急激な物価高騰への対策が求められている(画像はイメージ)
【家電コンサルのお得な話・305】 消費税減税をめぐる議論は、現時点では正式に決まっておらず、食料品の税率を一定期間下げる案などが報じられている。ここでは、減税に賛成か反対かという話ではなく、消費税そのものについて、「あまり知られてこなかった論点」を取り上げたい。よく、「税率を下げれば社会保障費の財源が不足する」といった財源確保という正論を耳にするが、事業者の側から見た消費税の姿は理不尽さも併せ持っているからだ。
消費税減税を機に考えたい、消費税の正体
消費税は、買い物の際に消費者が負担する税金などと説明されるが、法律上の納税義務者は事業者である。事業者は売上に係る消費税から、仕入れに係る消費税を差し引き、その差額を納める。つまり、消費税は法人税のように利益に対してかかる税ではなく、事業が赤字であっても納税しなければならない場合もある。
資金繰りに苦しむ事業者にとっては、賃上げや設備投資の原資にも大きな影響がある。実際、消費税は滞納額の大きい税目として知られている。これは単なる納税意識で片付けられない問題である。また、消費税率は導入時の3%から5%、8%へと段階的に引き上げられ、現在は標準税率10%となっているため、負担感は以前より大きくなっている。
いま議論されている食料品だけの減税案にも、別の論点がある。家庭で買う食品の負担が減れば、消費者には恩恵がある。しかし、外食が対象外となれば、飲食業は大きな影響を受けるだろう。仕入れと販売で税率が異なれば、仕入税額控除や価格設定、事務処理も複雑になる。家庭内消費へ需要が寄れば、外食を控えることも考えられる。
さらに、輸出企業への還付をめぐる議論もある。輸出取引は国内で消費されないため、制度上は消費税が免除される。その結果、仕入れに含まれる消費税相当分が還付される場合がある。制度上の理屈はあるとしても、国内で事業を行う中小事業者が赤字でも納税に苦しむ一方で、輸出比率の高い企業には還付が生じる。この構造に不公平感を持つ人もいる。
もちろん、論点はこれだけではない。レジや会計システムの改修、2年限定とした場合の反動や価格転嫁の難しさ、インボイス制度との関係、逆進性、社会保障財源として何に使われているのかなど、消費税にはまだまだ多くの論点がある。
今ある制度だからといって、すべてが正しいとは限らない。だからこそ、消費税という税の特性と、それが何に使われているのかという事実に目を向けたい。一人ひとりが、消費税について考え、本質を知るいい機会だといえるだろう。(堀田経営コンサルタント事務所・堀田泰希)





