スウェーデンのデザイン史において重要な役割を果たしてきたグスタフスベリ製陶所。1825年に設立され、すべての人に美しい日用品を届けるという理念のもと、個性豊かなデザイナーたちによって、暮らしを彩る数々のテーブルウェアが生み出されました。
本展は、グスタフスベリを代表するデザイナー、ヴィルヘルム・コーゲ、スティグ・リンドベリ、リサ・ラーソン、カーリン・ビョルクヴィストの4人に焦点をあて、スウェーデン国立美術館の所蔵品約300点を展示。グスタフスベリの歴史と魅力をひもとく、日本で初めての展覧会です。

展覧会概要


みどころ

・日本初、「グスタフスベリ」の歴史と魅力を紹介する展覧会
陶磁器メーカー「グスタフスベリ」は、スウェーデン南東部の港町グスタフスベリに設立され、現在も同地で生産を続けています。経営体制の変化によって生産拠点を国外に移す北欧のメーカー・ブランドもあるなか貴重な存在と言えるでしょう。本展ではスウェーデンの暮らしを彩り続けるグスタフスベリを深掘りします。

・グスタフスベリを支えたデザイナー4名の代表作が一堂に
グスタフスベリを代表するデザイナー4名が、「すべての人に美しさを」「より美しい日用品を」というスウェーデン・デザインの理念のもとで生み出した名作を通して、彼らの特色や日常にもたらしたもの、そしてグスタフスベリで果たした役割をたどります。

・スウェーデン国立美術館のコレクションから厳選 約300点を一挙公開
首都ストックホルムにあるスウェーデン国立美術館は、4万5000点もの膨大なグスタフスベリ・コレクションを管理しており、本展出品作品は全てそこから厳選したもの。量産品ながらぬくもりを残すことに成功したプロダクトや、1 点ものの作品、東洋から影響を受けた作品などが集まり、多彩な創作活動を概観できる貴重な機会です。

展覧会構成と主な出品作品

プロローグ/ 1825- 陶器の街グスタフスベリ
1825 年に、スウェーデン南東部の港町グスタフスベリで製陶が始まり、200 年あまりの歴史を持つ陶磁器メーカー「グスタフスベリ」の礎が築かれました。当初はドイツやイギリスの製陶を参考にし、強い影響を受けていましたが、1870 年代頃からスウェーデンに自生する身近な植物やヴァイキングモチーフを取り入れ、スウェーデンらしさを押し出した製品を作るようになります。さらに国内外の展覧会への出品も重ねることで、技術や独自性を高めていきました。本パートでは、グスタフスベリが草創期に生産体制やブランドとしての地位を確立していく様をたどります。


《グスタフスベリのプロモーションプレート(工場の風景)》 1911年Photo:Viktor Fordell/Nationalmuseum

グンナル・グンナション・ヴェンネルバリ《「リリエコンヴァリィ(スズラン)」皿、Wモデル》デザイン1897年以前Photo:Nationalmuseum

ヴィルヘルム・コーゲ/毎日をもっと豊かに
スウェーデンでは、20世紀に日常生活のなかに美を取り入れようとする考え方が浸透し、産業界にアーティストを取り込むようになります。画家・グラフィックデザイナーであったヴィルヘルム・コーゲ(1889 -1960)も1917 年にグスタフスベリと契約し、アーティスティック・ディレクターとなります。大量生産と芸術性の融合を追求し、アーティストたちが自由に制作することができる「G-スタジオ」を立ち上げました。日本の民藝運動の人々とも交流があり、ライフワークとして制作し続けたシリーズには東洋・中南米の影響が感じられます。
本パートでは、グスタフスベリの新たな生産体制とデザイン方針の支柱となり、次代のデザイナーたちへ影響を与えたコーゲの作品を紹介します。


ヴィルヘルム・コーゲ《「ピューロ」耐熱深皿》製作1930-1955年Photo:Nationalmuseum

ヴィルヘルム・コーゲ《皿》1942年Photo:Viktor Fordell/Nationalmuseum


ヴィルヘルム・コーゲ《「ファシュタ」幾何学模様浮彫の花器》1959年Photo:Nationalmuseum

ヴィルヘルム・コーゲ《「ウィークエンド」シリーズ、「プラクティカ I」モデル》1930年代Photo:Viktor Fordell / Nationalmuseum

スティグ・リンドベリ/暮らしを彩るデザイン
スティグ・リンドベリ(1916 -1982)は20世紀のスウェーデンを代表するデザイナーで、洗練されたデザインで機能性に富む製品を生み出し、とりわけ緑の葉の文様の「べショー」シリーズはグスタフスベリの代表作として長く人々に愛されています。リンドベリがデザインの方向性を決め、熟練の絵付師が手描きで装飾を施して量産した、色彩豊かで遊び心溢れる製品はアートとしても生活を彩りました。また、将来性のある若手陶芸家にはG-スタジオを使用させ、中でも優秀な者を採用したことがグスタフスベリの発展につながっていきます。
本パートでは、コーゲの跡を継いでアーティスティック・ディレクターとなったリンドベリが、一般家庭に美をもたらし暮らしを楽しむ存在として制作した作品の数々を紹介します。


スティグ・リンドベリ《「べショー」カップ&ソーサー、LLモデル》製作1960-1974年Photo:Nationalmuseum

スティグ・リンドベリ《「カーネヴァール」花器》製作1957 -1962年Photo:Bertil Wreting/Nationalmuseum


スティグ・リンドベリ《「スピーサ・リッブ」》製作1955-1974 年《「スプリンガレ(馬)」》製作1950-1970 年代《「テルマ」》製作1955-1979 年Photo:Viktor Fordell/Nationalmuseum

リサ・ラーソン/歓びとともに
リサ・ラーソン(1931-2024)はリンドベリの招きによりG-スタジオの実習生としてグスタフスベリへ入りました。当時の北欧は機能的でシンプルなデザインが主流でしたが、ラーソンは動物や人物を独特のデフォルメで表現した置物(フィギュリン)を制作し、人気を博しました。これらには温かみとユーモアがあり、食卓や室内を飾り、会話を生む効果がありました。一方、物思いにふけるような人物像や、土の質感と釉薬の表情を活かした素朴な器など多彩な作品を手掛けました。
本パートでは、ラーソンが個性を残しながらも形を単純化し、グスタフスベリの量産体制のもとで主力商品となったフィギュリンを主に、ラーソンの幅広い作品展開を紹介します。


リサ・ラーソン《「ストーラ・ソー(大きな動物園)」より ネコ》製作1966-1992年Photo:Viktor Fordell / Nationalmuseum

リサ・ラーソン《「サムヘルスデバッテン(社会討論)」》製作1969-1971年Photo:Nationalmuseum


リサ・ラーソン《壁掛飾皿》1960年代Photo:Nationalmuseum

リサ・ラーソン《「アフリカ」より ジャイアント・ライオン》デザイン1964年/製作1964-1988年Photo:Viktor Fordell/Nationalmuseum

カーリン・ビョルクヴィスト/日常に息づく美しさ
のちにグスタフスベリ初の女性アーティスティック・ディレクターとなるカーリン・ビョルクヴィスト(1927- 2018)も、若手の有望株としてG -スタジオに集められた陶芸家の一人でした。1991 年にノーベル賞の晩餐会のためにデザインした豪華なディナーセット「ノーベル・サービス」は代表作として知られています。一方で、手回しろくろによる日常の実用的な食器をもとにし、手仕事の良さを残した量産品や、現在も食堂や病院で使用されているスタッキング可能な、食洗機対応の頑丈なコーヒーカップなど、日常生活に寄り添うような作品を生みました。
本パートでは、日常づかいの作品を通してグスタフスベリと「日常」の関係を見つめなおすとともに、日本文化の影響を受けた作品も紹介します。


カーリン・ビョルクヴィスト《「ヴァールダーグ(日常)」ボウル、BEモデル》製作1955-1973年Photo:Nationalmuseum

カーリン・ビョルクヴィスト《「ルードカント」クリーマー、BKモデル》制作1968-1970年Photo:Nationalmuseum


カーリン・ビョルクヴィスト、グスタフスベリ製造、ロールストランド絵付《「ノーベル・サービス」(参考写真)》製作1991年Photo:Viktor Fordell / Nationalmuseum


エピローグ/受け継がれるスピリッツ
本パートでは、壁にコーゲ、リンドベリ、ラーソン、ビョルクヴィストが手掛けた皿20枚を展示します。グスタフスベリ陶磁美術館における壁掛展示を模しており、グスタフスベリの地や陶磁器生産の歴史に思いを馳せ、各デザイナーの革新性や個性を改めて感じることができるでしょう。
最盛期のグスタフスベリはテーブルウェアだけでなくトイレや洗面器などの衛生陶器も手掛け、スウェーデンの生活に深く結びつきました。海外企業による買収を繰り返し、食器類の生産が停止した時期もありましたが、現在でもグスタフスベリの町では技術を継ぐ職人たちが一部の復刻版を作っています。グスタフスベリ陶磁美術館は工場跡の一部を活用した施設ですが、使われないスペースはアーティスト・イン・レジデンス施設として様々なアーティストたちが制作を行う場になっています。グスタフスベリの町には今もなお、ものづくりの歴史と精神が受け継がれているのです。


グスタフスベリ陶磁美術館、グスタフスベリPhoto:Anna Danielsson / Nationalmuseum


展覧会資料

■チラシ
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展覧会および画像利用に関するお問い合わせ

 ■秋田市立千秋美術館  Tel:018-836-7860 Fax:018-836-7862 担当:関、奈良、片山

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