福原遥【Photo:Shibuya Takaharu/ヘアメーク:FUNO YUUKI/スタイリスト:Kaori Kawasaki】

 大ヒット映画『あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。』の続編にして完結編『あの星が降る丘で、君とまた出会いたい。』が8月7日から全国公開される。前作に続いて主人公の百合を演じた福原遥に話を聞いた。


-始めに、前作『あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。』への思いから伺います。


 この作品を、これほど愛していただけるとは思っていなかったので、自分でもびっくりしていますし、関わらせていただけたことに、うれしい気持ちがいっぱいです。私自身、この作品から、日々、当たり前だと思っていることが当たり前ではないんだ、今あることが幸せなんだということを、改めて感じさせてもらったので、自分の人生においてもすごく考えさせられる作品になりました。今の若い人たちにとって、この作品が戦争について知るきっかけになったりするような存在になれたらいいなと思いました。


-では、続編の製作が決まった時の心境は?


 うれしかったです。続編は前作を愛してもらえていないとできないものなので、見てくださった皆さんに感謝しました。ただ、うれしさと同時に、愛されているからこそのプレッシャーというか、今回は設定が現代ということもあったので、結構不安もありました。


-2作続けて演じた加納百合というキャラクターを、どのようにイメージしましたか。


 前作では、百合はまだ学生だったので、気持ちの整理がつかなかったり、誰かに当たってしまうようなところもありましたが、軸となる芯の強さは持っていたので、今回もそこはしっかり演じたいと思いました。また、(前作で出会った)彰(水上恒司)の夢だった教師になって、みんなに戦争のことを伝えていくという思いのある女性なので、そういう部分を大切にしました。ただ、彰に対する思いは7年前で止まっていて、一歩前に踏み出せないという面も、しっかり表現できたらと思いながら演じました。


-前作と本作とでは、どこをポイントにして演じ分けましたか。


 タイムスリップをしてからの百合は、自分の生き方も見直して、戦争への思いを子どもたちに届けていきたいと強く思っているので、そこを大事に、7年間のことを考えながら挑みました。


-特別授業のシーンが印象的でしたが、あのシーンへの思いは?


 あのシーンは、やっぱり教師として生徒に伝えるということで、自分の強い思いはあるけれど、そこまで強くぶつけるのはどうなんだろうとか、すごく考えながら撮影したので、どう届くのかなと思いました。でも、百合として、彰の思いも背負って、今の時代の子たちに伝えようというその一心で、届けと思いながら演じました。教師役も初めてだったので、生徒との距離感や、教師としての立ち居振る舞いを(新城毅彦)監督とも話し合いました。

-細田佳央太さんと倍賞千恵子さん。共演したお二人の印象を。


 細田さんとは初共演でしたが、お芝居を一緒にさせていただいてとても楽しかったですし、初めてとは思えないぐらいの安心感がありました。細田さんが演じた涼も難しい役で、百合とはそれぞれの葛藤がありながらのシーンが多かったのですが、それぞれの役について2人で話し合う時間が多かったので、すごく心強かったです。


 倍賞さんは、まさか出てくださるとは思っていなかったので、本当にびっくりしましたが、ご一緒させていただけたことは、自分の人生の宝ですし、大切な時間を過ごさせていただきました。千代ちゃんと百合としてのシーンだったので、何か昔から知っているような感じでお芝居をさせていただいたので、一気に、百合と千代ちゃんの世界に連れて行っていただいたような、不思議な感覚でした。初めは緊張していましたが、途中からは安心してお芝居をさせていただきました。倍賞さんは本当にすてきな方で、無邪気でかわいらしいところもあって、たくさん話しかけていただいて、いろんなお話しをしながら撮影ができ、ぜいたくな時間を過ごさせていただきました。


-撮影中のエピソードで印象に残ったことはありましたか。


 長崎ロケが1週間ぐらいあったので、監督や細田さんとみんなでご飯を食べに行きました。もちろんお魚もおいしかったのですが、長崎名物の、食パンの中にエビなどのすり身を入れて揚げた「ハトシ(蝦多士)」というのがすごくおいしくて結構食べました。あとは、地元のエキストラの皆さんがすごく協力してくださって、花火大会の応援にもたくさんの方が来てくださって、夜遅くまで協力していただいたのでとても感謝しています。


-これまでを振り返って、ターニングポイントになったと思うことはありますか。


 お芝居に興味を持ち始めた中学生の時に、「おひさま」(11)という井上真央さん主演の朝ドラを見て、とても感動して、自分も何かを届けられる人になりたいと思いました。そこから女優になりたい、朝ドラに出たいと思ってずっとやってきたので、あの時がターニングポイントだったのかなと思います。それから10年たって、「舞いあがれ!」(22)という朝ドラに主演することができたのは、自分の芸能人生においても大きな出来事でした。


-本編を見た印象はいかがでしたか。


 改めて戦争に対する思いや、今の自分がどれだけ幸せなのか、夢を見られたり、やりたいことができるこの時代が、どれだけありがたいのかということが感じられる映画になったと思います。若い人にも見てもらえたらいいなと思います。


-観客や読者の方に向けて一言お願いします。


 私自身も自分の大切な人をもっと大事にして生きていこうと強く思いました。なので、映画を見てくださった方にとっても、小さなことの一つ一つに幸せを感じて、丁寧に生きるきっかけになるといいなと思います。


(取材・文/田中雄二)