最もハードルが高いのは「体育祭・運動会」23.5%。学校への相談で「途中参加・退出」など配慮の輪も広がる
9月から11月にかけて集中する体育祭や文化祭、修学旅行などの学校行事。多くの子どもたちが楽しみにするイベントですが、起立性調節障害(OD)やその傾向をもつ子どもと家族にとっては、「朝の集合」や「長時間の活動」が大きな壁となっています。
一般社団法人 起立性調節障害改善協会は、小学生~高校生の子どもを持つ保護者110名を対象に「秋の学校行事と起立性調節障害」に関する調査を実施しました。その結果、行事への参加において多くの子どもが身体的・精神的な負担を抱えている一方で、学校側の柔軟な対応によって参加の形を模索する家庭の実態も見えてきました。行事という具体的な場面に絞って困りごとと配慮の実態を可視化することで、教育現場でのさらなる理解と「体調優先」の選択肢が広がるヒントを探ります。
調査背景
秋は学校行事が目白押しの季節ですが、起立性調節障害(OD)の子どもにとって、早朝の集合や炎天下での長時間の起立などは、体調悪化に直結しやすい過酷な環境です。しかし、学校行事は「全員が同じように参加する」ことが前提として組まれていることが多く、無理をして参加し、その後数日にわたって寝込んでしまうケースも少なくありません。こうした背景から、日常の登校ではなく「学校行事」という特殊な環境下において、「子どもたちは具体的にどのような困難に直面しているのか」「教育現場ではどのような配慮が行われているのか」を明らかにするため、本調査を実施しました。調査サマリー
- 参加を見送った・途中離脱した行事のトップは「体育祭・運動会」23.5%- 行事で大変なことは「朝の集合時間の早さ」17.5%、「長時間立ち続けること」16.5%
- 学校からの配慮として「途中参加・途中退出を認めてもらえた」が23.5%で最多
- 保護者の28.8%が「事前に体調のことを伝えた」と回答し、学校との連携を重視
- 周囲からの言葉では、「気持ちの問題では」「本当に体調が悪いの」など無理解による声も一定数存在
詳細データ
Q1:この1年で、お子さんが参加を見送った・途中で離脱した学校行事があれば教えてください
- 体育祭・運動会:23.5%
- 見送った行事はない:12.4%
- 遠足・校外学習:11.8%
- 朝礼・全校集会:11.8%
- 修学旅行・宿泊行事:10.6%
- その他:29.9%(文化祭・学園祭:10.0%、部活動の大会や発表会:7.6%、合唱コンクール・音楽会:5.3% など)
→ 身体的な負荷が大きく、屋外での長時間の活動が求められる「体育祭・運動会」が最も高い割合となりました。一方で「見送った行事はない」という回答も1割強あり、体調の波と相談しながら、なんとか参加を試みている子どもたちの姿もうかがえます。
Q2:学校行事の際に、お子さんが大変そうだったことを教えてください

- 朝の集合時間の早さ:17.5%
- 長時間立ち続けること:16.5%
- 屋外での高温や日差し:13.0%
- 当日に向けての緊張や不安:12.5%
- 行事のあと体調を崩す:9.5%
- その他:31.0%(移動や待ち時間の長さ:9.5%、練習期間の疲れ:7.5%、自分だけ別行動になる気まずさ:7.0% など)
→ 起立性調節障害の代表的な症状である「朝の起きづらさ」や「起立時の体調不良」が、そのまま行事参加の障壁となっていることがわかります。また、当日だけでなく「事前の緊張」や「事後の体調不良」といった、目に見えにくい部分での負担が大きいことも見過ごせないポイントです。
Q3:行事への参加について、学校からどのような対応を受けましたか?

- 途中参加・途中退出を認めてもらえた:23.5%
- 出欠の扱いを配慮してもらえた:13.4%
- そもそも相談していない:12.8%
- 役割や係を調整してもらえた:12.1%
- 待機できる場所を用意してもらえた:12.1%
- その他:26.1%(特に配慮はなかった:10.7%、保護者の付き添いを認めてもらえた:6.0%、別日や別の形で参加できるようにしてもらえた:6.0% など)
→ 全体を型にはめるのではなく、「途中参加・退出」や「役割の調整」「待機場所の確保」など、子どもの状態に合わせた柔軟な配慮が教育現場で広がりつつあることがわかります。学校側のこうした工夫が、子どもたちの「少しでも参加したい」という気持ちを支えています。
Q4:行事に関して、保護者として経験したことを教えてください

- 学校に事前に体調のことを伝えた:28.8%
- 本人と参加について話し合った:21.5%
- 診断書や医師の意見書を提出した:14.7%
- 当日の送迎や付き添いをした:12.4%
- 参加するかどうか直前まで決められなかった:10.7%
- その他:11.9%
→ 多くの保護者が事前に学校へ相談し、子ども本人とも話し合いを重ねている実態が浮き彫りになりました。直前まで参加できるか分からない不安を抱えながら、当日の送迎など、家庭での手厚いサポートによって行事参加が成り立っている状況です。
Q5:学校行事に関して、周囲から言われて気になった言葉があれば教えてください

- 気になる言葉を言われたことはない:29.7%
- 「気持ちの問題では」:12.7%
- 「本当に体調が悪いの」:11.4%
- 「うちの子も朝は弱い」:10.8%
- 「思い出になるのに、もったいない」:10.8%
- その他:24.6%(「みんな頑張っているのに」:7.0%、「行事くらいは出られるでしょう」:7.0%、「無理をしてでも参加させたほうがいい」:5.7% など)
→ 約3割が「気になった言葉はない」と回答する一方で、「気持ちの問題」「本当に体調が悪いの」といった、病気への理解不足からくる言葉に傷ついている家庭も少なくありません。外見からは分かりにくい疾患であるがゆえの、周囲との認識のギャップが課題として残っています。
調査結果のまとめ
今回の調査から、学校行事における起立性調節障害の子どもたちの壁は「朝の早さ」と「長時間の起立」に集中していることが明らかになりました。一方で、事前の保護者からの相談に対し、学校側が「途中参加」や「待機場所の確保」といった柔軟な配慮で応えるケースも多く見られます。学校行事は大切な思い出作りの場ですが、「全員参加」や「全日程の消化」を前提とするのではなく、まずは『体調優先』の姿勢を持つことが不可欠です。本人のコンディションに合わせて参加の形をカスタマイズできる環境づくりが、教育現場にさらに広まっていくことが期待されます。
一般社団法人 起立性調節障害改善協会のコメント

学校行事は子どもにとって大きな成長の機会であると同時に、起立性調節障害(OD)の子どもたちには、心身ともに極めて大きな負担がかかる場面でもあります。保護者の方々も「思い出を作ってあげたい」という親心と、「無理をさせて体調を崩させたくない」という葛藤の中で揺れ動いています。
大切なのは、行事の形に子どもを合わせるのではなく、子どもの体調に行事の参加スタイルを合わせることです。途中参加でも、見学だけでも、あるいは「休む」という選択であっても、それがその時の本人の最善であれば尊重されるべきです。教育現場での理解と柔軟な配慮がさらに進み、どの子も自分なりのペースで学校生活を送れる社会になることを願っています。
調査概要
調査主体:一般社団法人 起立性調節障害改善協会調査期間:2026年9月6日~2026年9月16日
調査対象:全国の小学生から高校生の保護者110名
調査方法:インターネットによるアンケート調査
有効回答数:110名
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