音楽で綴られる作品たち
『アナと雪の女王/エルサのサプライズ』のように、音楽だけで一本の作品を作れてしまうのも短編ならではのことです。
映画はその昔、音を持たなかったもの。
映像に音楽に合わせていったのが、シリーシンフォニーやファンタジアから続くディズニーの伝統です。
音楽と映像で物語を紡ぐ美しい作品たちです。
ジョン・ヘンリー
アメリカ黒人解放奴隷の英雄、西武の鉄道敷設工事において自由獲得のために蒸気ハンマーとの対決に挑んだ男の伝説をもとにした作品。
輪郭線が動く手描きらしいタッチや刺繍をイメージしたタッチなど、独特のアニメーションも観られます。
この作品は1999年制作と、『ディズニー・ショートフィルム・コレクション』の中では最も古いもの。
アリエルやベル、ジャスミン、ポカホンタスなど数々のキャラクターを生み出したアニメーター、マーク・ヘンが監督となり、第二次黄金期の終わりの時期に制作した作品らしさがアニメーションの表現に溢れています。
ロレンゾ
尻尾に魔法をかけられた猫の物語。
『ファンタジア』、『ファンタジア2000』に続いて企画があったファンタジア2006計画の一環で制作された短編です。
音楽はタンゴ。ボルドネオ・イ・900が使われています。
絵画のようなアニメーションとちょっと怖めのストーリーが相まって奇妙な作品に仕上がっています。
まさに、ファンタジアのような、アニメーションの芸術作品です。
マッチ売りの少女
こちらもファンタジア2006計画の作品。
ボロディン 弦楽四重奏曲第2番第3楽章「ノクターン」にのせて、有名な「マッチ売りの少女」の物語が描かれます。
悲しい物語を正面からそのまま語れるのは、音楽で綴る短編だからこそ。
セリフも歌も使わずに感情を動かしてくる作品です。
小さな時計
ロンドンの古い時計店。夜になり店主がいなくなると時計たちが動き出します。
ちょっと変わった小さな時計は仲間にからかわれ、自分を恥じますが、そんな時お店に泥棒がやってきて・・・
時計が表情を持ったように動き出し、時計仲間や店主をも動かしていく作品。
最初は馬鹿らしい小さな時計の鐘の音がやがて音楽となり、作品全体を包んでいきます。
ウェイン&ラニー クリスマスを守れ!/秘密の司令
最後にちょっと違ったアニメーションを。
米ABCテレビ向けに作られたクリスマスTVスペシャルアニメーションです。
サンタの助手の妖精ウェインとラニーはミセスサンタからの極秘ミッションを頼まれます。
クリスマスを舞台にしたドキドキのTV短編アニメーション。
ファンタジアのような作品や長編の同時上映ともまた違った持ち味のある作品です。
「短編」の名の通り、それぞれの作品は5~10分程度。
2Dと3DCG、音楽やセリフの有無、ムードなども全く違う全12作品は見続けていても飽きません。
様々な表情を見せる短編集を楽しみながら、あなたのお気に入りの短編を見つけてみてください。
『ディズニー・ショートフィルム・コレクション』
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