能登半島地震でモニター転倒を防いだものとは? アイオーデータのベテラン設計者にモニター転倒対策を聞いてみた
7月末の令和8年熊本地震は大きな被害をもたらした。そして、8月末には関東地方でも最大震度5弱を観測する地震が発生し不安を抱いた人も多いだろう。東京消防庁によると、近年の大規模地震では家具の転倒によるケガが30~50%を占めるという。中でもPCユーザーが心配するのはやはりモニターの転倒だろう。
いつどこで揺れが起こるかわからない地震大国で、私たちはどのような対策を講じるべきなのか。ゲーミングモニターブランド「GigaCrysta」などを展開し、令和6年能登半島地震では被災を経験したアイオーデータに、モニターの転倒対策について聞いてみた(BCN・寺澤 克)。
災害直後はサポート窓口の相談件数も増える
同社のサポート担当者によると、直近の熊本地震に限らず、災害発生時には、問い合わせが増加するのだという。
中でも多いのが、地震によるモニター転倒時の破損。パネル損傷の相談がよく寄せられるといい、修理対応が可能かどうか、修理料金、モニターの発送方法をよく聞かれるのだそうだ。
ちなみに、問い合わせが増えるのは、地震発生後だけではない。直近の令和8年8月千葉豪雨による浸水被害や落雷でも、機器の損傷に関わる相談件数が増加していたという。
なお、アイオーデータでは、災害救助法が適用された市区町村向けに「特別修理サービス」を展開している。
転倒対策は何をすべき? 被災時に有効だったのはモニターアーム
さて、具体的な対策やアイオーの取り組みについても聞いてみよう。取材に対応してくれたのは、モニター設計を統括する第1事業部 開発1課 主任技師の山下 俊郎さん。モニターを担当して15年以上というスペシャリストだ。
設置場所としては、安定して設置できる「固く平らな場所」を選んだ方がよいです。
それと対策グッズですが、スタンドの裏面に貼り付ける耐震ジェルは転倒リスクを軽減できます。転倒防止用バンドも効果的ですね。
そして、アイオーデータとして強くオススメしたいのは、モニターアームです。
能登半島地震の際、オフィスが被災したわけですが、その時に転倒や破損を免れたものの多くはクランプ式のモニターアームを使っていたんです。そのまま業務を継続できるレベルで被害が抑えられていました。
特にアームが可動して位置を微調整できるモデルは、ちょうど地震の揺れを受け流す役割を果たして、免震効果に近い働きをします。そのため、モニターアームは、転倒防止に大きな効果を発揮する有効なアイテムと言えます。
モニター上に付けるラックは重心が高くなってしまうことも
モニターの上に固定するラックは使い方によっては危ないです。
おそらく、小さなフィギュアや置き時計などを置かれている方も多いかと思いますが、重心が高くなり、揺れに弱くなってしまいます。
また、置いていたものが落下したりして破損する恐れもありますし、大きな地震だと飛んできたりする可能性もあるので、注意しましょう。
その点でいうと、弊社では8月末にモニター上部にペーパースリットを設けたモデルを発売しています。トレカやブロマイドなどを差して飾ることもできるので、推しのキャラクターグッズを飾りたいと考えている方は、ぜひこうしたモデルもご検討いただければと思います。
倒れたら電源を入れない 配線もよく確認すること
パネルの破損や本体内部の損傷がある場合、そのまま電源を入れると内部でショートを起こす危険性があります。モニター内部には保護回路を搭載しているので安全対策はされているのですが、転倒して破損している場合、電源を入れるのはやめましょう。
また、外観に異常が見られない場合でも、他のものが転倒したりしてモニターのACコードがつぶれていたり、ケーブルが抜けかかっている場合があります。損傷した配線に通電し続けると、発熱や発火の原因になりますので、周囲の状況をしっかり確認することをおすすめします。
ちなみに、弊社では、水没・火災・落雷・地震などによる損傷を保証する有償サービス「液晶ディスプレイプレミアム保証」を展開しています。各メーカーで内容は異なるかもしれませんが、万が一の場合に備えて、こうした保証サービスに加入しておくというのも選択肢の一つです。
設計面では「向きに関わらず10度傾けても倒れない」を徹底
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まず、弊社では「向きに関わらず10度傾けても倒れない」という設計基準をかなり前から取り入れています。
はい、電気用品を製造・販売する際の手続きや罰則を定めた法律「電気用品安全法」の安全規格に基づく製品には「PSEマーク」が記載されています。
つまり、国の定めた基準を満たしており、事故を防止する方策がとられていることを示すのがPSEマークなわけですが、この「10度傾けても倒れない」という決まりは、製品の重さによって、適用されない場合があります。
しかし弊社では、重さに関わらず、全モニターでこの基準を設けているんです。
また、高さが調整可能なフリースタイルスタンドを搭載したモデルでは、最も高い位置に固定し、重心が一番高くなった状態で、しっかり検証しています。さらに、画面を縦に回転した状態でも、10度傾けて倒れない設計になっています。取り付け可能重量はありますが、スタンド背面にミニPCを取り付けた状態でも同様です。
このほかには、大型製品にはマニュアルなどで注意喚起を行っています。
弊社では43インチ以上を大型モニターとして定義していますが、それらの製品にはマニュアル上で転倒防止バンドの装着を推奨しています。
引き続き、弊社独自の高い安全基準を守りながら製品を世に送り出すことが重要だと考えています。不足があるようであれば、見直しを行うとともに、ユーザーへの注意喚起や防災対策の一環として、さらなるデータの検証や公表も行っていければと思います。







