Tリーグの歴史的シーズンを締めくくるにふさわしい名勝負が繰り広げられた。『ノジマTリーグ 2018-2019 プレーオフ ファイナル』木下アビエル神奈川×日本生命レッドエルフは3月17日・両国国技館を熱狂の渦に巻き込んだ。
チャン・チェンチェン&ジャン・ホイが石川佳純&木原美悠を2-1で下して日本生命が先勝すると、ドゥ・ホイカンが平野美宇に3-2で勝利し木下がイーブンに戻す。エン・シュエジャオ(木下)×早田ひな(日本生命)の第3マッチも両者一歩も引かずにゲームオールにもつれ込む。6-6からスタートする第5ゲームもがっぷり四つでデュースに入っても決着は付かず。マッチポイントを握れば返され、逆にマッチポイントを許す目まぐるしい展開の中、早田が19-17で激闘に終止符を打ったのだった。
だが、しかし、レギュラーシーズン1位の木下は慌てず騒がず。第4番にエース石川が登場し、食らい付く前田美優に3-1の貫録勝ち。初代女王を懸けた戦いは、1ゲーム勝負のビクトリーマッチに委ねられた。
第5番もエン×早田、3番の再戦となった。最後の大一番でも早田の勢いは衰えを知らず、11-7で勝利。
レギュラーシーズンからこの日までシングルス13戦全勝で駆け抜け、まさに日本生命を初代女王に押し上げた早田は「『Tリーグ』に出場すると決めてから、初代王者になろうと思ってがんばってきたのでよかった。10月に開幕してからみんなで一緒に戦ってきて、優勝を目指していたので。勝ち切ってみんなの笑顔を見たかったので、本当にうれしいです」と喜びに浸った。
苦い経験がある。早田は3月2日の『卓球ジャパントップ12兼世界選手権日本代表選考会』準決勝・最終第7ゲームで10-5とマッチポイントを握りながら、加藤美優の驚異的な粘りの前に11-13の逆転負けを喫した。4月の『世界卓球』出場を逃し、来年の『東京五輪』も遠のく痛恨の敗戦を味わったのだ。
もう同じ徹を踏まない。第3番は「デュースになった時は、1本1本勝負しにいこうと思っていた。『世界選手権』の選考会では最後まで同じことをして負けたという後悔があったので」、第5番でも「気持ちの勝負でした。ズルズルと追いつかれる前に、1本追いつかれたらタイムを取ろうと決めていた。これも選考会での後悔があったから」と早田は『世界卓球選考会』での教訓を生かした。
悔しい準優勝となった石川が「自分のせいで負けたと思っている。負けてしまったが、チームのみんなもいいプレーをした。来年リベンジしたい」と誓えば、MVPに選出された早田も「今季は無敗で終われたが、次も自分を信じて戦っていきたい」とキッパリ。
Tリーグは歴史的な1年目を終え、さらに進化することだろう。