「ICF-B09」を試す
地震や豪雨など、いつ起きるか分からない自然災害。スマートフォン(スマホ)が生活に欠かせない存在となった今、災害時の情報収集も「スマホがあれば大丈夫」と考えている人は多いかもしれません。ただ、停電などでスマホのバッテリーが減っていく状況を考えると、情報収集の手段は一つでも多く確保しておきたいところです。そこで注目したのが、ソニーの防災ラジオ「ICF-B09」です。内蔵充電池に手回しで充電できるほか、単3形アルカリ乾電池2本でも使用が可能。非常時に役立つ機能を備えています。では、実際の防災シーンを想定したとき、どこまで使えるのでしょうか。(BCN・佐相 彰彦)
「ICF-B09」はどんな防災ラジオ?
ICF-B09は、FM/AMを受信できるポータブルラジオです。ワイドFMにも対応し、受信周波数はFMが76~108MHz、AMが530~1710kHz。サイズは約132×77×58mm、電池を含む質量は約376gです。
最大の特徴は、「情報を得る」「明かりを確保する」「スマホなどに給電する」という、災害時に重要になる機能をコンパクトな本体にまとめていることです。本体前面にはLEDスポットライト、上部には周囲を照らすソフトライトを装備。さらに手回しで内蔵充電池を充電でき、単3形アルカリ乾電池2本にも対応します。防滴性能はJIS IPX4相当。非常用の笛、キャリングポーチ、ハンドストラップなども付属します。
単なる「ラジオ」というよりも、停電時に必要になりそうな複数の機能や付属品を一つにまとめた「防災用品」と考えた方が理解しやすいでしょう。
実際に使ってチェック! まず気になるのはラジオの使いやすさ
防災ラジオで最初に確認したいのは、やはり本来の役割であるラジオです。ICF-B09は3.6cmのスピーカーを搭載。また、大型の選局つまみと表示窓、FM/AM/電源オフを切り替えるスイッチが採用されています。
実際に自宅の室内で受信してみたところ、AMとFMともに安定した音声を聴くことができました。特にFM放送はノイズが少なくて、ニュースや音楽番組の内容もはっきりと聞き取れます。災害時向けラジオという位置付けではありますが、日常使いのラジオとしても十分実用的な受信性能を備えていると感じました。なお、受信状況は地域や建物の構造によって異なりますので、お含みおきください。
選局つまみを操作してみると、周波数をアナログ感覚で合わせられるため、昔ながらのラジオらしい操作感が楽しめます。デジタルチューナーのようなワンタッチ選局ではないものの、放送局を探しながら受信状態の変化を確認できるため、非常時でも直感的に使いやすい印象です。
手回し充電は非常時に本当に使える?
次に試しておきたいのが手回し充電です。「停電して乾電池もない」。そんな状況でも、人力で電源を確保できるのが手回し式の強みです。ICF-B09は、本体のハンドルを回して内蔵充電池に充電できる構造になっています。握りやすさやハンドルの回しやすさに配慮したデザインを追求しているそうです。
実際にハンドルを握って回してみると、表面は滑りにくく、プラスチック製ながら安定して握ることができます。長時間回し続けても指先に負担が集中しにくく、防災用途で繰り返し使用する際にも扱いやすそうです。回転させた際の抵抗感も絶妙で、軽すぎて空回りするような感覚はありません。一方で重すぎることもなく、一定の手応えを感じながらスムーズに発電できます。
停電すると分かる「ライトがある」ありがたさ
防災用品として意外に注目したいのがライトです。ICF-B09には、本体前面から照らすLEDスポットライトだけでなく、本体上部に周囲を照らすソフトライトも搭載されています。
この2種類を実際に暗い部屋で試してみると、それぞれ役割が明確に分かれていることが分かりました。前面のLEDスポットライトは光が一点に集中します。照射範囲は決して広いとはいえませんが、遠くまでしっかりと光が届く印象を受けました。
一方、本体上部のソフトライトは光が広範囲に拡散し、部屋全体をやわらかく照らしてくれます。実際に点灯してみると、眩しさを感じることなく周囲の状況を確認でき、夜間の避難生活や停電時の室内照明として重宝しそうです。照明の真下だけでなく周囲にも光が広がるため、家族で過ごす部屋をやさしく照らしたい場面にも向いていると感じました。
スマホ充電は「満充電」よりも緊急時の電源確保として考える
スマホユーザーにとっては、最も気になるのが充電機能です。ICF-B09は、手回し充電、もしくは単3形アルカリ乾電池でスマホなどに充電できます。なお、ソニーでは一部端末には対応していないこと、ラジオを聴きながらスマホなどを充電することはできないなどと案内しています。
使って分かる「乾電池+手回し」の安心感
ICF-B09で防災用品として魅力的なのが、電源を一つに依存しない点です。内蔵充電池への手回し充電に加えて、単3形アルカリ乾電池2本でも動作します。アルカリ乾電池使用時の公称電池持続時間は、JEITA測定条件でFM受信が約80時間、AM受信が約100時間、ライト点灯が約50時間とのことです。実際の持続時間は温度や使用状況によって短くなる場合があります。普段は乾電池を備蓄しておき、それが使えない状況なら手回しというように、複数の電源手段を持っていること自体が防災上の安心材料になります。
「スマホだけ」にしないための1台
スマホにはニュース、SNS、連絡、ライトなど、多くの機能があります。その便利さは疑う余地がありません。ただ、だからこそ災害時にスマホだけに依存しない方法を用意しておく意味があります。
ICF-B09には、ラジオ、ライト、スマホなどへの充電機能があり、乾電池だけでなく手回しにも対応しています。防災グッズは、できれば出番がない方がいいものです。それでも、いざというとき、「情報が聴ける」「明かりが確保できる」「電源を確保する方法が残っている」ことが重要。その選択肢を一つ増やしておくことこそ、ICF-B09を備える意味ではないでしょうか。






