会期 :2026年8月21日(金)→ 11月16日(月)会場 :松坂屋名古屋店 南館7階 松坂屋史料室   ※10月2日(金)は一部展示入れ替えのため休室日 ※入場無料


松坂屋コレクション(一般財団法人 J.フロントリテイリング史料館蔵)

松坂屋名古屋店では、南館7階松坂屋史料室にて『『紅型(びんがた)II -琉球王国の装い-』を開催いたします。
紅型(びんがた)は、琉球王国で発展した伝統的な染織です。鮮やかな色彩と多様な文様によって王国の装いに格別の華やぎをもたらしてきました。
琉球の伝統的な衣裳である琉装は、沖縄の方言で「うちなーすがい」と呼ばれます。「うちなー」は沖縄、 「すがい」は身なりや装いを意味します。琉球王国時代に育まれた衣裳文化には、温暖な気候に適した着 装の工夫が見られます。例えば、女性は帯を締めず、腰紐に着物の前を挟み込む「うしんちー」と呼ばれる 着方をし、風通しよく涼やかに過ごせるようにしていました。また、このような工夫に加え、琉球王国では染 織による豊かな表現も育まれました。なかでも紅型の衣裳は、王国の美意識を象徴する存在でした。  
紅型は、王族や士族の女性を中心に、元服前の少年や宮廷に仕える人々などにも用いられました。衣裳 の色や模様には階級による違いがあり、身分や立場を視覚的に表す役割も担っていたのです。  
本展では、松坂屋コレクションの紅型衣裳を通して、琉球王国における装いのあり方と、その中に息づく美のかたちをご紹介します。

前期展示 8月21日(金)~10月1日(木)


松坂屋コレクション(一般財団法人 J.フロントリテイリング史料館蔵)
菊椿模様衣裳(きくつば もよう いしょう)
■19~20世紀、木綿
琉球王国時代の紅型の模様には、琉球の風物の ものはほとんどなく、和 模様や中国的な模様が見られます。これは、図案を手がける絵師たちが中国や東南 アジア、日本本土から輸入された染織 品を参考にし、模様を取り入れていったのではないかと考えられています。 紅型は主に上流階級の衣裳であったため、琉球では珍しい、異国的な模様を採り入れることが、身分や権威、豊かさを示す表現だったのではないかとも考えられています。




松坂屋コレクション(一般財団法人 J.フロントリテイリング史料館蔵)
楼閣に鳥模様衣裳(ろうかくに とり もよう いしょう)
■19世紀、絹
鮮やかな黄色地に、楼閣の風景や草花、鳥を配した子ども用の紅型衣裳です。紅型を着用できた子どもは、王族や士族など限られた階級に属していました。紫や緑、青、紅色を用いた華やかな配色に加え、横にたなびく霞のような曲線が画面に軽やかな動きを与えています。内側にのぞく赤も愛らし く、晴れの日を彩る格調高い一着です。




松坂屋コレクション(一般財団法人 J.フロントリテイリング史料館蔵)
竹に松梅菊模様衣裳(たけに まつうめきく もよう いしょう)
■19世紀、木綿
白地を背景に、縦縞を思わせる竹と花・葉の文様を繰り返し配した衣裳です。淡い青や緑の竹に対して、濃い紅色の竹や紫の梅が際立ち、画面に奥行きを生み出しています。縦方向に反復される構成が整ったリズム感を与え、 洗練された装飾性を感じさせます。




松坂屋コレクション(一般財団法人 J.フロントリテイリング史料館蔵
七宝模様衣裳(しっぽうもよう いしょう)
■19世紀、木綿
型紙には様々なサイズがあります が、その中の奉書紙(厚手の上質な 和紙の1/4サイズ(縦17-19cm× 横41-42cm)の「細模様型(小紋型)」を使用し、細やかな七宝繋ぎ模様を地文として表しています。その上に赤、青、黒、紫 を色挿しした点を配することで、 衣裳全体に軽快な印象を与えています。




松坂屋コレクション(一般財団法人 J.フロントリテイリング史料館蔵
松梅に鶴鳥模様衣裳(まつうめに つるとり もよう いしょう)
■19世紀、苧麻
地色の爽やかな青に赤や黄、 緑などの模様の鮮やかな色彩が映え琉球ならではの華やかさが感じられます。生地の素材の苧麻は、イラクサ科の植物で、 麻の一種です。茎から繊維をとり、糸にします。苧麻の糸は強度が高く、独特のシャリ感があり、吸湿性、通気性があります。この軽やかで 透け感のある生地は、琉球の温暖な気候に適しており、涼やかな風合いを生み出しています。



後期展示 10月3日(土)~11月16日(月)


松坂屋コレクション(一般財団法人 J.フロントリテイリング史料館蔵
雪輪枝垂桜に菖蒲模様衣裳(ゆきわ しだれざくらに しょうぶ もよう いしょう)■19世紀、木綿
左右の腰のあたりから裾にかけてスリットが入り、さらに襟下や脇に赤い輪が付けられていることから、この衣裳は踊り衣裳として用いられたものと考えられます。文様として見られる丸い意匠は、雪の結晶を図案化した雪輪模様です。雪輪の内部には、松の樹皮の形 をもとにした松皮菱模様があしらわれており、細部にまで趣向を凝らした華やかなデザインとなっています。




松坂屋コレクション(一般財団法人 J.フロントリテイリング史料館蔵
巻物に橘模様衣裳(まきものに たちばな もよう いしょう)
■19世紀、苧麻
本衣裳は、苧麻(麻の一種)で作られており、さらりとした涼しい着心地が特徴です。腰の脇に開きがあり、紐を通した跡もあることから、 舞踊に使われた衣裳だったと考えられています。模様の巻物は学問・教養を、 橘は古来より長寿・吉祥を象徴するものとして知られ、組み合わせることで格式高い意匠となっています。紅・ 藍・黄・緑などの、暖色と寒色を交互に配する紅型らしい色づかいは、上品さの中に動きのある美しさを生み出しています。





松坂屋コレクション(一般財団法人 J.フロントリテイリング史料館蔵
菊唐草模様衣裳(きく からくさ もよう いしょう)
■19世紀、苧麻
赤・黄・紫の菊の花びらの先には、それぞれ濃い色がほどこされてい ます。これは「 隈取り(クマドゥイ)」と呼ばれる技法です。花びらの縁や中心に濃色をのせてぼかすことで、模様に立体感を生み出しています。そのため、一枚一枚の花びらが浮かび上がるように見えます。さらに、葉脈や花びらの輪郭には、白く染め残した線が用いられ、それぞれの模様の色彩をいっそう鮮やかに引き立てています。




松坂屋コレクション(一般財団法人 J.フロントリテイリング史料館蔵
立涌檜扇桜模様衣裳(たてわく ひおうぎ さくら もよう いしょう)
■19世紀 木綿
伝統的な模様、立涌模様が全体的にほどこされ、その上に扇や桜が配されています。立涌模様とは、水蒸気が立ち上る様子を二本の線でくぼみ、広がりを表ししたものになります。またその様子から運気があがる、おめでたい吉祥模様とされています。




松坂屋コレクション(一般財団法人 J.フロントリテイリング史料館蔵
稲妻に松竹梅桃模様衣裳(いなずまに しょうちくばい もも もよういしょう)■19世紀、木綿
松竹梅や桃を描いた模様の背景には、稲妻文様を見ることができます。稲妻には子どもの健やかな成長を願う意味があり、松竹梅や鶴亀といった縁起のよい文様との組み合わせは、子ども用の紅型にしばしば用いられてきました。寒色系の背景によって、赤や黄色の松や竹 の葉、梅の花、桃の実がいっそう鮮やかに浮かび上がっています。



【松坂屋コレクション】
松坂屋は昭和6(1931)年から昭和14(1939)年までの9年間を中心に、高級呉服のデザインの参考にするため、江戸時代以前の染織工芸品を全国から数多く収集しました。収集品は、松坂屋京都染織参考館で保管され、名古屋に移管されてから「松坂屋コレクション」と呼ばれることとなりました。国の重要文化財指定の衣裳も含む約1,500点の松坂屋コレクションは、平成23(2011)年より一般財団法人J.フロントリテイリング史料館が保存・公開しています。

【松坂屋史料室】南館7階
1611年(慶長16年)の創業以来400年以上の歴史を持つ松坂屋に関する貴重な史料やわが国の文化遺産である松坂屋コレクションの衣装等を展示・公開する企画展を定期的に開催しております。松坂屋史料室のWEBサイトはこちら
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