この時期、現在進行形で苦しんでいる人も多い“国民病”の花粉症をはじめ、重度の場合は死に至る危険性もある食物アレルギーに完治の可能性が? 

4月5日(日)夜9時放送のNHKスペシャル「新アレルギー治療 ~鍵を握る免疫細胞~」では、いま、大きく変わり始めているアレルギーの予防と治療の最前線をお伝えします!

現代病という言葉にふさわしく1960年代以降、患者数が増加したといわれる様々なアレルギー。この時期、花粉症対策でマスクをして通勤・通学をしている光景はもはや当たり前のものとなっていますが、先進国では実に3人に1人が何らかのアレルギーに苦しんでいるとも言われています。

アレルギーの根本治療の”鍵”として注目を集めているTレグ

これまで対症療法や多少の予防策はあっても、完治は不可能と言われてきたアレルギーですが、そうした現状に大きな変化が! 

そこには日本人の研究者の存在が深く関わっています。医学の分野で世界的な優れた発見・貢献をした研究者に贈られる「ガードナー国際賞」を先日、受賞した大阪大学の坂口志文(さかぐち しもん)教授。彼が発見した“Tレグ(=制御性T細胞)”と呼ばれる免疫細胞の存在が、アレルギー根本治療の“鍵”として注目を集めています。このTレグをコントロールすることで、アレルギーが完治するというケースが出始めているのです。
 

  

そもそも、アレルギーとは本来は害のない異物を、免疫が体を守ろうとして過剰に反応してしまうことで起きる症状です。

例えば、北米で農耕や牧畜によって自給自足の生活を営むアーミッシュには、アレルギーが極端に少ないのですが、その理由はこのTレグが体内に多いためと考えられています。Tレグは、免疫による攻撃(=アレルギー)を抑え込む役割を持っており、アーミッシュは幼少期から家畜と触れ合い、細菌を吸い込んでおり、その結果、Tレグを多く持つようになったと言われています。逆に、現代の日本のように衛生的で細菌が少ない環境だからこそ、Tレグが増えずにアレルギーが増加したとも言えます……。

日本でも、このTレグを取り入れたアレルギー治療が行われ始めています。農水省では花粉成分を含む遺伝子組み換え米、その名も「花粉症緩和米」を2020年より販売することを目指しています。これを食べることでTレグを増やし、花粉症を根本的に完治させる試験も始まっています。番組では坂口先生がスタジオに登場。アレルギー治療や気になるTレグの秘密について、質問に答えます。