「選手たちにはブラボーと言いたい。素晴らしい声援を送ってくれた観客にはメルシーと言いたい」。イラク戦後を終えた、ハリルホジッチ監督は満足気にコメントを発した。
6月11日、日本代表はイラク代表に4-0と完勝した。5分に柴崎岳のスルーパスに抜け出した本田圭佑が先制弾を決めると、4分後にはファー(遠いサイド)に流れたコーナーキックを槙野智章が詰めた。32分には本田、香川真司、柴崎のパス交換からボールを受けた宇佐美貴史がドリブル突破からのラストパスで岡崎慎司の3試合連続ゴールをお膳立て。84分には原口元気が代表初ゴールで締めくくった。
特に20分まではスピーディなパス回しに縦を意識した攻撃、積極的なゴールへの姿勢と、出色の出来栄えだった。指揮官が「スペクタクルなサッカーをしてくれた。選手たちは高いパフォーマンスと速さを見せてくれた」と胸を張ったのも頷ける内容である。
確かにイラク代表のコンディションは悪かった。主力も数人欠いていた。日本が8強止まりに終わった1月の『AFCアジアカップ』で4強入りした同じチームとは思えない低調なパフォーマンスだったため、この完勝劇で「日本は強くなった」と評価するのは早計だ。ただ、確かな歩みを進めているのも確か。
「この数年間、日本がやっていた攻撃の組み立てを抜本的に変えている。ワンタッチや3人目、4人目の動きを要求してきたが、選手たちはよくやってくれた。まだ3か月しかトレーニングしていないが、それでもかなり向上した」とハリルホジッチ監督は選手たちを称えた。もちろん、課題を挙げることも忘れない。「フィニッシュで慌ててしまうシーンがあった。全員がゴールを意識し過ぎたり、クロスに対するポジショニングが適切でなかったり、まだまだ修正すべき点はたくさんある。それでも私はこのチームに満足しているし、彼らと仕事をするのは本当に楽しい。日本はもっとできると思うので、もっと厳しくトレーニングしたい」。
もっと厳しいトレーニングを課すのには理由がある。日本が2018年『W杯』予選を突破し、本大会で強豪国と渡り合うためだ。
格下との対戦となる『W杯アジア2次予選』では勝敗がクローズアップされることはないだろう。では、次のシンガポール戦は意味がないのか? 答えは否。監督は選手たちに競争を強いる。常に高いパフォーマンスを見せることができるか、目を光らせている。ハリルホジッチ監督は『W杯』予選とともに、本大会を見据えているのだ。
6月16日(火)・『2018FIFAワールドカップロシア アジア2次予選』兼『AFCアジアカップUAE2019予選』日本代表×シンガポール代表・埼玉スタジアム2002のチケットは発売中。