NTTドコモに「災害用伝言板」について話を聞いた

【いまこそ知りたい「災害用伝言板」による「もしも」の通信術・3】地震や豪雨などの大規模災害が発生したとき、家族や大切な人の安否をどう確認するか。LINEをはじめとするSNSが日常の連絡手段として定着した今、「災害用伝言板を使ったことがない」という人も少なくないでしょう。しかし、電話がつながらない、SNSでメッセージが送れないといった非常時に備えて、通信事業者は災害用伝言板を提供しています。NTTドコモでは、災害用伝言板をはじめ、災害時に役立つ機能をまとめた「災害用キット」を展開。NTTドコモの尾崎康征・ネットワーク本部サービスオペレーション部災害対策室長に、災害時の通信を取り巻く現状と今後について聞きました。(BCN・佐相 彰彦)

災害用伝言板はSNS時代になぜ必要? 「電話番号」が安否確認の鍵

(以下、敬称略) SNSと災害用伝言板のどちらか一方を使うということではなく、それぞれを補完するものとして考えていただくのがいいと思います。普段の暮らしであれば、LINEや電話などで連絡するのが便利でしょう。しかし、大規模な災害や長時間の停電が発生すると、「電話がかからない」「SNSのメッセージが送れない」といった状況になる可能性があります。

災害用伝言板は、通信事業者が提供している安否確認サービスです。ご家族や知人が自分と異なる通信事業者を契約していても、安否情報が確認できます。大きな特徴の一つが、電話番号を使って安否情報を登録したり、確認したりできることです。SNSのように事前にアカウントを作成したり、お互いに友だちとして登録したりしておく必要がありません。相手の電話番号が分かれば、安否確認ができるのです。

「災害用キット」が進化、圏外でも役立つ防災ポータルに

災害用キットには、災害用伝言板への入り口だけでなく、災害時に役立つさまざまな機能や情報をまとめています。一部の端末にはプリインストールされており、会員登録なしでも利用できます。例えば、エリアマップを確認できるほか、「Starlink Direct」や「JAPANローミング」の使い方を案内する機能も用意しています。

災害用キットには、圏外でも操作手順や必要な情報を確認できる機能があります。災害が起きて通信できなくなってから、「どうすればいいのだろう」と調べようとしても、インターネットにつながらなければ情報そのものを入手できない可能性があります。災害用キットでは、そのような状況も想定して必要な情報にアクセスできるようにしています。

実は20代の利用経験率が高い?

興味深いデータがあります。モバイル社会研究所の調査では、災害用伝言板の認知度は年代が上がるにつれて高くなる傾向がある一方、実際の利用経験率では20代が最も高いという結果が出ています。

事前にサービスを体験する機会が重要だと考えています。学校での防災体験授業や自治体の防災訓練などで、実際に災害用伝言板を使ってもらう取り組みを行っています。小学校や中学校では、お試し登録や防災学習動画を活用した授業・訓練なども実施しています。自治体と連携した防災訓練では、伝言板への登録や検索を実際に試してもらう機会も設けています。

災害が発生してから初めて使おうとすると、どうしても焦ってしまいます。一度でも事前に触って、「こうやって使うんだ」と分かっていれば、実際の災害時にも使いやすくなります。

そうですね。毎月1日と15日、「防災の日」などには体験利用ができます。こうした機会に、ご家族や友人と実際にメッセージを登録したり確認したりして、操作を経験しておくことをおすすめします。

災害時の通信は次の段階へ

災害用キットというアプリ単体だけではなく、新しい通信手段やインフラの進化に合わせて、いざというときに使える環境を維持、拡大していくことが重要です。Starlink DirectやJAPANローミングなどの新しい環境に合わせ、災害時の通信環境も進化していく必要があると考えています。

やはり、一度使ってみていただくことだと思います。災害用伝言板を知っていても、実際に操作した経験がなければ、災害が起きて焦っている中でスムーズに利用できないかもしれません。毎月の体験利用日などを活用して、「災害が起きたら、まずどう連絡を取るのか」「災害用伝言板ではどう登録するのか」を、ご家族で一度試してみてほしいですね。

通信技術が進化し、私たちの連絡手段はこれからも増えていくでしょう。だからこそ、いざというときに「何を使って安否を伝えるのか」を家族で話し合い、実際に試しておくことが大切です。まずは体験利用日を活用し、災害用伝言板を一度使ってみることから始めてはいかがでしょうか。