急増する特殊詐欺にはデジタルな防犯対策が不可欠

近年、高齢者のスマートフォン(スマホ)を狙ったデジタル犯罪が急増し、手口の巧妙化が著しい。実在する宅配業者や金融機関を騙るSMS(ショートメッセージ)フィッシング詐欺はもちろん、最近ではAIで家族の声を模倣する「AI音声クローン詐欺」など、新たな手口も報告されている。物理的な空き巣や強盗に対する防犯対策と同様に、目に見えないデジタルな脅威から親を守るためのスマホの防犯設定は、もはや喫緊の課題だ。離れて暮らす親が被害に遭う前に、子世代が主導してスマホを「防犯仕様」にアップデートしておく必要がある。

知識ゼロでもできる OS標準機能によるスマホ防犯対策

スマホに標準搭載されているOSの機能を適切に設定するだけで、詐欺の入り口となる「不審な電話」や「迷惑SMS」の大部分は遮断可能だ。iPhone(iOS)の場合、「設定」アプリの「電話」項目にある「不明な発信者を消音」をオンにするのが最も効果的である。

これを有効にすれば、連絡先に登録されていない発信者からの着信は消音され、着信履歴に記録される。悪意ある犯人と直接会話するリスクを大幅に減らせる、強力な防衛策といえるだろう。Androidでは機種によって名称は異なるものの、迷惑電話対策や不明な番号の着信を制限する機能が搭載されている場合が多いため、忘れずに有効化しておきたい。

また、SMSを起点としたフィッシング詐欺に対しても、OS側での対策は欠かせない。iPhoneでは「設定」の「メッセージ」から「不明な差出人をフィルター」をオンにすることで、見知らぬ送信者からのメッセージを隔離し、不用意にリンクをタップしてしまう事故の未然防止につながる。

キャリアサービスとアプリによる多重防衛

OSの標準機能に加えて、通信キャリア各社が提供するセキュリティーサービスや専用アプリを組み合わせることで、防犯力は一段と高まる。

NTTドコモ、au、ソフトバンクなどの大手キャリアは、危険なSMSをネットワーク側で自動的に判定し遮断する「迷惑SMSフィルター」を無償で提供中だ。多くの場合、デフォルトで適用されているが、設定がオフになっているケースもあるため、一度マイページから動作状況を確認しておくべきである。さらに、詐欺グループが使用する番号からの着信を自動でブロックする「迷惑電話ブロック」サービス(有料・無料オプションあり)への加入も、高齢者のスマホには強く推奨したい。

加えて、家族の見守り機能として、位置情報共有アプリ「Life360」などの導入も有効な手段といえる。本来は家族の居場所を確認するためのアプリだが、登録した場所への到着・出発通知を受け取れるため、高齢の親の見守りにも活用できる。万が一トラブルに巻き込まれた際でも、正確な現在地を瞬時に把握できるため、被害を最小限に食い止める強力なセーフティネットとして機能するはずだ。

帰省時に実施すべき「デジタル防犯チェックリスト」

デジタル犯罪から親を守るためには、電話口で「気をつけてね」と伝えるだけでは不十分だ。ゴールデンウィークやお盆、年末年始などの帰省時は、親のスマホを直接操作できる絶好の機会となる。OSが最新版にアップデートされているか、不明な着信がブロックされているか、不審なアプリが入っていないかを点検する「デジタル防犯チェック」を、家族の恒例行事としてぜひ実践していくといいだろう。(フリーライター・REV)

REV

Webメディアを中心に活動する歴15年のライター。IT・通信・オーディオ・DIY分野に精通。最新ガジェットの丁寧な解説からクラウドファンディングのディレクションまで、市場の熱量を読者へ的確に届ける。