小中高生の保護者210名調査。AIに任せる場面と任せない場面の境界は「用件が決まっているか」だった

英語学習情報サイト「EnglishHub」(運営:GRASグループ株式会社)は、小中高生の子どもと同居する保護者210名を対象に、AI翻訳の進化と子どもの英語学習に関する調査を実施しました。AI翻訳の普及を受けても英語学習にかける費用や時間を「減らす」と答えた保護者は2.4%にとどまり、「増やす」19.5%の8分の1以下でした。一方で、AI翻訳に任せてよいと考える場面は明確に分かれており、その境界は「仕事か遊びか」ではなく「話す内容があらかじめ決まっているかどうか」でした。

調査結果サマリー

- 英語学習にかける費用や時間を「減らす」は2.4%(210名中5名)。「増やす」19.5%はその8.2倍

- 生成AIをほぼ毎日使っている保護者(85名)でも、「減らす」は4名にとどまった
- 「英語を学ぶ意味は変わった」は49.5%と、評価は真っ二つに割れた
- AIに任せてよい場面は、仕事のメール48.1%に対し仕事の商談・会議は8.6%。海外旅行の買い物52.9%に対し海外の人との雑談は20.0%
- 英語が必要な理由として「受験」「就職」しか挙げなかった保護者は、子どもに「英語は必要だ」と伝える割合が57.7%と、それ以外の82.6%を大きく下回った

調査概要
調査名:AI翻訳と子どもの英語学習に関する調査
調査主体:EnglishHub(GRAS Group株式会社)
調査方法:インターネットによるアンケート調査(ランサーズ)
調査対象:小学生・中学生・高校生の子どもと同居する保護者
有効回答数:210名
調査時期:2026年8月
回答者の内訳:女性55.7%/男性42.9%/上記以外・答えたくない1.4%。年代は40代50.5%、30代23.3%、50代22.9%、10・20代2.4%、60代以上1.0%
※構成比は小数第2位を四捨五入しているため、合計が100%にならない場合があります。
※複数選択の設問については、合計が100%を超えます。

【引用について】
本調査結果は、出典を明記いただければ自由に引用いただけます。
引用の際は、出典として「EnglishHub調べ」と記載のうえ、以下の記事URLへのリンクをお願いいたします。
(例)出典:EnglishHub「AI翻訳と子どもの英語学習に関する調査

AI翻訳が進化しても、英語学習費を減らす保護者は2.4%

「AIの進化が著しい今、お子さまの英語学習にかける費用や時間をどうしたいですか」と尋ねたところ、「減らす」と答えたのは2.4%(5名)にとどまりました。最も多かったのは「変えない」66.2%で、「増やす」は19.5%。増やすと答えた保護者は、減らすと答えた保護者の8.2倍にのぼります。



「もともとかけていない」と答えた25名を除き、すでに英語学習に費用や時間をかけている家庭185名に限って集計しても、「減らす」は2.7%でした。AI翻訳の進化は、少なくとも現時点では家庭の英語教育支出を引き下げる方向には働いていません。




「増やす」と答えたのは中学生の保護者に集中

「増やす」と答えた割合を子どもの学校段階別に見ると、中学生の保護者が37.5%と突出していました。小学1~3年生21.2%、高校生14.0%、小学4~6年生4.3%と続きます(カイ二乗検定 p=0.0005)。




投資判断を左右しているのはAI翻訳の進化ではなく、高校受験の近さでした。AIをめぐる環境変化よりも、従来からの受験というスケジュールのほうが、家庭の支出判断に強く効いていることがうかがえます。

生成AIを毎日使う保護者でも、減らすと答えたのは4名

「AIを知らないから減らさないのではないか」という見方もありえます。そこで、保護者自身が生成AI(ChatGPTなど)を「ほぼ毎日使う」と答えた85名に限って集計しました。



結果は「増やす」23.5%、「変えない」62.4%、「減らす」4.7%(4名)。全体との差は統計的に有意ではありませんでした(p=0.44)。AIを日常的に使いこなしている保護者ほど英語学習を切り捨てる、という傾向は確認できませんでした。

ただし「英語を学ぶ意味は変わった」は49.5%

支出の判断は動いていない一方で、認識のほうは動いています。「AI翻訳の進化によって、英語を学ぶ意味は変わったと思いますか」という問いには、「大きく変わった」6.2%と「やや変わった」43.3%を合わせて49.5%が「変わった」と回答。「変わっていない」50.5%とほぼ半々に割れました。




英語を学ぶこと自体はやめないが、その意味は捉え直されつつある。この調査で見えたのは、そうした状況です。

子どもに言われたら、79.5%は「英語は必要だ」と答える

「お子さまから『AIの翻訳があるから、英語の勉強はしなくていいよね』と言われたら、あなたはどう答えると思いますか」という問いには、79.5%が「英語の勉強は必要だと伝える」と回答しました。



「一理あると思うが、うまく答えられず言葉に詰まる」は12.9%、「子ども自身の判断に任せる」は7.1%、「無理に勉強しなくてもよいと伝える」は0.5%(1名)でした。

AI翻訳に任せてよい場面、任せられない場面

「AI翻訳があれば『自分で英語ができなくてもよい』と思う場面はどれですか」と複数選択で尋ねたところ、上位は「海外旅行での買い物・移動」52.9%と「仕事のメール・文書作成」48.1%でした。



一方で「仕事の商談・会議」は8.6%、「海外の人との日常的な雑談」は20.0%と低く、同じ「仕事」「海外旅行」というくくりの中で大きな差が生じています。

分かれ目は「仕事か遊びか」ではなく「用件が決まっているか」

差の構造を確認するため、項目どうしを直接比較しました。「仕事のメール」を選んだが「仕事の商談」は選ばなかった人は86名、その逆はわずか3名です(p<0.0001)。「海外旅行での買い物」を選んだが「雑談」は選ばなかった人は81名、その逆は12名でした(p<0.0001)。




ここで注目すべきは、「海外旅行での買い物」52.9%と「仕事のメール」48.1%のあいだには統計的な差がなかった点です(p=0.41)。つまり、仕事か遊びかという区別では説明できません。
買い物も商談も雑談も、いずれも相手と対面してその場でやり取りする場面です。それでも買い物だけがAIに任されている。両者を分けているのは、話す内容があらかじめ決まっているかどうかでした。「これをください」「いくらですか」で完結する会話は機械に渡せる。次に何を言うかが決まっていない会話は渡せない。保護者が引いていた線は、リアルタイムかどうかではなく、用件が定型かどうかでした。

英語が必要な理由の上位は、受験でも就職でもなかった

「AIがあっても、自分で英語ができたほうがよい」と思う理由を複数選択で尋ねたところ、1位は「とっさの会話ではAIが間に合わないから」69.5%、2位は「相手に自分の言葉で気持ちを伝えたいから」54.3%でした。




「受験で必要だから」42.9%、「就職で有利になるから」36.2%といった実利的な理由は、いずれもこの2つを下回っています。保護者が英語に見出している価値の中心は、点数や資格ではなく、その場で相手とやり取りする力にありました。

受験・就職しか理由に挙げられない保護者ほど、子どもに言い切れていない

挙げた理由のタイプによって、保護者の態度に差が出ました。「とっさの会話」「自分の言葉で気持ちを」といったやり取り系の理由を挙げた保護者と、「受験」「就職」といった実利系の理由を挙げた保護者に分けて集計します。




子どもに「英語の勉強は必要だと伝える」と答えた割合は、やり取り系の理由だけを挙げた保護者で85.5%、両方を挙げた保護者で82.2%だったのに対し、受験・就職だけを挙げた保護者では57.7%にとどまりました(26名、カイ二乗検定 p=0.009)。受験・就職だけを挙げた層とそれ以外を比較すると、57.7%対82.6%で有意な差がありました(フィッシャーの正確検定 p=0.0074)。
費用や時間を「増やす」と答えた割合も、受験・就職だけを挙げた層では7.7%と、両方を挙げた層の27.8%を大きく下回っています。
具体的な見返りを理由に挙げている保護者のほうが英語に前向きだろう、という予想とは逆の結果です。英語を学ぶ理由を受験や就職でしか説明できない場合、AIがその実利を肩代わりした瞬間に理由が消えてしまう。理由を対人的なところに置いている家庭ほど、AIが進化しても揺れていないという構図が見えました。

まとめ

AI翻訳の進化を前提に尋ねても、子どもの英語学習にかける費用や時間を減らすと答えた保護者は2.4%にとどまりました。生成AIを毎日使っている保護者でも同様です。市場という観点では、家庭の英語教育投資はまだ動いていません。
動いているのは中身のほうです。定型的なやり取りはAIに任せてよいが、内容が決まっていないやり取りは自分でやりたい。保護者はすでにこの線を引いていました。そして、英語の必要性を受験や就職といった実利でしか説明できない家庭は、すでに英語から降りはじめています。
英語学習サービスに求められるのは「AIがあっても英語は必要です」という主張ではなく、AIに任せられる領域と、任せられない領域を具体的に示すことなのかもしれません。

EnglishHubについて
EnglishHubは、英語学習に関する情報を発信するメディアです。英会話スクールやオンライン英会話、英語教材の比較情報のほか、英語学習法や英語資格試験に関する情報を掲載しています。
URL:https://englishhub.jp/

【引用について】
本調査結果は、出典を明記いただければ自由に引用いただけます。
引用の際は、出典として「EnglishHub調べ」と記載のうえ、以下の記事URLへのリンクをお願いいたします。
https://englishhub.jp/
(例)出典:EnglishHub「AI翻訳と子どもの英語学習に関する調査
企業プレスリリース詳細へ
PR TIMESトップへ