〈ピン芸人〉の章。
まずはとにもかくにも触れずにはいられないのが「10年目ではじめて2回戦突破した」という御年57歳、村上ショージ! 「もう最近ではスベることより、老いてきたので死ぬのがこわい」と語りだした漫談は貫禄だか老人力が十分。「たぶん僕が死んだら、霊柩車のクラクションも『ドゥーーン!』でしょうしね。イヤですよねえ」――ルミネが末広亭のような雰囲気で包まれるが…。※準決勝進出ならず
一方「どうもこんにちは。水谷千重子でございます」と会場を寄席ではなく、地方のホールに変えてしまったのは友近。「演歌歌手の私が、お笑いさんに混じってコンテストに出るなんてどうかと思ったんですよー!」ああ、この重箱の隅を突く感というか、すべてを笑い倒してしまおうというアナーキズム。磐石でございました。※準決勝進出
決勝進出経験がある大輪教授も、この日の登場だった。「座標の交点」をテーマに、人生をグラフにたとえるネタ。「OLがキャリアを重ね、対照的に結婚のチャンスが減っていったとき、交点で何が起きるか。室内犬を飼いはじめる!」感心とともに笑いを呼び起こす持ち味は健在だったものの…。※準決勝進出ならず
若手の注目株を二人。気弱な印象のウメは、バスを舞台にしたコントともつぶやきネタとも言える展開でじわじわくる感じ。もうひとりは、昨年決勝の台風の目となったAMEMIYAと同じ事務所だからか、表記が似ているMORIYAMA。とはいえこちらは歌ネタではなく「幼馴染みがエロい。俺の夢だ!」と叫んでバカバカしさ全開だった。※ともに準決勝進出
逆にこの日、唯一歌を交えた漫談で勝負したのが、マキタスポーツ。サザエさんの歌を暗くアレンジしたり、桑田佳祐と長渕剛を融合させたり、3分間をキッチリ仕上げてくるあたりさすがだった。※準決勝進出
そして〈ピン芸人〉の章のトリはこの人、2009年の「R-1ぐらんぷり」王者の中山功太。生徒が書いた夏休みの作文を読み上げ、ツッコんでいくネタは安定感抜群。じゃっかん余力を残しているようにも見えたのは、戦い方を心得てるということだろう。※準決勝進出