「リンクをシェアすると人気アーティスト◯◯の秘蔵映像が見られます」。こんな誘い文句に釣られてSNS上に情報を拡散した経験のある女性もいるのでは。でも、そのリンク先にウイルスが仕込まれている可能性がある、と考えたことはありますか?

「最近はパソコンだけではなく、スマホにもセキュリティ対策が必要な時代です。ウイルス開発者は人々が興味を持つネタを元に、新種の不正アプリや詐欺サイトを作り続けています」と話すのは、株式会社シマンテック ノートン事業統括本部 プロダクトマーケティング部の古谷尋さん。

押さえておきたいウイルス最新事情や、パソコンやスマホユーザーであれば誰しも必要なセキュリティ対策について、お話を伺いました。

気軽にシェアボタンを押すのは危険

まずパソコンにおけるウイルス感染は、SNS経由で起きることが増えてきています。例えば「SNSでとくに多いのはウイルスにつながるリンクをシェアさせるというもの。たとえば有名セレブの死がメディアで報じられたタイミングで、『彼の最期のメッセージを動画で見たい方はシェアしてください』と、人々に期待を持たせて情報を拡散させるのです」と古谷さん。

株式会社シマンテック ノートン事業統括本部 プロダクトマーケティング部 古谷尋さん

動画を再生するために「専用ソフトをダウンロードしてください」などと指示され、うっかり応じてしまうと、ウイルスに感染してしまうこともあるのだとか。安易な気持ちで指示通りに動くのは危険です。

その他にも、Twitterを中心に頻出しているのが、アカウントの乗っ取り被害。「これは素晴らしい商品です」「このサイトからおトクに買えますよ」など、他人になりすまして商品情報を拡散するケースは少なくありません。「実際に商品を買おうとしたところ、そのECサイトが詐欺サイトだった事例もあります」(古谷さん)。

スマホを「人質化」する怖いウイルスも

一方、最近アプリ経由で広まっているのは「ランサムウェア」と呼ばれる身代金要求ウイルス。「一見普通でありながら、ウイルスが仕込まれているアプリも多いです。インストールしただけで端末の画像や動画にロック・暗号化をかけてしまい、『解除したければお金を払え』などと表示され、要求に応じない限りそのスマホの中にある写真やムービーが見れなくなってしまいます」と古谷さん。

同社が調査・発表した脅威レポート「インターネットセキュリティ脅威レポート20号」によると、2014年にはランサムウェアは約880万件発見され、前年と比べて113%もの増加が見られました。

さらに同社では、数百ものアプリストアを自動的に巡回し、無料版アプリ(対象:Androidのみ)をインストールして、動作を細くチェックしています。2014年には630万個のアプリをチェックし、そのうちウイルスを持つアプリは100万個にも上ったのだとか。

「電池を消耗しすぎたり、ネットワーク帯域を使いすぎたりする、ユーザーにとって迷惑なアプリ(グレイウェア)や、広告表示頻度が多すぎてスマホ自体が動かなくなってしまったりするアプリ(マッドウェア)なども併せると、質の悪いアプリはかなり多いんです」(古谷さん)

この他にもユーザーの現在地をGPS情報を元に把握したり、アドレス帳や画像などのデータを抜き出したりする悪質なアプリもあるのだとか。これらの脅威に対して、私たちスマホ利用者はどのような対策をすればよいのでしょうか?