の頃からお笑い好きで、当時読んだ「落語全集」は宝物。でも、なりたかったのは落語家ではなく小説家。今、こうして文章を書いて人に伝える仕事をしていることに喜びを感じてます。