IRDB(学術機関リポジトリデータベース)との連携により、日本の研究成果の国際的な発見可能性が飛躍的に向上
国立情報学研究所(NII)が運営する日本の機関リポジトリデータベース(IRDB)のデータが、世界最大級のオープン学術書誌データベース「OpenAlex」へ大規模に統合されました。2026年8月3日時点で、IRDBを通じて収集された389万件の学術成果のメタデータがOpenAlexから世界中に無償公開されています。日次ハーベストの継続により、IRDBに新たに登録された研究成果は順次OpenAlexに反映されます。
背景:日本の学術情報をオープンサイエンスの潮流へ
IRDBは、全国の大学・研究機関が構築・運用する機関リポジトリからメタデータを集約し、学術情報基盤の一つとして機能しています。一方、OpenAlexは米国の非営利団体OpenAlex(登記名:Impactstory, Inc.)が運営するオープンな学術知識グラフであり、世界中の学術論文・著者・機関・資金情報などを無償で提供しています。
OpenAlexの国内代理店であるiJapan株式会社が双方の調整を行い、IRDBデータがOpenAlexのデータベースに登録されました。
今回の連携は、日本の研究成果が国際的なオープンサイエンス基盤に本格的に組み込まれる画期的な取り組みです。これにより、国内機関リポジトリに収録された論文・報告書・学位論文等のメタデータが、OpenAlexのAPIを通じて世界中の研究者・政策立案者・市民に開放されます。
「IRDBは日本国内の大学・研究機関が長年にわたって蓄積してきた研究成果を集約する基盤です。OpenAlexとの連携を通じて、日本の学術情報が国際的なオープンサイエンスのエコシステムに本格的に組み込まれることを大変喜ばしく思います。」
── 武田英明 教授 国立情報学研究所(NII)
主な数値:取り込みの規模と品質
IRDB OAI-PMHエンドポイントから収集した478万件のレコードを対象に、削除済みレコードの除外・対象外コンテンツの除外・重複統合などの品質処理を経て、最終的に389万件がOpenAlexの作品(Works)として登録されています。
- 389万件:OpenAlexに登録されたIRDB由来の学術成果(2026年8月3日時点)
- 76.3%:オープンアクセスURLを持つ作品の割合(PDF・ランディングページを含む)
- 1日1回:IRDBハーベスト処理の実行間隔
- 24~48時間:IRDB登録からのOpenAlexへの反映時間
"Integrating IRDB into OpenAlex represents a major step toward making Japanese scholarly output visible to the global research community. Open bibliographic infrastructure like OpenAlex depends on partnerships like this - bringing together high-quality, trusted data sources to create a truly comprehensive picture of world science."
「IRDBをOpenAlexに統合することは、日本の学術成果を世界の研究コミュニティから見えるようにするための大きな一歩となります。OpenAlexのようなオープンな書誌インフラは、こうしたパートナーシップに支えられています。質の高い信頼できるデータソースを集結させることで、世界の科学の真に包括的な全体像を描き出すことができるのです。」
── Jason Priem OpenAlex 共同創業者
技術的な仕組み:JPCOARスキーマ2.0メタデータとの連携
OpenAlexは、IRDBのOAI-PMH集中型エンドポイントからJPCOARスキーマ2.0形式のメタデータをハーベストしています。タイトル・著者・DOI・出版日・言語・抄録・PDF URL・所属機関などの情報がOpenAlexのスキーマに自動マッピングされ、世界標準の学術知識グラフに統合されます。
- 全登録作品は、OpenAlex APIから検索・取得可能です。
https://api.openalex.org/works?filter=locations.source.id:S7407056385
- OpenAlexでIRDBを検索する場合は、以下のURLでご利用ください。
https://openalex.org/works?filter=locations.source.id:S7407056385
今後の展望
機関リポジトリデータベース(IRDB)には、約264万件の日本語学術論文が収録されています。これらの論文は、OpenAlexにも登録されていますが、現状ではOpenAlexの研究トピック(Topics)の自動付与に問題が生じていることが確認されています。具体的には、医療分野の論文が軍事技術に分類されるなど、論文の内容と乖離したトピックが付与されるケースが多数報告されています。この問題は、OpenAlexの分類モデルが主に英語論文を対象として構築されており、日本語論文の内容を適切に認識できないことに起因しています。iJapan株式会社は、国立情報学研究所と共同で、この問題の解決に向けた取り組みを進めています。日本語学術コンテンツの国際的な発見可能性を向上させることを目的として、より適切なトピック付与の実現に向けて研究開発を継続してまいります。
また、健康科学研究とオープンサイエンスを支援する国際的な助成財団である、ウェルカム・トラスト(Wellcome Trust)からの助成を受け、OpenAlexは、資金配分機関が研究成果とその波及効果を追跡・評価するのを支援するための専門的なサービスの開発に取り組んでいます。OpenAlexにはすでにKAKEN(科学研究費助成事業データベース)などのレコードが収録されており、今後は国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)や国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)などの成果物も収録される予定です。IRDBのコンテンツについても、日本の研究助成の効果を測定するための重要なリソースとして活用されることが期待されます。
OpenAlexでは現在、Member(+)またはPartnerという有償サービスを通じて、OpenAlexのAPIの機関利用管理サービス、Affiliationデータの修正サービス、Unsub(ビッグディールの費用対効果分析とシミュレーションサービス)等を提供しております。特に、自機関のAffiliationデータを修正・整備することで、ROR(Research Organization Registry:機関の永続識別子)も修正され、オープンデータベースへのさらなる活用と研究成果の国際的な視認性向上を図ることができます。
本件に関するお問い合わせ
iJapan株式会社:connect@igroupjapan.com
OpenAlex : steve@ourresearch.org
【関連リンク】
- IRDB(機関リポジトリデータベース):https://irdb.nii.ac.jp
- OpenAlex:https://openalex.org
- OpenAlex(日本語サイト): https://www.igroupjapan.com/contents/openalex/
- NIIプレスリリース:https://www.nii.ac.jp/news/release/2026/0818.html
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