NHK大河ドラマ「花燃ゆ」で、兄の吉田松陰と夫の久坂玄瑞を亡くした主人公の文が、美和と名を変えて、長州藩の大奥で奥勤めに挑む「奥御殿編」が始まるのに合わせ、11日、東京都内で取材会が開かれた。美和となった文役の井上真央と、藩主敬親の正室、都美姫(とみひめ)を演じる松坂慶子、次期藩主の正室銀姫を演じる田中麗奈が出席した。
同席した制作統括の土屋勝裕プロデューサーが奥御殿編の見どころを「美和がどんどん周囲の信頼を勝ち得て、大奥でキャリアアップしていくところ」と紹介。井上は「美和がどのように悲しみを乗り越えていくのかを皆さんに見ていただきたいと思っています」と話し、いよいよ主人公が人生を切り開くために自分の足で歩き始める物語の展開に期待をにじませた。「大奥には声には出さないが静かな怖さがある」と女同士の闘いに戦々恐々としながらも「撮影の合間には、ファッションの話をしたり、マッサージをし合ったり、体にいいものを配ったりして、女性ばかりだと楽しいです」と松下村塾の若い志士たちに囲まれていた前半との変化をむしろ楽しんでいる。
田中は「銀姫は美和に厳しい言葉を掛けたりしますが、美和に家族の愛情で育ってきたぬくもりのようなものを感じ、銀姫自身も変わっていきます」と2人の関係性の変化に注目。「女性らしいという枠では収まりきらない役柄なので、いろいろと挑戦することができます」と演じがいのある銀姫役に日々必死で取り組んでいる。
都美姫を「敬親ならどうするかを常に考え、いつも一心同体の気持ちで大奥を束ねている」女性ととらえる松坂は、「萩城のセットがとてもきれいで、毎日、記念館で撮影しているかのようです」と大河ならではの美術に気分を高まらせていた。
共演の印象を聞かれた3人は、「慶子さんの、カットがかかる前後での(表情の)ギャップに癒やされています。麗奈さんはいつもエールをくれます」(井上)、「真央ちゃんは頼りになる存在で、麗奈さんはいつも自然体」(松坂)、「真央さんは一生懸命訴えるところが愛おしくてかわいいし、松坂さんはどんなときでも笑顔で柔らかくいらっしゃるのを尊敬しています」(田中)と話し、互いの細かい部分にまで気を配っている様子がうかがえた。