持ち帰らせない理由トップは「破損・紛失の懸念」。単純な普及率だけでは見えない運用の実態と現場の課題を調査

株式会社新学社(https://www.sing.co.jp/)(所在地:京都府京都市、代表取締役社長:山本 伸夫)は、小学校・中学校教員を対象に「小中学校のGIGA端末持ち帰り運用と家庭学習支援」に関する調査を行いました。

GIGA スクール構想の推進により端末の持ち帰り運用が進む一方で、家庭学習におけるデジタル活用の運用方法や指導体制には地域や学校ごとに特色が見られます。
実際には、端末を持ち帰らせても家庭学習でGIGA端末を利活用することへの課題を感じている教員も存在します。

では、実際に現場の教員は端末の持ち帰り運用や家庭学習の現状をどのように捉えているのでしょうか。
また、児童生徒が自立して学習を進めるために必要な支援や機能について、現場からはどのような期待が寄せられているのでしょうか。

夏休みにGIGA端末を全学年に持ち帰らせている学校は約半数!一方、持ち帰りに踏み切れない理由のトップは「端末の破損・紛失の懸念」
はじめに、「勤務校では、今年の夏休みにGIGA端末を持ち帰らせましたか」と尋ねたところ、下記のような回答結果となりました。



小中学校ともに半数が『全学年で持ち帰らせた』と回答しており、GIGA端末を家庭学習に活用する取り組みが進んでいることが示されました。中学校では全学年での持ち帰りの割合が小学校より高い一方、小学校では『一部学年のみ持ち帰らせた』割合が約3割を占めており、校種や学年に応じて持ち帰りの範囲を設定している状況がうかがえます。

では、一部の学年のみに持ち帰りを許可している学校では、どのような学年が対象となっているのでしょうか。

前問で『一部学年のみ持ち帰らせた』と回答した方に、「どの学年にGIGA端末を持ち帰らせたか」と尋ねたところ、下記のような回答結果となりました。



小学校では、高学年になるほど持ち帰り率が高くなる傾向が見られました。一方、中学校では中学3年生の持ち帰り率が低くなりました。

一方で、持ち帰りを実施しないという判断には、どのような理由があるのでしょうか。



今年の夏休みにGIGA端末を『学校・自治体の方針で持ち帰らせていない』と回答した方に、「今年の夏休みにGIGA端末を持ち帰らせていない理由」について尋ねたところ、『端末の破損・紛失の懸念(38.6%)』が最も多く、『目的外利用など家庭内トラブルの防止(33.0%)』『持ち帰りの必要性やメリットがない(33.0%)』と続きました。

「破損・紛失の懸念」や「家庭内トラブルの防止」が上位に挙がったことから、物的損害のリスクや家庭での管理負担が、持ち帰りを進める上での課題となっていると考えられます。また、「必要性やメリットがない」という回答が一定数見られることから、夏休みの課題等で端末を活用する機会が限られていることや、端末を持ち帰ること自体が家庭学習の充実につながるとは捉えられていないことが推測されます。

家庭学習でのGIGA端末活用法と、教員を悩ませる「ログイン・通信トラブル」の実態
破損やトラブルへの懸念がある一方で、学校では、通常月と夏休みにどのような宿題が出されているのでしょうか。

「通常月と夏休みでどのような宿題をだしているか」と尋ねたところ、下記のような回答結果となりました。



通常月と夏休みのいずれにおいても、宿題の形式に大きな変化は見られず、『紙教材とデジタル教材の併用』が最多となりました。次いで「紙教材のみ」が約2割を占め、「デジタル教材のみ」を上回る結果となっています。GIGA端末の整備が進む一方で、家庭学習が全面的にデジタル化されているわけではなく、紙のワークや図書教材も引き続き活用されていることがわかります。教育現場では、紙教材とデジタル教材それぞれの特性を生かし、両者を組み合わせた学習スタイルが主流となっているようです。

では、夏休みに持ち帰ったGIGA端末は、実際にどのような学習に活用されているのでしょうか。

今年の夏休みにGIGA端末を『学校・自治体の方針で持ち帰らせていない』と回答した方以外に、「持ち帰らせたGIGA端末で児童生徒にどのような学習に取り組ませているか」と尋ねたところ、下記のような回答結果となりました。



小中学校ともに『デジタル教科書・教材(AIドリル等を含む)』や『学校から配信された課題(プリント、ワークシートなど)』など、授業や日常の学習の延長として取り組める内容が中心となっていることがうかがえます。

では、こうしたデジタルと紙の教材が併存する家庭学習において、どのような課題や困りごとが生じているのでしょうか。



引き続き、今年の夏休みにGIGA端末を『学校・自治体の方針で持ち帰らせていない』と回答した方以外に、「持ち帰らせたGIGA端末での学習について児童生徒から多い問い合わせ・困りごとは何か」と尋ねたところ、『ログインIDやパスワードがわからない(24.4%)』『Wi-Fiに接続できない(24.4%)』が最も多く、『画面がフリーズする・アプリが動かない(21.6%)』と続きました。

「ログインIDやパスワード忘れ」や「Wi-Fi接続不良」が同率で挙げられており、家庭でGIGA端末を利用する際には、学習内容に取り組む以前の接続環境やログインの段階でつまずきが生じていることがうかがえます。また、「画面がフリーズする・アプリの不具合」も上位に挙がっており、端末やアプリの動作上の問題によって、学習が中断されるケースもあることがうかがえます。

教員の約8割が「一人で学べる仕組み」の必要性を実感!教科別に見る支援機能の違いとは
児童生徒が自立して学習を進めるための支援機能について、現場の教員は教科ごとにどのような必要性を感じているのでしょうか。



「一人でも学びやすくなるための支援機能(ヒント提示や解説など)の必要性について、教科による違い(特に算数・数学と理科・社会の違いなど)を感じるか」と尋ねたところ、約8割が『大きく感じる(25.1%)』『ある程度感じる(59.2%)』 と回答しました。

約8割の教員が支援機能の必要性について教科間の違いを感じていることから、教科によって学習の進め方やつまずき方が異なるため、一律の支援ではなく、それぞれの学び方に応じたヒント提示や解説などの支援が求められます。

■具体的にどの教科でどのような違いを感じるか、理由と併せて教えてください

・算数・数学は解法の手順を一つずつ確認する必要があり、途中式のどこでつまずいたか把握しにくいため、段階的なヒントの必要性を強く感じます。理科・社会は用語の意味を調べれば理解が進みやすい面があります。(30代/男性/中学校教員)
・理科や社会では、解説が広がりすぎないよう制限や学年による内容の精査が必要(30代/女性/中学校教員)
・国語。現時点の読解力に差がありすぎるから(30代/男性/小学校教員)
・理科や社会は動画や画像などがあるとわかりやすい(40代/女性/小学校教員)

自由回答からは、算数・数学における「解答に至るまでのプロセス」の重視や、国語における「採点の難しさ」や「読解力の個人差」など、教科ごとに異なる課題が挙げられました。特に、児童生徒がどこでつまずいているのかを把握しにくい教科では、段階的にヒントを提示するなど、学習の進み方に応じた支援が求められていることがうかがえます。一方で、理科や社会では図や画像などを用いた視覚的な理解を支援する機能が有効と考えられるなど、教科によって必要とされる支援のあり方にも違いがあると考えられます。



最後に、「家庭学習をより充実させるために、今後あったらよいと思うもの」について尋ねたところ、『一人ひとりに最適な問題配信機能(38.6%)』が最も多く、『AIによる個別学習支援機能(31.6%)』『AIによる質問対応機能(29.1%)』と続きました。

「問題配信機能」が最も多く挙げられており、一律の宿題やプリント学習だけでは、生徒一人ひとりの理解度や学習状況に対応することが難しいと感じていることがうかがえます。また、「個別学習支援機能」や「質問対応機能」も上位に挙がったことから、生徒のつまずきや疑問に応じて、その場で学習を支援する機能への期待が見られます。これらの結果から、今後の家庭学習を充実させるためには、一人ひとりの理解度に応じて学習内容を調整する機能と、学習中の疑問やつまずきを解消するための支援機能の両方が求められていると考えられます。

【まとめ】夏休みの宿題・GIGA端末持ち帰りの実態と、今後の家庭学習サポートの課題
今回の調査により、GIGAスクール構想による端末整備が進む中で、小中学校の現場が直面している「デジタル活用と、従来からの紙教材を併用した家庭学習」の実態と課題が明らかになりました。

小中学校ともに過半数が「全学年で持ち帰らせた」と回答する一方で、小学校の約3割が「一部学年のみ」、全体でも約1割が「持ち帰らせていない」と回答しています。持ち帰りに踏み切れない理由の上位には、「端末の破損・紛失の懸念」や「目的外利用など家庭内トラブルの防止」が挙げられており、端末を家庭に持ち帰らせる際の管理や利用について、懸念を抱えていることが示唆されました。また、実際に端末を持ち帰らせている学校でも、「ログインIDやパスワード忘れ」「Wi-Fi接続不良」といった学習を始める前段階でのつまづきが見られました。

環境面の課題に加え、家庭学習における学習面での支援も求められます。一人でも学びやすくなるための支援機能(ヒント提示や解説など)の必要性について、 約8割の教員が、教科による違いを感じており、特に算数・数学では「途中式からつまずきを把握すること」、国語では「一人ひとりの読解力に応じた対応」など、教科によって必要とされる支援にも違いがあることが示唆されました。家庭学習では教員が直接支援することが難しいため、こうした教科ごとのつまずきへの対応も課題の一つとなっています。

こうした課題を解決するため、現場の教員からも「一人ひとりに最適な問題配信機能」や個別学習支援・質問対応機能といった「つまずきをその場で解消する機能」への期待が寄せられており、生徒一人ひとりの理解度や学習状況に応じた仕組みが求められていると考えられます。

これからの教育現場では、家庭学習の課題に向き合い、児童生徒の学びを支える解決策の一つとして、デジタル教材やAIといった技術の活用を含めた柔軟な環境づくりが求められていくのではないでしょうか。

今回、「小中学校のGIGA端末持ち帰り運用と家庭学習支援」に関する調査を実施した株式会社新学社https://www.sing.co.jp/)は、小・中学校向けの学習教材や家庭学習教材の出版・販売を行っている教育出版社です。

■会社概要
会社名:株式会社新学社
設立:昭和32年(1957年)3月22日
代表者:代表取締役社長 山本 伸夫
所在地:〒607-8501 京都市山科区東野中井ノ上町11-39
事業内容:
・小学校・中学校で使用する学習教材の発行・教具教材の企画・販売
・家庭教材「月刊ポピー」の発行
・評価教材(テスト)の発行と採点・成績処理
・デジタル教材・ICTサービスの開発
・幼児教育プログラムの提供
・一般書の発行
URL:https://www.sing.co.jp/


調査概要:「小中学校のGIGA端末持ち帰り運用と家庭学習支援」に関する調査
【調査期間】2026年8月21日(金)~2026年8月24日(月)
【調査方法】PRIZMA(https://www.prizma-link.com/press)によるインターネット調査
【調査人数】1,019人(1.505人/2.514人)
【調査対象】調査回答時に1.小学校/2.中学校教員と回答したモニター
【調査元】株式会社新学社(https://www.sing.co.jp/
【モニター提供元】サクリサ
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